基本情報技術者試験の重要ポイント!IPアドレスとは何か

更新日:2021年7月20日

IPアドレスとは何か

現実世界では住所を用いて手紙のやり取りなどを行いますが、インターネットの世界では、IPアドレスと呼ばれる数字列が住所情報の代わりとなっています。

全世界のコンピュータはIPアドレスにより通信先を特定して通信を行っており、IPアドレスは現代のインターネット社会においてなくてはならない要素です。

この記事では、基本情報技術者試験の対策としてIPアドレスについての解説を行います。

目次

IPアドレスとは

上述の通り、IPアドレスとは、コンピュータ通信における住所のようなものです。コンピュータ間での通信相手の指定方法はIPアドレスによります。

例えば、私たちがGoogleのWebサイトにアクセスする際にはブラウザにgoogle.co.jpと入力すると思いますが、実はこの表記はIPアドレスを人間にわかりやすく変換したものであり、google.co.jpという入力により実際には「172.217.31.131」というIPアドレスにアクセスしていることになります。

IPv4とIPv6

IPアドレスには、32ビットのデータで表されるIPv4と、128ビットのデータで表されるIPv6が存在します。IPv4では、IPアドレスは32個の0と1の羅列により構成され、IPv6では128個の0と1の羅列により構成されます。

実際には、0と1の羅列ではあまりにわかりにくいため、IPv4では「123.456.789.012」のように10進数で、IPv6では「2001:0db8:1234:5678:90ab:cdef:0000:0000」のように16進数で表記することが一般的です。

IPv6のほうがより新しいバージョンではありますが、現在でもインターネットではIPv4が主流で用いられており、 少しずつIPv6への移行が進められているという状況です。

グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレス

IPアドレスにはグローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスの2種類が存在します。

グローバルIPアドレスは、全世界で一意に定められたIPアドレスのことです。様々なコンピュータと通信を行う際には、基本的にグローバルIPアドレスを用います。

家庭でインターネットを利用している場合は、おそらくプロバイダとの契約において一つのグローバルIPアドレスが割り当てられていることでしょう。

一方でプライベートIPアドレスは、LAN内などで用いられるローカルで付与するIPアドレスのことです。

会社や学校などの限られた範囲で通信を行う際には、その中でのみ有効となるプライベートIPアドレスを利用します。

特にIPv4ではグローバルIPアドレスの数が不足しており、すべてのコンピュータでグローバルIPアドレスを利用できるほどの余裕がありません。その問題を解決するために、LAN内ではプライベートIPアドレスで代替して通信を行うことになっています。

NATとNAPT

一方で、LAN内からインターネットを通して他のコンピュータと通信を行う際に、グローバルIPアドレスが無くては通信を行うことができません。上述の通り、インターネット上での相互通信においてはグローバルIPを指定する必要があります。

LAN内からインターネットへの通信においては、NATもしくはNAPTという技術が用いられます。

NATおよびNAPTは、グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスを変換して利用できるようにする技術のことです。NATおよびNAPTにより、グローバルIPアドレスを持っていないコンピュータ端末からでも、疑似的にグローバルIPアドレスを持っているかのように通信を行うことができます。

DHCP

DHCPは、LAN内で各コンピュータに自動でプライベートIPアドレスを付与する仕組みのことです。

皆さんが家庭などでwifiを利用してインターネットなどを閲覧するときに、スマホやPCに対してIPアドレスを設定した覚えはないと思います。DHCPは、LAN内に新たな端末が接続された際に、自動的にIPアドレスを付与し、インターネット通信を行えるようにしています。

特にコンピュータの台数が増えてくると、手動でIPアドレスを設定するのは煩雑になります。DHCPを用いることで、IPアドレスの管理を手軽に行うことができます。

IPアドレスのクラス

IPアドレスには、利用されるネットワークの規模に応じてクラスAからクラスCまでのクラス分けが存在します。

IPv4のIPアドレスは、32桁をネットワーク部とホスト部に分割して利用します。ネットワーク部は、コンピュータがどのネットワークに所属しているものかを示すもので、ホスト部はそのネットワークの中で個別のコンピュータを識別するためのものです。

クラスAでは、32桁のうち上部8桁をネットワーク部として指定します。反対に残り24桁がホスト部となるため、クラスAのネットワークでは2の24乗-2=16,777,214台(後述する特定用途の2つのアドレスを除きます。以下同様)のコンピュータを接続することができます。

クラスBでは、32桁のうち上部16桁をネットワーク部として指定します。残り16桁がホスト部となるため、クラスBのネットワークでは2の16乗-2=65,534台のコンピュータを接続することができます。

クラスCでは、32桁のうち上部24桁をネットワーク部として指定します。残り8桁がホスト部となるため、クラスCのネットワークでは2の8乗-2=254台のコンピュータを接続することができます。

サブネットマスク

上述したクラス単位でネットワークを運用すると、クラスA・B・Cのいずれかしか選択肢がなく、クラスAとBの間やBとCの間の端末台数でネットワークを運用したい場合に無駄が大きくなります。ただでさえ不足しているグローバルIPアドレスですから、効率的な運用が求められます。

そこで、1つのクラスで設定されたIPアドレスを複数の組織で分割して利用できるように、サブネットマスクという仕組みを用います。サブネットマスクを用いると、ネットワークをサブネットごとに分割することができます。

サブネットマスクは、ネットワーク部とホスト部の境界を表す32桁の2進数で、ネットワーク部のビットを1、ホスト部のビットを0として表します。

例えば、クラスAとBの間のネットワークを作りたい時には、32桁のうち上部12桁を1、下部20桁を0とするサブネットマスクにより、ホスト部が20桁 = 1,048,574台のコンピュータを接続できるネットワークを作ることができます。

特別なIPアドレス

IPアドレスには、特別な意味を持つ固有のアドレスが存在します。以下では、特別なIPアドレスについて2つ紹介します。

なお、上記で一つのネットワークに接続できるコンピュータの台数をマイナス2して計算していたかと思いますが、これは以下で紹介する2つの特別なIPアドレスの分、利用できないIPアドレスが存在するためです。

ネットワークアドレス

ネットワークアドレスは、そのネットワークそのものを示すアドレスとして用いられるIPドレスです。ネットワークアドレスはホスト部のビットがすべて0のIPアドレスです。

例えばよく自宅のLANなどで目にする192.168.1.XXXのネットワークであれば、ネットワークアドレスは192.168.1.0となります。

ブロードキャストアドレス

ブロードキャストアドレスは、ネットワーク上に存在するすべての端末に情報を送信する際に用いられるIPアドレスです。

ブロードキャストアドレスはホスト部がすべて1のIPアドレスで、例えば上述の192.168.1.XXXのネットワークであれば、ブロードキャストアドレスは192.168.1.255となります。

まとめ

この記事では、基本情報技術者試験を受けようとされている方に向けて、IPアドレスに関する内容の解説を行いました。

IPアドレスはインターネットをはじめとした通信におけるもっとも重要な要素であり、IPアドレスの利用方法について理解することはネットワークの理解の第一歩となります。IT業界に携わる方であれば、ぜひ理解しておくとよいでしょう。

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