社労士試験の一般常識キーワード「コンピテンシー」とは?
更新日:2021年3月11日
社労士試験の一般常識科目では、主要科目以外の関連法令の他、基本的な労務管理用語も出題範囲に含まれます。
後者は出題頻度としてはさほど高くない分、対策が手薄になりがちなテーマであることから、いざ出題されると慌ててしまう受験生は多いようです。
ここでは、社労士試験で狙われる労務管理用語のうち、社労士実務に登場する「コンピテンシー」について理解を深めましょう。
社労士試験の一般常識に登場する「コンピテンシー」とは?
コンピテンシーとは、ひと言でいえば、「仕事で成果を上げ続ける人に共通する行動特性」のことです。
一般的にはあまりなじみのない言葉に感じられるかもしれません。ところが、アメリカ企業では1990年頃から「人材の能力」に主軸を置いた人事管理が注目されており、ここにコンピテンシーの考え方が導入されてきました。
日本においても近年、人材育成、能力開発や人事評価などの各分野における指標として活用され始めています。
人事制度上、「コンピテンシー」が重視されるのはなぜ?
日本においてコンピテンシーが注目されるようになった背景には、日本企業における「人事制度改革」があります。昨今、報酬体系が、これまで主流とされてきた年功序列型から成果報酬型へと移行しつつあり、これに伴い従業員の成果を客観的に図る指標が必要となりました。
コンピテンシーは、単なる「結果」だけでなく、客観的に示しにくい「成果」を正しく評価につなげるための手法として活かすことができます。
コンピテンシー人事評価制度とは?
働き方改革とそれに伴う企業変革の最中において、コンピテンシーを用いた人事評価制度の活用は一層重視される傾向にあります。
組織においてモデルとなる行動特性を細かく分析することで、労働者各人に対する具体的な目標設定につながり、ゆくゆくは組織全体のボトムアップが期待できるでしょう。
具体的には、行動基準、組織診断、社員の能力測定、評価基準、採用試験、社員の長期採用・教育計画等、コンピテンシーはあらゆるテーマの検討に活かされます。
社労士試験におけるコンピテンシーの出題実績は?
コンピテンシーは社労士試験の労一に登場するキーワードですが、これまでの出題頻度はさほど高くありません。ただし、社労士実務においてコンピテンシーの考え方が重視されつつある今日においては、今後、出題の可能性が高まってくるものと予想されます。
「コンピテンシー」を労務管理用語のひとつとして覚えておくべし
このページで解説した「コンピテンシー」等の労務管理用語については、社労士試験の出題範囲に含まれることから、対策テキストに登場する基本的なキーワードとその意味をおさえておく必要があります。
コンピテンシーの話からは逸れますが、社労士試験の過去の出題を見ると、代表的な労務管理の手法やその考え方を示した人物名、職能給や職務給の説明等が、選択式・択一式で問われています。
労務管理用語は、カタカナで覚えにくかったり、混同しがちな内容でなかなか頭に入らなかったりしがちですが、最低限、過去に問われたことのあるキーワードについては確実におさえておく必要があります。
後手に回りがちな労一対策は主要科目の合間に着手
労一に限らず一般常識対策全般に言えることですが、「あとでまとめて取り組もう」と考えるのではなく「少しずつ進めていこう」という姿勢で取り組むのが得策です。
一般常識対策は、主要科目に気をとられてつい後回しにしがちな分野ですが、膨大な試験範囲に鑑みれば早めの着手が必要となることは言うまでもありません。コンピテンシーを含む労務関連用語から統計・白書、関連法令まで、主要科目の取り組みの合間に少しずつ進め、試験直前に慌てることのないよう準備しましょう。
まとめ
- 社労士試験の労働一般科目に登場する「コンピテンシー」は、「仕事で成果を上げ続ける人に共通する行動特性」を意味します
- コンピテンシーは、アメリカ企業では1990年ごろから人事管理に導入されていますが、日本では近年の人事制度改革、報酬体系の移行に伴い、徐々に重視され始めています
- コンピテンシーは社労士試験において頻出のキーワードではありませんが、社労士実務で注目されつつあるテーマであることから、今後出題頻度が高まってくる可能性があります
- コンピテンシー等の労務管理用語の理解は、社労士試験対策においてつい後手に回りがちですが、主要科目の合間に少しずつ進めることで確実に習得していく必要があります
小野賢一(おの けんいち)
「そうだったのか!」という驚きや嬉しさを積み重ねましょう
【出身】北海道
【経歴】横浜国立大学大学院国際社会科学府修了。社会保険労務士、日商簿記2級等の資格を保有
【趣味】楽器演奏
【受験歴】2022年社労士試験初回受験、合格
【講師歴】2023年よりフォーサイト社労士講座講師スタート
【座右の銘】昨日から学び、今日を生き、明日へ期待しよう
●フォーサイト公式講師X 小野賢一@社労士専任講師