簿記3級試験とは?試験の流れから難易度、勉強法まで解説
更新日:2024年10月30日
簿記3級試験は、経理や会計の基礎知識を証明できる資格で、誰でも受験可能です。試験は統一試験とネット試験の2種類があり、日程や申し込み方法は各商工会議所によって異なります。試験の難易度は比較的高く、合格率は約36%から40%です。
合格するためには、テキストと問題集の選定や、学習スケジュールの立案、仕訳練習、電卓の操作に慣れることが重要です。また、目標を持ってモチベーションを維持し、毎日学習を続けることがポイントです。
本記事では、合格に必要な勉強時間や合格するためのポイントもご紹介します。
- 簿記3級試験の日程:統一試験が年に3回(6月、11月、2月)実施され、ネット試験は年間を通じて随時受験可能
- 受験資格:特になし
- 難易度・合格率:合格率は約36%から40%
- 簿記3級試験は受験申込、試験当日、試験当日という流れで進行
- 簿記3級試験には、特別な受験資格はない
- 簿記3級の試験は60分間、主に仕分問題、語句記入・補助簿選択・勘定記入、決算書作成問題の3つの大問で構成されている
- 簿記3級試験の直近の合格率は、統一試験が36%程度、ネット試験は40%程度で推移している
- 簿記3級試験に合格するメリットは会社のお金の流れが分かる、分析力が向上し、数字に強くなる、転職で有利になる、副業・独立時に活用できる、上位資格へチャレンジできること
簿記3級試験の流れ
簿記3級試験には、統一試験とネット試験の2種類があります。ここでは、簿記3級試験のおおまかな流れと、当日の流れをご紹介します。
受験のおおまかな流れ
簿記3級試験のおおまかな流れは、以下のとおりです。
・受験申込
統一試験の場合、商工会議所のホームページや窓口で申し込むことが可能です。ネット試験の場合、CBT-Solutionsの専用ページから申し込みます。
・試験当日
身分証明書、電卓(計算機能のみ)、筆記具を持参します。試験会場での注意事項を確認し、試験に臨みましょう。
・合格発表
統一試験の場合、試験後に商工会議所のホームページで合否が発表されます。ネット試験の場合は試験終了後、すぐに合否が判定される点が違いです。
簿記3級試験日当日の流れ
簿記3級試験の当日の流れについて、以下で統一試験、ネット試験における午前と午後のスケジュールをご紹介します。
統一試験の当日の流れ
統一試験の当日の流れは、以下のとおりです。
午前の流れ
・受付開始:試験会場に到着し、受付を済ませます。身分証明書を提示し、試験票を確認しましょう。
・試験準備:指定された席に着席し、試験開始までの準備を行います。電卓や筆記具を準備し、試験監督からの指示を待ちましょう。
・試験開始:午前中に試験が開始されます。試験時間は約2時間です。
午後の流れ
・試験終了:試験終了後、試験監督の指示に従い、解答用紙を提出します。
・退出:試験会場を退出します。忘れ物がないように注意しましょう。
・合格発表の確認:統一試験の場合、後日商工会議所のホームページで合否が発表されます。
ネット試験の当日の流れ
ネット試験の当日の流れも、以下で確認しておきましょう。
午前の流れ
・受付開始:試験センターに到着し、受付を済ませます。身分証明書を提示し、試験票を確認しましょう。
・試験準備:指定された席に着席し、試験開始までの準備を行います。パソコンの操作確認や必要な道具を準備します。
・試験開始:午前中に試験が開始されます。試験時間は約2時間です。
午後の流れ
・試験終了:試験終了後、パソコン上で解答を提出します。
・合否判定:ネット試験の場合、試験終了後すぐに合否が判定されます。
・退出:試験センターを退出します。忘れ物がないように注意しなくてはなりません。
参照:法務省:簿記3級試験
簿記3級試験の受験資格と申込方法
簿記3級試験には、特別な受験資格はありません。年齢や学歴、職業などに関係なく、誰でも受験できます。そのため、簿記の基礎知識を身につけたい方や、経理・会計のスキルを証明したい方にとって、最初のステップとして非常に取り組みやすい資格です。
統一試験は年に3回(6月、11月、2月)実施されますが、ネット試験は年間を通じて随時実施されます。試験の日程や申し込み方法は、各商工会議所によって異なるため、受験を希望する場合は最寄りの商工会議所に問い合わせることがおすすめです。
簿記3級試験の受験料と必要書類
簿記3級試験の受験料と必要書類は、以下のとおりです。
受験料
・統一試験(紙試験): 2,850円(税込)
・ネット試験(CBT試験): 3,850円(税込)
必要書類
・身分証明書: 氏名、生年月日、顔写真のいずれも確認できるもの(運転免許証、パスポート、社員証、学生証、マイナンバーカードなど)。
・受験票: 申込後に発行される受験票を持参しましょう。
なお試験当日は、電卓(計算機能のみのもの)も持参する必要があります。
簿記3級試験の受験会場
ここからは、簿記3級試験の受験会場の種類、選び方、確認方法、試験当日の注意点をご紹介します。
受験会場の種類
簿記3級の試験は、主に以下の2つの形式で実施されます。
・ネット試験
全国のテストセンターで実施されます。受験生は自分の都合に合わせて試験日を選べます。ネット試験は、コンピュータを使用して行われるため、試験結果が比較的早く分かるのが特徴です。
・筆記試験
商工会議所が指定する会場(高校、大学、専門学校など)で実施されます。筆記試験は、年に数回実施され、試験日は固定です。
・受験会場の選び方
ネット試験の場合、全国にあるテストセンターから選べます。受験申込時に希望する受験会場を選択し、予約を行う流れです。テストセンターは都市部に多く設置されており、アクセスが良い場所が多いのも特徴だといえます。
筆記試験の場合、受験申込後に送られてくる受験票に受験会場が記載されています。受験票には試験会場の詳細な住所やアクセス方法が記載されているため、事前に確認しておくとよいでしょう。
・受験会場の確認方法
最新の受験会場情報は、各商工会議所の公式サイトや、ネット試験の申込専用ページで確認できます。特に筆記試験の場合、試験会場が変更になることもあるため、定期的に公式サイトをチェックするのがおすすめです。
・試験当日の注意点
ネット試験の場合、試験開始時間の30分前には会場に到着するようにしましょう。身分証明書や受験票を忘れずに持参しなくてはなりません。
一方、筆記試験の場合、試験開始時間の1時間前には会場に到着し、試験会場の案内に従って行動しましょう。筆記用具や電卓など、必要な持ち物を事前に確認しておくと安心です。
簿記3級試験の試験時間と試験科目
簿記3級の試験時間は、ネット試験・筆記試験どちらも60分間です。また簿記3級の試験は、主に仕分問題、語句記入・補助簿選択・勘定記入、決算書作成問題の3つの大問で構成されています。試験時間は60分で、100点満点中70点以上で合格です。以下で、それぞれの問題について解説します。
第1問:仕訳問題
取引を適切な勘定科目に分類し、借方と貸方に分けて正しい金額を記入する問題です。配点は45点(15問、各3点)、時間配分の目安は15~20分程度といわれています。
第2問:語句記入・補助簿選択・勘定記入
語句記入、補助簿選択、勘定記入のうち2問が出題されます。配点は20点で、時間配分の目安は10~15分程度です。
第3問:決算書作成問題
決算整理後残高試算表作成、貸借対照表・損益計算書作成、精算表作成のうち1問が出題されます。配点は35点で、時間配分の目安は25~30分程度です。
簿記3級試験の合格率・難易度は?
簿記3級試験の直近の合格率は、統一試験が36%程度、ネット試験は40%程度で推移しています。具体的な結果は、以下のとおりです。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2024.6.9 | 20,927名 | 8,520名 | 40.7% |
2024.2.25 | 23,977名 | 8,706名 | 36.3% |
2023.11.19 | 25,727名 | 8,653名 | 33.6% |
2023.6.11 | 26,757名 | 9,107名 | 34.0% |
2023.2.26 | 31,556名 | 11,516名 | 36.5% |
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2024年4月~2024年6月 | 54,763名 | 22,080名 | 40.3% |
2023年4月~2024年3月 | 238,155名 | 88,264名 | 37.1% |
2022年4月~2023年3月 | 207,423名 | 85,378名 | 41.2% |
簿記3級試験に合格するメリット
簿記3級に合格することで、以下のようなメリットが得られます。
- 会社のお金の流れが分かる
- 分析力が向上し、数字に強くなる
- 転職で有利になる
- 副業・独立時に活用できる
- 上位資格へチャレンジできる
それぞれの内容を確認しておきましょう。
会社のお金の流れが分かる
簿記3級では、商業簿記の基本を学べます。企業がどのようにして収益を上げ、どのような費用が発生するのかを理解することが可能です。例えば、売上がどのように計上され、仕入れや経費がどのように処理されるのかを具体的に学びます。
簿記3級で得た知識は、企業の財務状況を把握し、経営判断を行う際に非常に役立つでしょう。また、企業の財務諸表を読み解く力が身につくため、投資判断や経営分析にも応用できます。
分析力が向上し、数字に強くなる
簿記の学習を通じて、数字に対する理解力が飛躍的に向上することもメリットです。例えば、貸借対照表や損益計算書の作成・分析を通じて、企業の財務状況を客観的に評価する力が養われます。経営戦略の立案やコスト削減のための具体的な施策を考える際に役立つでしょう。また、個人の資産管理や投資計画にも応用できるため、日常生活においても大いに役立つスキルです。
転職で有利になる
簿記3級の資格は、履歴書に記載することで、就職や転職の際に大きなアピールポイントとなります。特に経理や会計の職種では、簿記の知識が求められることが多く、資格保有者が優遇される傾向が高いです。
また、簿記の知識は他の職種でも役立つため、幅広い業界でのキャリアアップが期待できます。さらに、資格取得のために努力したこと自体が、自己管理能力や学習意欲の高さを示す証拠となり、採用担当者に好印象を与えられるでしょう。
副業・独立時に活用できる
副業や独立を考えている場合、簿記3級の知識は非常に有用です。例えば、フリーランスとして働く場合、確定申告や経費管理を自分で行う必要がありますが、簿記の知識があればこれらの作業をスムーズに行えるでしょう。
また、ビジネスを始める際にも、収支の管理や財務計画の立案に役立ちます。ビジネスの健全な運営が可能となり、長期的な成功を目指すことが可能です。
上位資格へチャレンジできる
簿記3級で得た知識は、簿記2級や他の会計関連資格(例えば、税理士や公認会計士)を目指す際の基礎となります。簿記2級では、より高度な商業簿記や工業簿記を学び、企業の財務管理に必要なスキルをさらに深めることが可能です。
また、税理士や公認会計士の資格を取得することで、専門的な知識とスキルを持つプロフェッショナルとしてのキャリアを築けます。その結果、より高い収入やキャリアの安定性を実現できるでしょう。
簿記3級試験に合格するための効率的な勉強方法は?
簿記3級試験に独学で合格するために必要な勉強時間は120~150時間といわれています。また、簿記3級に合格するためには、以下の点に留意しなくてはなりません。
- 自身に合ったテキストと問題集を選定する
- 適切な学習スケジュールを立てる
- 仕訳の練習を行う
- 電卓の使い方に慣れる
- モチベーションの維持に努める
ここでは、それぞれの内容を解説します。
自身に合ったテキストと問題集を選定する
簿記3級の効率的な学習を行うためには、良質なテキストと問題集を選ぶことが不可欠です。自身のレベルに合ったものを選択しましょう。過去問題や予想問題を解いて、試験形式に慣れることも大切です。実際の試験でどのような問題が出題されるかを予測し、対策を立てられます。
適切な学習スケジュールを立てる
効率的な学習スケジュールを立てることも、簿記3級の合格には欠かせません。以下のステップを参考に、スケジュールを立ててみましょう。
・テキストをざっと1回読む
まずはテキストを一通り読み、全体の流れを把握します。この段階では、細かい部分にこだわらず、おおまかな内容を理解することが目的です。
・問題集を解く
次に、問題集を解いて実践力を養います。問題を解くことで、自分の理解度を確認し、弱点を見つけることが目的です。
・間違えた問題を復習する
間違えた問題を中心に復習し、理解を深めます。同じ間違いを繰り返さないように、解説をしっかりと読み込みましょう。
・過去問を解く
過去問を解くことで、試験の形式や時間配分に慣れることが可能です。実際の試験と同じ条件で解くことを心がけましょう。
・総復習
最後に、全体の総復習を行います。重要なポイントを再確認し、自信を持って試験に臨めるように準備します。
仕訳の練習を行う
仕訳は簿記の基本中の基本です。毎日少しずつでも仕訳の練習を続けることが、合格へのカギといえます。日常の取引を想定して仕訳を行い、正確に記録する練習を積み重ねましょう。
電卓の使い方に慣れる
試験では電卓を使うことが多いため、使いやすい電卓を準備し、日常的に使い慣れておくことが重要です。特に、計算ミスを防ぐために、電卓の基本操作や機能をしっかりと理解しておきましょう。
モチベーションの維持に努める
独学ではモチベーションの維持が難しいこともあります。学習の進捗を記録し、目標を設定して取り組むと良いでしょう。例えば、毎日の学習時間を記録したり、達成した目標をチェックリストに書き出したりすることで、達成感を得られるでしょう。
簿記試験3級の勉強方法の詳細については、以下もご参照ください。
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簿記3級最短合格なら通信講座がベスト
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