基本情報技術者試験で問われるサービスマネジメントの解説!

サービスマネジメントの解説

システムは導入することがゴールではありません。システムを業務で安定的に利用できてこそ、システムは価値を発揮します。

システムを安定的に利用するためには、システムの運用保守を行い、システムの定期的なメンテナンスやシステム障害時の早期対応を行う必要があります。

システムの運用保守を実施していくうえで大切なのがサービスマネジメントです。この記事では、基本情報技術者試験で問われるサービスマネジメントについて解説を行います。

目次

サービスマネジメントとは

システムを業務に利用するためには、メンテナンスや障害対応、バックアップやログ確認などの定期的な運用業務を実施する必要があります。ITを運用してシステムを提供することを、ITサービスの提供ともいいます。

サービスマネジメントとは、ITサービスを効率よく提供するためにマネジメントし、そのサービスレベルを維持するための取り組みを意味します。

日々の運用業務として実施すべき内容については、サービスマネジメントプロセスとして定められています。運用業務を実施する上では、サービスマネジメントプロセスに沿って過不足なく業務を整理することが大切です。

SLA

サービスマネジメントが目標とするサービスレベルとは何でしょうか。サービスレベルとは、システムの稼働時間や障害発生率、問い合わせへの対応時間等、ITサービスの品質のことです。高いサービスレベルを目指すことは、すなわちITシステムのより良い活用につながります。

しかしながら、ITサービスにおいて高いサービスレベルを目指すためには、コストも必要です。ですので、システムの特性に応じて、適切なサービスレベルを設定することが大切です。あるシステムの運用において、ITサービス発注側、提供側で同意したサービスレベルを、SLA(Service Level Agreement)と呼びます。

システムの運用を開始する前に、サービスの内容や品質を定量的にSLAとして定め、文章にて共有します。

ITIL

ITILとは、サービスマネジメントにおけるベストプラクティスをまとめたものです。サービスマネジメントはITILに沿って実施されることが多く、基本情報技術者試験でもITILの内容は頻繁に出題されます。

ITILでは、ITサービスの提供のための要素を5つの段階として定めています。下表にて、ITILの5つの要素を紹介します。

 
名称 概要
サービスストラテジ
(戦略)
サービスの利用規模や必要コスト、リソースなどの状況に基づき、提供するITサービスの戦略について検討する。
サービスデザイン
(設計)
サービスストラテジで決定した戦略を実現できるように、ITサービスの内容を設計する。
サービストランジション
(移行)
サービスデザインで設計されたサービスについて、運用の段階に移行する際の手順やリスクについて整理する。
サービスオペレーション
(運用)
サービスデザインで合意されたサービスレベルに基づき、ITサービスを提供する。
継続的なサービス改善 将来にわたって高いレベルでITサービスを提供し続けるために、ITサービス提供内容を分析し、継続的に改善する。

サービスマネジメント計画

サービスマネジメントはその管理項目や管理の実施方法についてあらかじめ計画を立てたうえで実施します。サービスマネジメント計画において対象とすべき内容を以下で解説します。

SLA管理

SLA管理とは、定期的にサービスレベルの実績を確認し、事前に定めたSLAを順守できていない場合は改善を行う取り組みのことです。SLA管理では、大きく以下の内容について整理し、ITサービスの提供者へ報告の上、必要に応じてITサービスの提供内容を改善します。

項目 概要
実績の確認とSLA達成状況 現状のサービスレベルの実績を把握し、当初目標としたSLAを達成しているか確認する。
評価・分析 現状のサービスレベルについて評価を行い、SLAを達成できていない場合はその理由について分析を行う。
改善策の検討と実行 SLAを達成できていない場合は、サービスレベルを改善するための改善策を検討し、実行する。

キャパシティ管理

キャパシティとは、システムが発揮できる能力のことです。ITシステムはその保有リソースに応じて、処理できる量に上限が存在します。キャパシティ管理では、システムのリソース利用状況を確認し、今後見込まれるITシステムの利用想定に応じて、リソースの追加・削減を検討することを指します。

近年では、クラウドの採用により以前よりリソースの増減に対するコストが下がりました。リソースを変更しやすくなったため、ITサービス提供においてもキャパシティ管理の重要性が増しています。適切なキャパシティ管理を行い、ITシステムの過剰なリソースを削減し、ITコストを最小化することが大切です。

可用性管理

可用性とは、システムが利用できる度合いを示すものです。具体的には、システムを利用したいと考えている時間に対して、実際にシステムを利用できた時間の割合が可用性として示される指標です。

例えば、24時間365日稼働するシステムがあったとして、障害等を理由に1年間の間に1日利用できなかったとしたら、可用性は 364 / 365 ≒ 99.7%となります。

可用性管理では、システムの可用性を保つために障害頻度を見積もり、ITサービスが中断しないように監視・管理を行います。そして、定期的にシステムの可用性を計測し、SLAに達していないようであれば改善策を検討します。

インシデント管理

インシデントとは、システムに発生した障害等の問題のことです。インシデント管理では、インシデントの発生時の検知方法や、インシデント発生時の対応フロー、インシデントの管理方法やインシデント解決までの対応について整理を行い、実践します。

一般的に、インシデントはその与える影響に応じて重要度を定め、重要度に応じて対応を行います。

例えばATMの停止などの多くの人に影響を与えるようなインシデントであれば、即座に対応できるようにインシデントの対応方法を設定します。一方で、例えばシステムのバックアップエラーのように即座に業務に影響を与えるものではないケースであれば、優先度を下げて対応を行います。

変更管理

システムの利用を開始した後、業務手順の変更や法制度の改正などを理由に、システムを改修する必要が生じることがあります。変更管理では、システムの改修要望を把握し、改修作業におけるリスクを抑えつつシステムの修正を行います。

一般的に、改修要望の都度システムを改修するとコストがかさみます。即座に対応する必要のない内容については、定期リリースに含めるなどある程度まとまった単位で改修を行うとよいでしょう。一方で、法制度の変更のように明確に対応期限があるものについては、期日に向けて確実な対応が必要となります。

リリース

システムの改修を実施した際には、リリース作業が必要となります。リリースもITサービスの一環としてサービスマネジメントの対象となります。リリースにおいてはシステム停止等、リリース作業がITサービスに与える影響を分析し、影響を最小限とするように検討します。

日中帯においてシステムを停止することができない場合、リリースは夜間に実施することも検討します。一方で、夜間のリリースはコストも上がり、障害発生時に対応が遅れるリスクもあるために、システムの特性に応じて最適なリリースタイミングとリリース後の監視体制について検討を行います。

サービスの運用

ITサービスの提供において最も大切なのは、日々の運用業務です。運用体制を構築し、確実に日々のオペレーションを実施してこそ、ITシステムの価値を発揮することができます。ここでは、ITサービスの運用について解説します。

システム運用管理

システム運用管理では、日々の運用作業が正しく行われているかをチェックします。日々の運用実績について蓄積を行い、定期的な運用報告を発注者に対して実施します。一般的には、月次などで運用報告を行うケースが多いです。

運用報告で報告する内容としては、例えば以下のような項目があげられます。

項目 概要
運用作業一覧 報告対象期間中に実施した運用作業の一覧と件数を報告する。
システム利用状況 報告対象期間中のシステムへのアクセス数やシステムの処理件数等を報告する。
キャパシティ報告 現状で利用しているディスクやネットワーク帯域、CPUやメモリ等について報告する。
インシデント一覧 報告対象期間中に発生したインシデントとその対応状況について報告する。
ヘルプデスク対応状況 報告対象期間中に実施したヘルプデスクでの対応について報告する。

運用オペレーション

ITサービスの提供において最も基礎となるのが日々の運用業務です。ITサービス提供者は、日々の運用作業として、運用手順書に沿ってオペレーションを行います。

運用オペレーションとして実施する内容として、具体的には定期実行ジョブの実施やバックアップ、システムの稼働監視やログ確認等があげられます。また、障害が発生した場合は定められたインシデント管理内容に従ってインシデント対応を実施します。

サービスデスク

多くの利用者が利用するシステムでは、利用者からの問い合わせ対応を受け付けるサービスデスクを設置します。

サービスデスクは問い合わせ内容を記録し、対応マニュアルに存在する内容であればその場で回答を行い、対応が難しい場合は必要に応じて適切な部署への引継ぎを実施します。このような対応を、一次受けと呼ぶこともあります。

サービスデスクでは、システムの利用方法やトラブル時の対処、苦情などあらゆることについて問い合わせを受け、回答する必要があります。できるだけサービスデスク内で回答を行えるようにマニュアル類を整備することが、効率的なITサービスの提供においては大切です。

まとめ

この記事では、基本情報技術者試験を受けようとされている方に向けて、サービスマネジメントについての解説を行いました。繰り返しになりますが、システムは開発しただけでは価値を生みません。システムの安定的な運用がシステム活用の最大のポイントです。

普段開発に携わっている方も、サービスマネジメントについての知識があると良いシステムを開発できるのではないかと思います。これを機に、ぜひサービスマネジメントについて学習してみてください。