簿記講座の講師ブログ
AIと電力

 皆さん、こんにちは!
 簿記講座担当の小野です。
 新年度に入ってしばらく経ちましたが、皆さん、落ち着きましたか?

 生活の様々な場面にAIが入り込み始めました。
 Chat GPTのような個人が直接利用できるAIをはじめ、コールセンターのオンラインチャット、クレジットカードの不正利用認識、ネット上の翻訳サービス、ネットショップのレコメンド機能などなど、私たちが日々利用しているサービスの多くにAIが導入されており、私たちの生活をどんどん便利なものにしてくれています。

 そんなAIは多くの電力を消費します。例えば、Chat GPTは1回の回答に約3ワットの電力を消費するといわれており、google検索の約10倍に相当するといわれています。つまり、AIの利用回数が5倍になったら、世の中の消費電力は50倍くらいになるということです。
 現在Chat GPTは1日当たり2億件の命令に回答しており、やく50万kwhの電力を消費しています。日本の4人世帯の1日当たり電力消費量は約14.5kwhですから、Chat GPTは1日で日本の4人世帯34,500世帯分の電力を消費しているわけです。そして、そんなAIがたくさんあちこちで活躍しているので、その電力消費量を合計すると、私たちの節電分をはるかに超えます。

 そこで今心配されているのが、AIをはじめとするテクノロジーが主導する社会の発展は電力不足との戦いで、電力を豊富に提供できない社会・国は発展から取り残されるということです。
例えば、千葉県の印西市にはデータセンターの進出が進んでいますが、東京電力は現在の発電能力ではそれらのデータセンターに電力を提供できないので、進出をしばらく待ってもらっている状態です。その間に東京電力は発電所の増設と印西までの地下電力ケーブルトンネルの建設を急いでいます。ちなみに、東京電力に今後10年間で求められるデータセンター向け電力提供要求は700万kw(原発7基分)にも達しています。ネットサービスなどを利用するとき電力消費量のことを考えるのはまれかもしれませんが、電力消費量のことを考えなければ、便利なサービスを使い続けるのが難しい状況になるかもしれないのです。

 さらに私たちは環境問題へ対応するためCo2削減にも取り組まなければなりません。ここ数年の夏の暑さを考えると無視できない状態でしょう(といってもすでに手遅れかもしれませんが…)。火力発電を使うと確実にCo2を発生させます。Co2を発生させないエネルギーは天候に左右されたり(太陽光発電など)、危険を伴ったり(原子力発電)します。
 
 もっともよいのは、安全でクリーンなエネルギーを使って、便利な社会を追求していくことでしょう。しかし、現在、それを成立させることはできません。危険を顧みず便利な世の中を追求していく(原子力発電を行って豊富に電力を提供する)か、多少の不便には目をつぶって安全でクリーンな社会を作る(再生可能エネルギーの割合を増やし、電力消費量を増やさないようにする)かを選択しなければならない状態です。

 さて、皆さんならばどちらを選択しますか?