簿記 電卓の選び方

簿記 電卓の選び方

簿記を学習するにあたって、どのように電卓を選べばよいのでしょうか。
もちろん、〇〇メーカーの電卓を選んだから□□メーカーの電卓を選んだ人より合格率が高い、などということはありません(当たり前のことですが…)。

かりに電卓検定を受けるのであれば、電卓の使用技術がカギになります。しかし、簿記検定であれば(税理士試験や公認会計士試験であっても)、一番重要なのは問題を解くために必要な要素をすぐに頭に浮かべるレベルまで知識をブラッシュアップすること、および、仕分け・集計のスピードと正確性です。

とは言っても、「こんな電卓は使ってはいけない!」「選び方としてここは必ず押さえるべき!」というポイントは確かに存在します。

目次

簿記検定で禁止されている電卓とは?

「どのような機能が必要か?」という以前に、まずはこういう電卓は絶対に使えませんという点を整理しておきましょう。
簿記検定の規定では次のようになっています。

計算器具(そろばん・電卓)

※以下の機能がある電卓は持ち込みできません。

  • 印刷(出力)機能・メロディー(音の出る)機能
  • プログラム機能(関数電卓等の多機能な電卓、売価計算・原価計算等の 公式の記憶機能がある電卓)・辞書機能(文字入力を含む)

関数電卓や、プログラム機能を備えたものは使用不可と読み取ることができます。

関数電卓とはどのようなもの?

それでは、まずは「関数電卓とは?」という点を明らかにします。

文字通り「関数」を計算することができるので、電卓のキーに三角関数の「sin」や「cos」といったものや、指数関数対数関数の際に使用する「log」といったキーがあります。sin、cos、tan、log、べき乗、Σのようなキーがあれば該当します。

プログラム機能というのは、さらに、計算をプログラムしてしまっておくことができる機能が付加されているものとお考えいただくとよいでしょう。具体的には次のようなキーがあるものが該当します。

RUN、EXE、PRO、PROG、COMP、ENTER P1、P2、P3、P4、PF1、PF2、PF3、PF4  

あまりポピュラーといえるものではないので、「そんな電卓初めて聞いた」とおっしゃる方もいらっしゃるかと思います。
しかしながら、理科系の大学の学生や、理科系の大学を卒業された方はお持ちかもしれません。
もし、お持ちの方がいらっしゃったら、使用ができないので、別の電卓をご用意ください。

金融電卓とはどのようなもの?

また、「多機能な電卓」という意味では、金融電卓といわれるものも避けたほうが無難でしょう。これまた、「金融電卓って何?ひょっとして自分の電卓も当てはまるの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、一般的にお持ちの方はいらっしゃらないので、ご安心ください。
お持ちの方として想定されるのは、銀行関係者や不動産関係者の方があげられます。

頭金の金額を言ったらすぐに毎月のローン金額を計算してくれたり、借り入れる金利を固定金利か変動金利かで返済額の違いをすぐさま計算してくれたり、不動産を購入された経験をお持ちの方であれば、どこかで遭遇した光景でしょう。

あの計算を、便利に行うための電卓が金融電卓です。

もちろん、商工会議所の簿記検定の要綱に「金融電卓禁止」と具体的に宣言しているわけではありません。
しかし、公認会計士試験の要綱には、次のような記述があります。
「これらの機能を有しているもの は、試験場での使用を不可とします。……(中略)金利計算機能…(以下略)」
一般的に、簿記会計の試験では金融電卓の使用は好ましくないとみなされる可能性があるとするのが合理的でしょう。

電卓の選び方~必ず押さえておきたいポイント~

これまで、禁止されている機能について見てまいりました。
ここからは、あなたの学習を快適にするために、選ぶ際に是非、着目しておきたいポイントについて、具体的にご提案いたします。

簿記学習に適切なサイズとは?

まずは、大きさについてです。
大きさについていえば、特に禁止規定というものは設けられていません。

しかしながら、間違いなくやめておいたほうがいいのは、スマホよりも小さいようなサイズの電卓です。

まず、キーが小さいので打ち間違いが発生します。打ち間違いによる計算間違いは学習のプロセスを通じて大きなストレスになります。ただでさえ、学習のストレスがあるのですから、できる限り打ちやすい大きさのものがよいでしょう。

また、電卓は机の上において、片手に鉛筆を持って解くのが学習および試験会場での基本姿勢ですから、持ち上げて、のぞき込まないと見えないような液晶の小さい電卓やデザインの電卓は避けることをオススメします。

「具体的にどんなサイズがポピュラーなの?」という疑問にお答えします。
試験会場にもさまざまな電卓が見受けられますが、一般的には「指をしっかり広げた手のひらのサイズ」というイメージでしょうか。
先述した公認会計士試験の基準を再度引っ張ってくると、「外形寸法がおおむね縦20cm×横20cm×高さ5cmを超えないもの」とあります。これがひとつの目安にはなるでしょう。

メモリー機能のついている電卓を選ぶ理由

「メモリー」とは、「電卓内に数値を記録しておける機能」です。
具体的には、電卓上にある次のようなボタンのことを指します。

M+およびM- 計算した結果(入力した数値)をプラスしたければM+、逆に、マイナスしたければ M-を押します。
MRあるいは RM それまでの計算結果(入力した数値)の合計を呼び出します。
MC(CM) メモリーしていた数値が消えます。

それでは、具体的に簿記の学習でどのように活用できるのかを簡単な設例を用いて確認します。

例えば、工業簿記などで「単価を求めた後、按分する」という計算が必要になった場合です。
次の3つの数式の計算が必要になったとしましょう。(簿記が未学習の方は計算プロセスだけ追ってみてください)。どのように電卓をたたきますか?

(10000+50000)/(200+1000)×300
(10000+50000)/(200+1000)×800
(10000+50000)/(200+1000)×100

足し算をした後に割り算をして、掛け算をする必要があります。
また、ア~ウのいずれも、(10000+50000)/(200+1000)の部分は同じですから、ここの計算を繰り返しやりたくありません。できれば、メモをする手間も省きたいところです。こんなとき、メモリー機能が使えると時短につながります。

メモリー機能を使わない
①10000+50000=60000←メモする
②1000+200=1200←メモする
③60000÷1200=50←メモする
④50×300=15000
⑤50×800=40000
⑥50×100=5000
メモリー機能を使う
①200+1000=1200← M+を押す
これで、計算結果の1200が電卓の中に保存されます。

②10000+50000=60000
ここで、保存されている1200で割りたいので、60000が表示されている状態で「÷MRあるいは RM」をすれば50が導けます。

③MC(CM)を押し、1200を消去。その上でM+を押し、表示されている50を保存。

④MRあるいは RMで50を呼び出せるので、あとは「MRあるいは RM×300」、「MRあるいは RM×800 」「MRあるいは RM×100」の計算を順次行う

以上をまとめると、メモリー機能のメリットは大きくふたつです。

  • メモ書きが不要になる
  • 何度も同じ数字を使いたい時(今回は50)にその数字を入力しなくて済む

この設例のレベルであれば、暗算も可能かもしれません。しかし、簿記の学習では暗算できるようなシンプルな数字が出ることはまれです。
是非、電卓選びの際にはメモリー機能をチェックしておきましょう。

GT機能のついている電卓を選ぶ理由

この機能は、計算結果の合計を算出する機能です。したがって、「これからいくつか計算するけど、最後はそれらを全部合計したい!」というときに威力を発揮します。
簡単な設例で確認してみましょう。

【設例】

X1.4/1備品5,000円、建物10,000円を現金で購入した。
X2.3/31 決算日。備品については定額法(残高価値ゼロ、耐用年数5年)、間接法により減価償却をおこなう。また、建物については定額法(残高価値ゼロ、耐用年数20年)、間接法により減価償却をおこなう。
(簿記が未学習の方は左側の計算プロセスをいかに簡略化できるか?という視点でご覧ください)

GT機能を使わない
①備品の償却費の計算
5000÷5=1000
この1000を計算用紙にメモ書き

②建物の償却費の計算
10000÷20=500
この500を計算用紙にメモ書き

③償却費の合計
1000+500=1500
GT機能を使う
①備品の償却費の計算
5000÷5=1000

②建物の償却費の計算
10000÷20=500

③GTを押す→1500(①②の計算結果の合計)が表示されます。

いかがでしょうか?メモ書きの手間も省けますし、合計の計算をする必要もありません。今回は計算が2つでしたが、実際、5つ6つとなってくるとGT機能の活用が欠かせません。

さて、電卓の選び方として、大きく「禁止されているもの」および「チェックしたいポイント」という視点で見てまいりました。特に、チェックポイントで挙げた機能については学習が進めば進むほど、頼りにするようになります。あなたに合った電卓を選んで、快適な学習環境を整えることをオススメいたします。