簿記講座の講師ブログ
もういよいよダメやね・・・(その1)

 皆さん、こんにちは。 
 簿記講座担当の小野です。
 第167回日商簿記検定試験(統一試験)まであともう少しとなりました。
 準備の状況はいかがですか?

 もういよいよ、何を言っても、何をしてもダメな感じがしてきました。めちゃめちゃ長いグチになりますが、何とかお付き合いください。
 何がダメかというと、健康保険料の算定する総所得に金融所得(株式の配当金や売買損益など)を含めるという話のことです。要は「給料だけでなく株の儲けからも健康保険料を払え!」ということですね。理由として「金融所得について確定申告した一部の人達だけ、金融所得が総所得に含められ、確定申告してない人達の金融所得が総所得に含められないから不公平」というのです!何をおっしゃるウサギさん。これは史上稀に見る悪手でしょう! 
 詳細はこれから議論されるので何がどこまで含まれるのかの詳細は分からないのですが、これ、ツッコミどころ満載で、かつ、とても恐ろしいことですよ。

 現在、健康保険料は次のように計算されています。
  
 自営業者:自分の商売等の所得を自分で計算し(確定申告)、その所得の一定割合を健康保険料として納めています。本業であろうが副業であろうがすべて申告する必要があります。

 サラリーマン:勤めている企業からの収入の一定割合を健康保険料として納めています。企業が所得の計算・納付を代行してくれています。

□ ツッコミその1:どこまで総所得に含める?金融所得の話でとどまらない大増税になるかもよ!

 政府は確定申告しない人の金融所得が総所得に反映されないから不公平と言っていますが、それが不公平と言うなら、サラリーマンの副業などの収入も総所得に含めなければならないということになります。今は年間20万円以下の所得については申告不要というルールであり、経費を引いたあとの金額である所得が20万円を超える規模の副業は難しい方が多いでしょう。そのため副業について確定申告が必要な方はそれほど多くない状況でしょう。だから多くの方が副業しても確定申告なんてしていないんだと思います。
 しかし、金融所得を総所得に含めないと不公平なのであれば、副業などの所得もすべてを含めなければ整合性が取れなくなりますね。しかも、今は、株式の配当・売買損益からは源泉徴収されて、それで課税関係は終わり(確定申告不要)というルールだから確定申告しない人が多いわけで、そこを不公平といわれたら、もうどうしようもありません。
 もし、金融所得を総所得に含めるということになれば、副業などの所得も総所得に含める必要があり、サラリーマンは副業などによる所得を勤めている企業にすべて通知して、加入している健康保険組合に保険料を納付しなければなりません。サラリーマンの健康保険は企業(業界)ごとに設立されているので、個人的に後で副業分だけの保険料を追加で払うなんてことはできないでしょう。すべて勤務先経由で行うということになれば、自分の所得をすべて企業にお知らせしなければなりません。副業の状態だけでなく、金融資産をどのくらい持っているかも把握されちゃいます。
 そんなプライベートなことを勤務先に知られるなんて絶対に避けたいですよね。それともマイナンバーを使って、個人の投資に関する情報が一括して企業に流れちゃうんでしょうか。それも怖い。つまり、どう転んだって怖くてイヤなことです。

 他にも突っ込みどころはあります。それは回を改めて。