日商簿記2級「標準原価計算」とは?直接原価計算の違いは?

日商簿記2級「標準原価計算」とは?直接原価計算の違いは?

日商簿記2級、標準原価計算(工業簿記)とは?

日商簿記2級試験の第5問では、「標準原価計算」「直接原価計算」「総合原価計算」などの論点が出題されます。過去10回の試験を見ると、各論点がまんべんなく出題されているので、どの論点が出ても焦らないよう、過去問演習で力をつけておくことが大切です。

そこで今回は、標準原価計算にスポットを当て、受験生に役立つ情報を具体的な例題を使って分かりやすく解説します。

目次

標準原価計算(工業簿記)とは?

これまでに学習した「個別原価計算」や「総合原価計算」は、実際にかかった原価をそのまま集計して、製品の原価を計算する方法でした。このような原価計算の方法を「実際原価計算」といいます。

しかし、この原価計算の方法では、「材料を多く使ってしまった」「高額な材料を使ってしまった」など、無駄なコストがかかる恐れがあります。そこで、最初に目標となる原価を設定しておき、この原価によって製品の原価を計算する方法をとる場合があります。

この原価計算のことを「標準原価計算」といいます。

「標準原価計算」と「直接原価計算」の違いを教えて!?

「標準原価計算」が原価に注目するのに対し、「直接原価計算」は利益に注目する計算です。標準原価計算はコストの無駄を省くために使われますが、直接原価計算は「製品をどれだけ作って、いくらで売れば、一定の利益が出せるか」という利益計画を立てるために使われます。

標準原価計算のメリットとは?

標準原価計算のメリットは、原価の無駄なコストを把握し、分析・改善ができることです。具体的には、あらかじめ目標となる原価を決めておくことで、どこにどれだけ無駄なコストがかかっていたかを知ることができ、改善点を見つけることができるのです。

標準原価計算(第5問)の流れを教えて!?

それでは、標準原価計算の流れを確認してみましょう。

1.原価標準を設定する。

まず、製品1個あたりの目標原価である「原価標準」を設定します。原価標準は製品1単位あたりの標準直接材料費、標準直接労務費、標準製造間接費の合計額として設定されます。標準直接材料費、標準直接労務費、標準製造間接費などの原価要素からなる原価標準は、次のような「標準原価カード」にまとめることができます。

標準原価カード

直接材料費 (標準単価)
200円/kg
(標準消費量)
2kg

400円
直接労務費 (標準賃率)
100円/時間
(標準直接作業時間)
2時間

200円
製造間接費 (標準配賦率)
150円/時間
(標準直接作業時間)
2時間

300円
製品1個あたり標準製造原価
900円

2.標準原価の計算

1で決めた原価標準をもとに、完成品と月末仕掛品の標準原価を計算します。

当月標準原価 = 原価標準 × 生産実績

3.実際原価の計算

当月の直接材料費、直接労務費、製造間接費を集計し、実際原価を計算します。

4.原価差異の計算

当月の標準原価と実際原価を比較して、原価差異を計算します。

原価差異 = 当月標準原価 - 当月実際原価

5.原価差異の分析・改善を行う

「作業に時間をかけ過ぎた」「材料を使い過ぎた」など、無駄なコストを見つけ改善します。

標準原価計算の過去問をチェック!

日商簿記2級試験の標準原価計算(第5問)では、以下のような問題が出題されます。

製品Aを量産する「X社は、パーシャル・プランの標準原価計算を採用している。次の資料にもとづき、製造間接費の差異分析を行いなさい。なお、差異分析で変動予算を用いて、予算差異、能率差異、操業度差異を計算すること。このとき、能率差異は変動費と固定費からなるものとして計算しなさい。

(資料)
1.当月実際製造間接費 15,888,000円(内訳:変動費 628,000円 固定費 960,000円)
2.当月の実際直接作業時間は7,800時間であった。
3.当月生産データ 月初仕掛品 200個(進捗度50%) 当月完成品 2,400個
         月末仕掛品 400個(進捗度50%) 
4.製品Aの1個当たりの標準直接作業時間は3時間である。
5.年間製造間接費予算 19,200,000円(内訳:変動費 7,680,000円 固定費 11,520,000円)
6.年間の正常直接作業時間は96,000時間である。

(注)製造間接費は直接作業時間を基準として製品に標準配賦されている。

フォーサイト『簿記2級 問題集』より

シングルプランとパーシャルプランの違いを教えて

標準原価計算の記帳方法には、「パーシャルプラン」と「シングルプラン」があります。違いとしては、実際原価で記帳する方法を「パーシャルプラン」、標準原価で記帳する方法を「シングルプラン」といいます。

パーシャルプランとは

仕掛品の当月製造費用(直接材料費、直接労務費、製造間接費)を実際原価で行う方法です。他はすべて標準原価で行われます。なお、パーシャルプランでは、「仕掛品」勘定で原価差異が把握されます。

シングルプランとは

仕掛品の当月製造費用(直接材料費、直接労務費、製造間接費)を標準原価で行う方法です。したがって、シングルプランでは、「材料」「賃金」「経費」「製造間接費」の各勘定で原価差異が把握されます。

標準原価計算(第5問)の出題傾向

日商簿記2級試験の第5問では、「標準原価計算」「直接原価計算」「総合原価計算」などの論点が出題されます。最近の傾向としては、各論点が満遍なく出題されているので、どの論点が出ても対応できるよう、過去問演習で出題形式に慣れておきましょう。

まとめ

今回は、日商簿記2級の「第5問対策」として標準原価計算に注目し、「標準原価計算とは?」、「過去問チェック(日商簿記2級)」「出題傾向」「手続の流れ」「シングルプランとパーシャルプランの違い」などを、具体的な例題を使って解説しました。

簿記2級の受験者は、「工業簿記」に苦手意識を持ってしまいがちです。その理由として、「製造業が用いる簿記」というものがイメージしづらい点、全体像をしっかりと理解しないと、問題が解きづらい点などが挙げられます。

したがって、工業簿記を学習するときは、自分のレベルに合った分かりやすいテキストを選び、工業簿記の手続きの流れ(全体像)を理解することから始めていきましょう。