社労士試験「国民年金法」勉強方法を解説!年金対策は難しくありません

社労士試験「国民年金法」勉強方法を解説!年金対策は難しくありません

年金は、社労士の試験科目の中でも受験生の多くが苦手意識を抱く分野です。皆さんの中にも、「労働分野はまだ理解できるが、年金となるとちょっと・・・」という方、多いのではないでしょうか?

制度自体の複雑さが特徴の年金ですが、まずは「苦手意識を持たないこと」が対策の大前提です。むしろ、受験生の大半が苦手意識を持つ年金科目を味方につけてしまえば、それだけでぐんと合格に近づくことができます。「年金は難しい」という思い込みを捨て、前向きに年金科目で得点を伸ばす方法を考えてみましょう。

このページでは、社労士試験の国民年金法の対策に有効な勉強法を検討します。

目次

社労士試験では国民年金法を得点源に

社労士試験で出題される年金科目は、国民年金法と厚生年金保険法の2種類ですが、これらは年金科目として一括りにされて「難しい」「苦手」と決めつけられがちです。ところが、国民年金法と厚生年金保険法では内容、そして出題の難易度に差があることをご存知でしょうか?

  • 国民年金法は比較的内容理解が容易で、素直な問題が多い。8点以上獲得が目標
  • 厚生年金保険法は複雑な制度理解がネックとなり、十分な対策が期待できない。 目標は6点獲得

安易に「年金は難しい」と捉えるのではなく、それぞれの特徴を正しく把握し、勉強方法や目標点の設定を戦略的に検討する必要があります。

社労士試験 国民年金法の勉強法

社労士試験「国民年金法」勉強方法を解説!年金対策は難しくありません

社労士試験の国民年金法を攻略するポイントは3つ、

  • 「得点を取りやすい科目」であることを理解する
  • 基本的な給付と要件を整理して理解しておくこと
  • 過去問をベースに傾向対策をすること

です。

繰り返しになりますが、“年金=厄介、難しい”の先入観が国民年金法の対策を邪魔します。確かに、年金制度の詳細まで完璧に理解しようとすれば大変ですが、そもそも社労士試験ではそこまで細かな事項が問われることはありません。

まずはテキストに記載された基本を一つひとつ頭に入れ、あとは問題演習の中で出題傾向に合わせて枝葉を付けていけば、さほど方向性を誤らずに合格レベルの知識を習得できます。

まずは苦手意識をもたないこと

社労士試験の国民年金法では、他の科目と比べると、さほどひねった出題は多くありません。基本的には本則、そして経過措置に関わる設問が主で、選択肢も素直な内容が大半を占めます。また、選択肢のボリュームが他科目と比較して少ない点も特徴です。

よって、社労士の試験範囲の中でも、国民年金法は“得点を伸ばすべき科目”として捉えるのが得策といえます。基本的な知識を中心とした習得で、前向きに対策していきましょう。

過去問で確認!社労士試験国民年金法 その1

実際に、社労士試験の国民年金法ではどんな選択肢が出題されているかを確認しておきます。

平成16年 国民年金法 問1 肢E

65歳以上の者は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を併給して受給することができる。

答え・・・○
老齢基礎年金と老齢厚生年金は「同一支給事由による給付」のため、併給可能です。

こちらは、基本事項を把握していれば容易に正答を導き出せる、かなりシンプルな選択肢です。「本当に本試験の問題なのか」と疑いたくなるような内容ですが、国民年金法では同程度のボリューム、難易度の選択肢は珍しくありません。

過去問で確認!社労士試験国民年金法 その2

ここ数年は国民年金法の出題難易度が上がったとされ、具体的な年金額を算出させる出題も見られるようになりました。

平成27年 国民年金法 問10 肢A

国民年金の被保険者期間に係る保険料納付状況が以下のとおりである者(昭和25年4月2日生まれ)が、65歳から老齢基礎年金を受給する場合の年金額(平成27年度)の計算式。

[国民年金の被保険者期間に係る保険料納付状況]

  • 昭和45年4月~平成12年3月(360月)・・・保険料納付済期間
  • 平成12年4月~平成22年3月(120月)・・・保険料全額免除期間(追納していない)780,100円×(360月+120月×1/2)÷480月

答え・・・×
保険料全額免除期間は、平成21年3月分までは3分の1、平成21年4月分からは2分の1にて計算します。

計算式の影響で若干複雑に感じられますが、こちらも保険料免除期間の扱いに関する基本的な知識があれば容易に解答できる設問です。問題文のボリュームに惑わされることなく、「何が問われているのか」を落ち着いて考えることができれば、さほど身構えることはありません。

混同注意!各給付と要件を整理しながら理解する

一見すると複雑多岐に渡る国民年金制度ですが、まずは大枠を捉えておくことでスムーズに理解が進みます。

  • 老齢-老齢基礎年金-付加年金
  • 障害-障害基礎年金
  • 死亡-遺族基礎年金-寡婦年金、死亡一時金

第一に「給付の事由と内容を対応させておくこと」が大前提です。その後に、各給付の要件や給付額、例外事例等の細かな事項を習得すると、知識がすっきりと頭の中に整理されやすくなります。

ただテキストを読むだけでは、つい細かなポイントばかりが気になり、知らぬ間に「木を見て森を見ず」となりがちです。常に全体像を意識しながら必要な知識をインプットしていくと、学習が進んで覚えることが増えても、知識の混同が生じにくくなります。 また、類似の給付が登場する厚生年金保険法との違いを常に意識しながら学習を進めましょう。

出題傾向に沿った対策が大原則

社労士試験の国民年金法には、他の科目同様、出題されやすいキーワードを中心に知識を深めていくやり方が効率の良い勉強法です。

具体的には、

  • 基本給付となる「老齢基礎年金」「障害基礎年金」「遺族基礎年金」
  • 各給付に関わる「被保険者」、「届出等」、「第1号被保険者に対する独自給付」
  • 国民年金の「保険料」、「保険料免除」、「基金」に関する話題

が、例年出題されやすいポイントといえます。

一見すると複雑な年金制度も、すべてを完璧にしようとするのではなく、試験に問われる箇所を的確におさえて枝葉を付けていく対策が、攻略の近道となります。過去問を中心に、出題実績に沿った学習を進めましょう。

社労士試験で国民年金法を得意にすると、厚生年金保険法の理解がぐんとスムーズに!

社労士試験「国民年金法」勉強方法を解説!年金対策は難しくありません

日本の年金制度は「2階建て」といわれ、土台となる1階部分が国民年金、2階が厚生年金という構成です。このことから、年金制度の基礎となる国民年金を正しく理解しておくことが年金学習の大前提といえます。

実際のところ、国民年金と厚生年金では同様の事由に対する給付制度があり、両者の関連性や相違点を意識しながら各制度を理解することが効率良い勉強法です。国民年金法の学習で年金分野の基礎を作っておくことは、厚生年金保険法の対策に必ず役に立ちます。

年金学習の取りかかりとして、まずは比較的内容がシンプル、かつストレートな出題が目立つ国民年金法の知識をしっかりと固めておくのが得策です。

「年金制度は分かりにくいから」という理由から、受験生に敬遠されがちな社労士試験の国民年金法。しかしながら、実際の出題を見る限り、国民年金法は得点を確保しやすい科目と考えて良いでしょう。

苦手意識を拭い、出題傾向に沿った対策を積み重ねることで、本番では8点以上を目標にできるはずです。また、国民年金法を得意としておくことは、さらに複雑な厚生年金保険法の制度理解にも役立ちます。

他の受験生が苦手意識を抱きやすい年金科目で差をつけるためにも、まずは国民年金法の基礎作りが重要です。

この記事の監修者は
小野賢一(おの けんいち)

「そうだったのか!」という驚きや嬉しさを積み重ねましょう
【出身】北海道
【経歴】横浜国立大学大学院国際社会科学府修了。社会保険労務士、日商簿記2級等の資格を保有
【趣味】楽器演奏
【受験歴】2022年社労士試験初回受験、合格
【講師歴】2023年よりフォーサイト社労士講座講師スタート
【座右の銘】昨日から学び、今日を生き、明日へ期待しよう
フォーサイト公式講師X 小野賢一@社労士専任講師

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