ビッグデータとは何か?基本情報技術者試験の重要キーワードを解説

更新日:2022年1月14日

ビッグデータとは何か?基本情報技術者試験の重要キーワードを解説

ビッグデータという言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。ビッグデータという言葉はすでに一般的なものになりましたが、一方でビッグデータがいったい何を意味するものなのか、具体的な内容について知っている方は少ないと思います。ビッグデータはあいまいな概念であり理解しにくいものです。 基本情報技術者試験でも、ビッグデータというキーワードは頻繁に登場します。この記事では、ビッグデータの概要や事例、活用方法などについて解説を行います。

目次

ビッグデータとは

そもそも、ビッグデータとはいったい何なのでしょうか。以下では、ビッグデータの定義や特徴について解説します。

ビッグデータの定義

ビッグデータという言葉を日本語に翻訳すると、「大量のデータ」という意味になります。しかしながら、特にITの分野においてはビッグデータとは企業などに眠る大量のデータを収集したデータベースのことを指します。
企業には、販売実績データや製造データ、機器のデータや顧客データなど、有用なデータが大量に眠っています。これらのデータを分析することで新たな知見を得ることができるため、データの活用は企業経営にとって重要な要素とみなされています。
近年では、AIの技術発展もあり、データの重要性はさらに増しています。ビッグデータを収集し、活用していくことが企業にとっての重要な課題となっているのです。

ビッグデータの特徴

ビッグデータは大量のデータベースであることはもちろん、ビジネスの改善に利用できるデータであるという特徴があります。単に大量のデータを集めただけでは、分析に利用することはできません。分析を行うためには、一定の形式に沿った形でデータを収集する必要があります。 例えば、顧客情報の分析を行う場合に、顧客の生年月日が西暦や和暦で収集されていたら、分析は捗りません。また、販売実績データを分析しようとした際に、売上明細がデータごとにあったりなかったりしたら、うまく分析を行うことはできないでしょう。このように、分析のためにはデータの形式や粒度などをそろえる必要があります。
ビッグデータと呼べるデータベースを作るためには、データの形式や粒度をそろえ、分析できる状態に加工する必要があります。

ビッグデータが注目される理由

これまでもデータの重要性はたびたび注目されてきましたが、近年特にビッグデータが注目されている理由には、上述したAI技術の発展があります。AIを利用するためにはAIの学習に用いる学習用のデータが必須となります。さらに、このデータの質・量が高ければ高いほど、AIの活用可能性は広がっていきます。よって、AIの活用のためにも、企業に眠るデータをビッグデータとして整理し、企業のデータを利用していくことが大切です。 様々なシステムに眠るデータを集めたデータセットであるビッグデータは、企業価値を向上させることができるものとして注目されているのです。

ビッグデータの例

それでは、具体的にどのようなデータがビッグデータとして活用されているのでしょうか。以下では、ビッグデータの例を紹介します。

SNS

SNSでは、ユーザーにより日々大量の投稿がされています。これらのデータは、企業のマーケティング活動などに利用できるビッグデータということができます。
例えば、ある自社商品の評判を調べたいとします。このような場合には、商品名称などをキーワードにSNSから情報を抽出し、その情報をAIにより感情分析します。ある商品には肯定的な意見が多いものの、ある商品が不評である場合は、その不評の商品についてさらにユーザーの投稿を深堀していきます。これにより、商品が持っている課題や改善点が明らかとなります。

IoTセンサ

IoTの普及とともに、製造業などではIoTセンサを用いて機器の状態監視などを実施するようになりました。これらのデータから機器の状態を遠隔でもチェックすることができます。
特に、ビッグデータとしてIoTセンサのデータを活用することで、機器の障害検知を行ったり保守頻度の検討を行ったりすることが可能です。

販売実績

企業が顧客に対して商品やサービスを販売した販売実績データも、ビッグデータとして様々な分析に活用することができます。例えば、販売実績データを時系列で分析することで、季節ごとにどのように需要が変化しているかを分析し、製造計画の立案に反映させるようなことが可能です。また、反対に販売実績の変化がどのような需要に基づいて変化しているかを分析することもできます。この場合、販売実績データと仮説として考えられる変動要素を組み合わせることで、どの変動要素(例えば天気や気温、地域など)が需要の変化に影響しているのかを統計的に分析します。

顧客データ

顧客データを分析しセグメンテーション化することで、高度なマーケティングを実現することができます。セグメンテーションとは、年齢や性別、持ち家・賃貸の別などの顧客の属性を切り口として顧客を分類することです。セグメンテーション分けをしたうえで自社の顧客の特性を分析することで、より顧客に合わせたマーケティング活動を実現することができます。
例えば、セグメンテーション分析の結果、当初は若者向けに企画した商品が比較的年配層にも売れていることが明らかとなったとします。なぜそのような結果になったのかアンケート調査などを行うことで明らかとし、今後の商品開発に生かすようなフィードバックが可能となります。

ビッグデータの活用方法

それでは、ビッグデータはどのように活用することができるのでしょうか。以下では、ビッグデータの活用方法について紹介します。

マーケティング

これまで示してきたように、ビッグデータである顧客データや販売実績などを用いてマーケティング活動を実現することができます。セグメンテーション分析のようにビッグデータをセグメントごとに分けて分析する場合、各セグメントのデータ数が十分に確保できないと、精度の高い分析はできません。よって、データが多ければ多いほど、より詳細なセグメント分けを実現することができます。
現代的なマーケティング活動において、ビッグデータはなくてはならないものといえるでしょう。

生産計画立案

ビッグデータである販売実績や製造実績などを元に、生産計画の立案が可能となります。販売実績を用いることで需要を予測してより最適な生産計画の立案を行うことができますし、また過去の製造実績を分析することで、製造工程における無駄や非効率を明らかにすることもできます。
例えば、ある商品の需要が天気によって変動していることが明らかとなったとします。この場合、天気予報をインプット要素として翌日の生産量を決定することができるでしょう。

経営方針の意思決定

ビッグデータの利用方法として、経営方針の決定にも活用することができます。過去の販売実績や製造実績、財務会計データなどのビッグデータを参照することで、将来の経営計画の立案に利用することができます。
例えば、ある商品の販売実績動向を確認し、今後の需要増が見込めないようであれば、商品の改良もしくは商品の廃止の意思決定をするべきだと判断できます。また、あるセグメントに自社商品の需要が増えていることが明らかになれば、さらなる販売増を狙って当該セグメントに対する施策を行っていくべきだと考えられます。

AI活用

上述した通り、AIの活用のためには学習データとなるインプット情報が必須となります。AIの学習データとしてビッグデータを活用することが可能です。
AIとは、過去のデータの傾向を捉えて学習することで、新たなデータをどのように分類するか、もしくは未来がどのようになるかを予測する技術のことです。例えば、工場において不良品の検査業務を行う際には、収集した良品の画像データと不良品の画像データをAIに読み込ませ、学習させることで、レーンに設置したカメラに映った製品が良品か不良品かを判断することが可能となります。この際に、良品・不良品の画像データをビッグデータとして保持していれば、AIの精度を向上させることが可能となります。

まとめ

この記事では、基本情報技術者試験を受けようとされている方に向けて、ビッグデータに関する内容の解説を行いました。ビッグデータはすでに一般的な言葉になりましたが、一方でビッグデータの具体的な内容まで知っている方は少ないのではないでしょうか。基本情報技術者試験でもビッグデータという言葉は頻繁に登場しますので、試験対策としてもビッグデータの概要を押さえておくことをおすすめします。

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