繰越利益剰余金とは

期末における繰越利益剰余金の増加および減少

<p>かりに一年の企業の活動の成果が次のようだった場合、繰越利益剰余金は次のように増加します。</p><p>&lt;graybox&gt;【設例】</p><p>諸収益：100000円<br>諸費用：90000円&lt;/graybox&gt;</p><figure class="table"><table><tbody><tr><td>諸収益</td><td>100000</td><td>諸費用<br>損益</td><td>90000<br>10000</td></tr><tr><td>損益</td><td>10000</td><td>繰越利益剰余金</td><td>10000</td></tr></tbody></table></figure><p>ちなみに、減少する場合、例えば、企業が赤字だった場合は繰越利益剰余金のマイナスが発生することになります。</p><p>&lt;graybox&gt;【設例】</p><p>諸収益：90000円<br>諸費用：100000円&lt;/graybox&gt;</p><figure class="table"><table><tbody><tr><td>諸収益<br>損益</td><td>90000<br>10000</td><td>諸費用</td><td>100000</td></tr><tr><td>繰越利益剰余金</td><td>10000</td><td>損益</td><td>10000</td></tr></tbody></table></figure>

配当による繰越利益剰余金の減少

<p>さて、「利益」についてですが、会社は法律上、株主のものですから、企業が生み出した利益を株主の許可なく、勝手に会社の外に流出させることはできません。</p><p>したがって、減少させるには主に、株主総会を開催し、その決議を受ける必要があります。</p><p>例えば、6月の株主総会で次のような決議がなされたとします。</p><p>&lt;graybox&gt;【設例】</p><p>当期純利益10000<br>繰越利益剰余金による配当　1000<br>配当による準備金の積み立て　100&lt;/graybox&gt;</p><p>このときの仕訳は次のようになります。</p><figure class="table"><table><tbody><tr><td>繰越利益剰余金</td><td>1100</td><td>未払配当金<br>利益準備金</td><td>1000<br>100</td></tr></tbody></table></figure><p>配当をおこなう事により、繰越利益剰余金が1100円減少しています。</p>

積立金の積立てによる繰越利益剰余金の減少

<p>積立金とは、ある意図をもって会社にお金を積み立てる仕組みです。例えば、「将来的に大きな工事をする予定がある」だとか、「将来退職する役員の退職金への備え」のようなものが挙げられます。<br>かりに、「将来、自社ビルの修理が必要になるから、そのために10000円、お金を積み立てておこう」というのであれば、次のような仕訳が考えられます。</p><figure class="table"><table><tbody><tr><td>繰越利益剰余金</td><td>10000</td><td>任意積立金</td><td>10000</td></tr></tbody></table></figure>

積立金の取り崩しよる繰越利益剰余金の増加

<p>ちなみに、「なぜわざわざ積立なんかするの？」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。<br>冒頭で繰越利益剰余金とは、「株主への配当もしていないし、必要性を意識して目的を持って積み立てもされていない利益」と位置付けました。<br>つまり、繰越利益剰余金のまま持っていると、将来的に配当として社外に流出し、将来お金が必要になったタイミングで「そのお金がない！」という事態になりかねません。<br>積立金とは、「目的を達成するために配当はしない」と会社が意思決定した金額と言えます。</p><p>さて、実際にビルの修繕が必要になったときには、積立金を取り崩して次のような仕訳が行われます</p><figure class="table"><table><tbody><tr><td>任意積立金</td><td>10000</td><td>繰越利益剰余金</td><td>10000</td></tr></tbody></table></figure><p>ビルの修繕という目的を無事達成したのですから、10000円は今後、配当として流出しても構いません。したがって、元の勘定科目である繰越利益剰余金に戻す操作をします。</p>

欠損填補と繰越利益剰余金

<p>欠損填補とはひとことで言ってしまえば、繰越利益剰余金がマイナスになっている状態を解消することです。<br>具体的には準備金（資本準備金あるいは利益準備金）を欠損填補に充てることができます。<br>このとき、借方（純資産）にある準備金をマイナスさせ、その分、繰越利益剰余金をプラスさせます。</p><p>①資本準備金による欠損填補</p><figure class="table"><table><tbody><tr><td>資本準備金</td><td>10000</td><td>繰越利益剰余金</td><td>10000</td></tr></tbody></table></figure><p>②利益準備金による欠損填補</p><figure class="table"><table><tbody><tr><td>利益準備金</td><td>10000</td><td>繰越利益剰余金</td><td>10000</td></tr></tbody></table></figure>

<p>一般に決算書と言われる会社の計算書類には様々なものがありますが、繰越利益剰余金はその中でも、貸借対照表と言われる書類の、なかでも「純資産の部」に位置づけられる勘定科目です。<br>純資産とは、「元手として出した資本とその増えた分（あるいは減った分）をずっと入れておく貯金箱のようなもの」とイメージしていただくと良いでしょう。</p><p>純資産の部には「元手として出した資本」の最も大きなものである「資本金」という勘定科目がありますが、繰越利益剰余金は企業が1年間の活動を終えた時点で、株主への配当もしていないし、必要性を意識して目的を持って積み立てもされていない利益ということができます。<br>この「利益」というのはこの一年頑張って企業が出した利益もあれば、過去に蓄積した利益も含みます。</p>

そもそも、決算書における繰越利益剰余金の位置づけとは？

<p>簿記3級においては、繰越利益剰余金の取り扱いは非常にシンプルです。繰越利益剰余金の性質と、期末での損益振替の意味合いを押さえておきましょう。<br>内容としては、本ページ冒頭部分の、期末における繰越利益剰余金の増加および減少に関する内容を理解する必要があります。<br>簿記2級では株主資本等変動計算書などで繰越利益剰余金が出題されます。株主資本等変動計算書とは繰越利益剰余金のみならず、株主資本の変動状況を表わす書類です。この作成手順の理解が必要です。</p><p>繰越利益剰余金とは、「株主への配当もしていないし、必要性を意識して目的を持って積み立てもされていない利益」と定義づけました。その性質から、配当として減少することもあれば、積立てによって、社外流出を防ぐという流れも自然とつながっていくのではないでしょうか。</p><p><a target="_blank" rel="noopener noreferrer" href="https://www.foresight.jp/rtl/">無料体験学習</a></p>

簿記検定に登場する繰越利益剰余金

<figure class="image"><img style="aspect-ratio:660/371;" src="https://storage.googleapis.com/mcs-fs-pro-strapi-uploads-clone202504111055/retained-earnings-carried-forward/main-1739111825479-899206121.jpg" alt="小銭並べてる人" srcset="https://storage.googleapis.com/mcs-fs-pro-strapi-uploads-clone202504111055/thumbnail_main-1739111825473-87876219.jpg 245w,https://storage.googleapis.com/mcs-fs-pro-strapi-uploads-clone202504111055/small_main-1739111825473-748097917.jpg 500w," sizes="100vw" width="660" height="371"></figure><p>繰越利益剰余金とは、会計用語の定義としては「利益準備金及び、任意積立金以外の利益剰余金」と言えます。では、利益準備金及び、任意積立金ではないということにどのような意味があるのでしょうか。また、繰越利益剰余金はどのようにして増えたり減ったりするのでしょうか？</p>

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