簿記合格者に人気の資格「中小企業診断士」とは?ダブルライセンスのメリットは?

簿記合格者に人気の資格「中小企業診断士」とは?ダブルライセンスのメリットは?

簿記合格者に人気の資格「中小企業診断士」とは?

日商簿記2級に合格したあとに、中小企業診断士を目指す方が多いですが、中小企業診断士は独学で合格するまでに、約1,000時間以上の勉強時間を要する難しい試験です。
しかし、平均年収が高いため、近年人気も高まっています。

このページでは、中小企業診断士の「難易度・勉強時間・勉強法」「試験情報」「ダブルライセンスのメリット」「過去問」などについて詳しくご紹介していきます。

目次

簿記合格者に人気の資格「中小企業診断士」とは?

中小企業診断士とは、経営コンサルタントの技能を証明する国家資格です。
合格者は、中小企業の経営コンサルタントとして、組織・人事・財務・労務・生産管理といった広い視点から、経営に関するアドバイスができるようになります。

就職先は、経営コンサルタント会社、一般企業、中小企業支援機関、独立・開業など。

中でも企業に勤務しながら経営に貢献する「企業内診断士」は、平均年収が高く現職者の25%以上が「1,000万円以上」と回答しています(社団法人中小企業診断協会調べ)。

中小企業診断士試験とは?

中小企業診断士試験は、受験資格がないため誰でも受験することができます。
1次試験(マークシート)と2次試験(筆記)があり、1次試験は3年以内に7科目合格すればOK。
そのため、仕事で忙しい方も、自分のペースで合格を目指すことができます。

中小企業診断士試験の難易度は?

中小企業診断士試験の難易度は「高め」です。

合格率は1次試験が23%、2次試験が19%。

2次試験合格者数を1次試験受験者数で割った、最終的な合格率は4%前後のため、体感的には日商簿記1級とほぼ同レベルと考えてよいでしょう。

なお、簿記以外の資格との比較では、公認会計士や税理士よりは易しく、社会保険労務士よりも難しいといわれています。

中小企業診断士の勉強時間は?

中小企業診断士の勉強時間は、個人差はありますが目安として、独学では1,000~1,200時間、通学・通信では800~1,000時間といわれています。
例えば、社会人が1日2時間勉強した場合、独学では1年5カ月~1年8カ月、通信・通学では1年2カ月~1年5カ月かかる計算です。

中小企業診断士は予備校か? 独学か? 通信か?

中小企業診断士試験は、学習範囲がとても広く、試験も2回に分かれているため、自分にあった勉強方法で進めていくことが大切です。

通学講座(予備校) 通信講座 独学
メリット ・効率的に学習できる
・その場で質問ができる
・一緒に頑張る仲間ができる
・法改正に対応できる
・通学よりも費用が安い
・自分のペースで学習ができる
・場所・時間の制限がない
・法改正に対応できる
・費用が一番安い
・自分のペースで学習ができる
デメリット ・費用が一番高い
・場所・時間の制限がある
・交通費がかかる
・その場で質問ができない
・挫折する可能性がある
・質問ができない
・法改正の情報が入ってこない
・挫折しやすい
勉強時間 800~1,000時間 800~1,000時間 1,000~1,200時間
費用 26万円~40万円前後 7万円~40万円前後 1万5,000円以下
向いている人 ・短期で合格したい人
・距離・時間的に通学ができる人
・学習計画を立てることが苦手な人
・金銭的に余裕がある人
・短期で合格したい人
・学習計画を立てることが苦手な人
・なるべく費用を抑えたい人
・合格を急がない人
・コツコツと忍耐強く頑張れる人
・費用を抑えたい人

中小企業診断士に必要な、簿記のレベルを教えて!?

中小企業診断士試験では、1次試験の「財務・会計」と、2次試験の「事例Ⅳ」で、日商簿記2級レベルの問題が出題されます。
具体的に1次では「簿記原理、会計帳簿、決算処理一巡(試算表・精算表の作成、決算仕訳、貸借対照表・損益計算書の作成)」、2次では「財務内容の分析に関する問題」が出題されています。

中小企業診断士は、簿記とのダブルライセンスがおすすめ! 

中小企業診断士と簿記検定は、とても相性の良い資格です。
というのも、中小企業の経営コンサルタントにとって、簿記は不可欠な知識です。
実際に、試験では日商簿記2級レベルの問題が出題され、仕訳を切ることでスムーズに解ける問題もあります。
合格後の将来のためにも、日商簿記2級程度は取得しておくと安心でしょう。

中小企業診断士と相性の良い関連資格は?

この他、中小企業診断士と相性の良い資格としては、社会保険労務士(社労士)、税理士、ファイナンシャルプランナー(FP)などがあげられます。

中小企業診断士は、それだけでも組織・人事・財務・労務などの広い視点から、経営に関わることができますが、他の資格と組み合わせることで、専門分野を明確にできます。
ぜひ、専門分野を持つことで差別化を図り、年収アップにつなげていきましょう。

中小企業診断士ってどんな試験?

中小企業診断士の試験情報
特徴 経営コンサルタントの国家資格
受験資格 不問(年齢・性別・学歴・国籍などの制限はなし)

●1次試験
以下に該当する者は、一次試験の一部科目が免除される。

・大学等の経済学の教授・助教授(通算3年以上)
・経済学博士
・公認会計士試験または旧公認会計士試験第2次試験において経済学を受験して合格した者
・不動産鑑定士、不動産鑑定士試験合格者、不動産鑑定士補、旧不動産鑑定士試験第2次試験合格者
・公認会計士、公認会計士試験合格者、会計士補、会計士補となる有資格者
・税理士、税理士法第3条第1項第1号に規定する者(税理士試験合格者)、税理士法第3条第1項第2号に規定する者(税理士試験免除者)、税理士法第3条第1項第3号に規定する者(弁護士または弁護士となる資格を有する者) ・弁護士、司法試験合格者、旧司法試験第2次試験合格者
・技術士(情報工学部門登録者に限る)、情報工学部門に係る技術士となる資格を有する者 ・次の区分の情報処理技術者試験合格者(ITストラテジスト、システムアーキテクト、応用情報技術者、システムアナリスト、アプリケーションエンジニア、システム監査、プロジェクトマネージャ、ソフトウェア開発、第1種、情報処理システム監査、特種)

●2次試験
第1次試験合格者
合格率 平成29年度……1次:21.7% 2次:19.4%
平成28年度……1次:17.7% 2次:19.2%
平成27年度……1次:26.0% 2次:19.1%
合格率 平成29年度……1次:14,343人 2次:4,279人
平成28年度……1次:13,605人 2次:4,394人
平成27年度……1次:13,186人 2次:4,941人
受験科目 1次(マークシート、7科目)
1.経済学・経済政策
2.財務・会計
3.企業経営理論
4.運営管理
5.経営法務
6.経営情報システム
7.中小企業経営・中小企業政策

2次(筆記、4科目)
1.中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅰ(組織・人事)
2.中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅱ(マーケティング・流通)
3.中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅲ(生産・技術)
4.中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅳ(財務・会計)
試験時間 1次
1日目
経済学・経済政策:9:50 ~ 10:50
財務・会計:11:30 ~ 12:30
企業経営理論:13:30 ~ 15:00
運営管理:15:40 ~ 17:10

2日目
経営法務:9:40 ~ 10:50
経営情報システム:11:30 ~ 12:30
中小企業経営・中小企業政策:13:30 ~ 15:00

2次
事例Ⅰ(組織・人事):9:40 ~ 11:00
事例Ⅱ(マーケティング・流通):11:40 ~ 13:00
事例Ⅲ(生産・技術):14:00 ~ 15:20
事例Ⅳ(財務・会計):16:00 ~ 17:20
合格基準 1次 ・全科目の総合得点が、全科目の満点の6割以上
・各科目の得点が4割以上
・3年以内に7科目に合格すれば合格

2次
筆記
・全科目の総合得点が、全科目の満点の6割以上
・各科目の得点が4割以上

口述
・6割以上
試験日 1次:8月上旬の2日間(土曜日・日曜日)
2次:10月下旬、12月中旬の各1日間(日曜日)
受験料 1次:全国8地区
(札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡・那覇)

2次:筆記・口述とも全国7地区
(札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡)
申込方法 1次、2次ともに郵送
申込期間 1次:5月上旬~5月下旬
2次:8月下旬~9月中旬
合格発表 1次:9月上旬

2次:筆記12月上旬 口述12月下旬
主催団体 一般社団法人中小企業診断協会
公式HP https://www.j-smeca.jp/contents/007_shiken.html

中小企業診断士の過去問をチェック?

中小企業診断士試験では、以下のような問題が出題されます。

問題
プロモーション政策は、プッシュ政策とプル政策とに類型化できる。これに関して、 最も適切なものはどれか。

ア. プッシュ政策は、生産者が消費者を対象として、広告で需要を喚起する。
イ. プッシュ政策は、生産財より消費財に適している。
ウ. プル政策では、卸売業者に向けて、人的販売を展開する。
エ. プル政策とプッシュ政策は組み合わせて採用されることがある。
オ. プル政策は、最寄品よりも高額の買回品において採用される。


解答
プッシュ戦略とは、人的販売や販売促進中心のプロモーションミックスを行い、消費者に納得して買ってもらうような売り込みを基本とする戦略です。一般的に、ブランド志向の高くない製品に対して、販売の場で推奨してもらうように働きかけます。
プル戦略とは、広告やパブリシティを中心としたプロモーションミックスを行い、さまざまなメディアを使って消費者に訴求し、需要を喚起する戦略です。一般的に、ブランド色の強い製品に対して、指名買いをしてもらうように働きかけます。

ア 広告で需要を喚起するのは、プル戦略です。
イ プッシュ政策は消費材より生産財に適しています。
ウ 人的販売はプッシュ政策の代表例です。
エ プル政策とプッシュ政策は組み合わせて採用されることがあります。
オ プル政策は、高額の買回品よりも最寄品において採用されます。


答え エ

(フォーサイト『中小企業診断士 問題集』『解答・解説集』より)

中小企業診断士、免除制度を使って効率的に合格しよう!

中小企業診断士試験には、試験科目の「免除制度」があります。
該当する資格を持っている人は、申請をすることで科目の一部が免除されます。
なお、免除を申請するときは、受付期間内に「科目免除申請書」と「他資格等保有を証明する書類」を提出する必要があります。

中小企業診断士、簿記資格は免除対象になる?

残念ながら、簿記資格は免除対象にはなりません。
ただ、中小企業診断士試験では1次試験「財務・会計」と2次試験「事例Ⅳ」で、日商簿記2級レベルの問題が出題されるため、日商簿記2級を取得しておくことで、受験勉強をスムーズに進めることができます。

中小企業診断士と日商簿記1級、取るならどっち?

中小企業の経営コンサルタントを目指す場合は、中小企業診断士の取得がおすすめです。
理由として、中小企業診断士は学んだ知識をそのままビジネスに応用することができるからです。
将来的には「経営コンサルタント」として独立・開業も可能です。

これに対して日商簿記1級は、合格することで「国家資格である税理士試験の受験資格」を得ることができますが、一般企業の求人では「日商簿記2級」を条件とする企業がほとんどです。
経理士や税理士を目指す場合は簿記1級が必須ですが、通常は2級程度が理想レベルと考えてよいでしょう。

まとめ

今回は、近年、人気が高まる中小企業診断士についてご紹介しました。

中小企業診断士は、経営コンサルタントのスキルを証明する「国家資格」ですが、日本ではまだ2万3,000人程度です。
中小企業380万社に対して、中小企業診断士の人数が全く足りていない状況ですので、近年、高い調査・分析能力を持つコンサルタントに、助言を求める企業は増加し、今後、コンサルティングの需要はさらに高まると考えられています。
簿記や他の資格と組み合わせることで、専門性を生かしたキャリアアップを実現していきましょう。