中小企業診断士講座の講師ブログ

中小企業診断士試験における「学習戦略(1次試験)」

みなさんこんにちは。
フォーサイト中小企業診断士講座、講師の小嶋です。

今回は中小企業診断士の試験学習においても、「選択と集中が重要」、ということお伝えいたします。

診断士試験は出題範囲が膨大な試験であるために、学習領域の選択について、受験生はかなり幅の広い選択肢をもつことになります。
例えば、「財務・会計」の一科目をとってみても、「簿記2級まで、診断士の試験前に取得する」「簿記1級まで学習する」「ビジネス会計を学習する」など学習領域をいくらでも広げることができます。
学習領域の拡大については、質問箱でご相談をいただきますし、SNSを見ても、試験後に不本意な結果だった方が検討されているのを、少なからず目撃します。

多くの方は学習を進めながら、手元の教材のみの学習や、診断士に特化した学習だけでは対応できないのではないか、という疑念を感じることになる、ということになります。

理由として考えられるのは、診断士1次試験問題の特性にあります。

診断士の1次試験は過去に出題された問題がそのまま出題されるケースは少なく、頻出事項でも角度を変えて問われたり、過去10年以上問われたことのない知識等が問われることも少なくありません。
そのような状況で「ただ過去問を中心として学習するだけでは、十分な対応は難しいのではないか」という疑念が湧いてくる、と考えられます。

ただし、私は、上記を踏まえた上で、「基本的に過去問を中心とした学習こそが重要であり、かつ効率的」と考えます。

理由は、基本論点の出題において、過去問をベースとして、「どうしてそのような計算で答えが求められるのか」などをしっかりと理解していけば、角度を変えた出題に対しても対応するために必要な、基礎理解が養われるためです。

その基礎理解が各科目の中で十分な広さで積み重なっていれば、60点に届くように試験問題が設計されている、と感じています。
(平成30年経営法務のような例外がある場合は、得点調整もあります・・・)

また、過去に出たことのない、または、滅多に出題されたことのない問題に対応しようとなると、関連する他資格の学習に手を広げる、などを行うことになりますが、ここには二つ問題があります。
① かなりの学習量が要求される一方で、それが実際に点数として報われるかどうか怪しく、少なくとも合格という目的だけを見てしまうと、時間対効果の悪い学習であること
② 手を広げることで、頻出論点の学習がおろそかになり、取るべき問題の得点率を確保できなくなる可能性があること

「戦略は捨てることである」といいますが、捨てることには痛みが伴います。
それでも捨てる理由は、勝たなければならない領域に資源を集中させ、そこでの勝率を高めるためです。

診断士試験における勝つべき領域は「頻出論点」です。
もし、手を広げるということをするのであれば、こうした頻出論点をしっかりと押さえ、60~80点を手堅くとれるようになった上で、90点、100点を目指していく、という次元の話になると考えています。
(試験合格と別に、特にその領域の知識を増やしたい、などの場合は別ですが・・・)

頻出論点に集中する戦略をとることは、そうでない論点については落としても仕方ない、と割り切ることでもあり、怖いことでもあります。
特に基本知識で2択までは絞れる・・・という類の問題も少なくはないために、学習範囲を絞ると、出題の仕方によっては運の要素が結果に大きくかかわる状況もあり得ます。

それでも頻出論点の正答率を高め、1問、2問でも多く取れるようになることが、リスクを小さくしてくれます。

過去問学習を進める中で、難しい用語に目を奪われることは多々あります。その度に不安になるかも知れません。
しかし、それ以上に、見たことのある内容、つまり頻出論点についてどこまで理解しているか、を常に自問する形で学習を進めていくことで、試験攻略という一点に限れば、多くの問題が解決されていきます。