簿記講座の講師ブログ
データでも示された重い負担

 皆さん、こんにちは!
 簿記講座担当の小野です。
 連休はどれくらい休めるだろうか?? 逆に憂鬱だったりして。

 やはり私たちの税・社会保険の負担は過去最高でした。
 日本経済新聞社の試算によると、2023年1~9月の家計部門の税・社会保険の負担率は28.1%と同じ基準で比較できる1994年以降最大となりました。ここで試算された負担率は家計の収入(給料や財産収入)に占める直接税・社会保険料の比率です。よく公表される国民負担率(企業・家計の所得に占める税・社会保険料の比率)とは異なり、家計に限定した数値です。

 その数値が28.1%となりました(2022年は27.7%)。つまり、収入の3割近くが政府に持っていかれている計算です。そして、この数値に消費税・酒税などの間接税は含まれません。それらを加えると実質的な負担率は35~40%くらいになるのでしょうか。
 例えば収入を100とします。28が所得税や社会保険料として天引きされるので、残りは72です。このうち60くらいを消費するとしましょう。すると消費税は6です。この時点で天引きされた28と消費税6で合計34ですね。他にも酒税、揮発油税、たばこ税などを含めると35を超えるのは確実ですね。
 日本では所得税が累進課税になっていますので、収入が少ない人の負担率は若干下がり、収入が多い人の負担率は若干上がりますが、住民税・社会保険料などは収入の10%などと比率が決められていますので、収入が多くても少なくても負担率は変わりません。つまり、極端に言えば、所得税以外の税・社会保険料については、どんな収入であっても全員が同じ割合の負担をしています。
 
 このデータは近年の日本国民の負担が増えていることの証拠となります。「子育て支援のために健康保険から500円程度拠出させるけれども、賃上げされるから実質的な負担は増えない」と意味不明な答弁を繰り返す政府ですが、このように負担率は徐々に高まっています。
 では同じ期間にどのくらい賃金(収入)が増えているかというと1.1%です。一方、税・社会保険料の増加率は3.1%です。そのため、可処分所得(収入-税・社会保険料)の伸びはたったの0.4%。収入30万円の人にとってみれば手取りが1,200円増えただけであり、ファミレス1回分の食事代にもなりません(悲)。

 2024年に入ってから大企業が大幅な賃上げを実現していますが、これが国民全体に波及して税・社会保険料の増加分を超えるようになるのでしょうか? 政府(というか報道機関?)には、「実質的な負担」などといった言葉ではなく、数字に基づく報告をしてほしいですね。