企業の「今」と「未来」を考える!「PPM分析」について解説!

「PPM分析」について解説!

「PPM分析」という言葉を聞いたことがありますか?これを用いれば、自社の事業を今後どうするべきなのか客観的に分析することができるようになります。この手法は特に多角化企業にも有効と言われています。

今回は「PPM分析」について詳しく見ていきます。

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目次

「PPM分析」とは

「PPM分析」は「Product Portfolio Management」の略で、企業が今後の戦略を立てたり、意思決定をしたりする際に用いられるフレームワークのひとつです。

企業が戦略を立てる際、自社が現在儲かっているかどうかという点も重要ですが、市場でどのくらいシェアを獲得できているか、その市場に成長性があるかどうかという点も同じくらい大切です。

企業が活用できる能力のことを経営資源といいます。これは以下の4つに大きく分けられます。

  • 労働力である「ヒト」
  • 企業が所有しているあらゆる物理的な物を指す「モノ」
  • お金を意味する「カネ」
  • ノウハウや技術など企業が持っている無形財産を指す「情報」です。

これらの経営資源を有効活用してさらに大きな利益を獲得する活動が会社経営の基本です。この経営資源を最適な方法で活用するために「PPM分析」が用いられるのです。

「PPM分析」は主に多角化企業や事業を複数行う企業を分析する為の手法の一つです。限られた経営資源をどのように配分するか決定することを目的としています。その方法や考え方は次項で詳しく解説しましょう。

「PPM分析」の方法や考え方をさらに詳しく解説!

まず「PPM分析」では縦軸に市場の成長率、横軸に市場における相対市場シェアをとります。市場の成長率とは各事業の市場全体がどのくらいのペースで拡大しているか、ということです。相対市場シェアとは自社を除く業界他社のうち、最大手と自社のシェアの比をいいます。

この手法で分析していくと自社の事業を以下の4つに分類することができます。

①花形

市場成長率と相対市場シェアともに高い事業。

売り上げも多いですが、設備投資や販売促進にも費用がかかるためキャッシュアウトも多くなり、キャッシュフローの源とはいえません。

花形の目的は「現状の市場シェアを維持すること」です。

市場規模の拡大が止まっても市場シェアを獲得できていれば、追加投資が無くても大きな利益をあげられるようになります。それまでは競合他社や新規参入に負けないよう市場シェアを維持する戦略が必要です。

②問題児

市場成長率は高いものの、そこで十分な市場シェアを得られない事業。

市場自体の伸びはあるので、将来的に花形企業に成長することを見込んで先行投資する場合もあります。しかし思ったように利益が出ず、赤字になる可能性も含んでいます。

花形に転じる可能性を秘めていますが、問題児のままでは利益が出ないので、有望であれば引き続き投資、将来性が低ければ撤退ということも視野に入れなければならないでしょう。

③負け犬

市場成長率、相対市場シェアともに低い事業。

基本的に追加の投資などは行われません。原則的にはすでに投資した経営資源を回収して撤退し、他事業での有効利用を図ります。

その一方で追加費用がかからないにも関わらず、安定した収益をあげることができるという事業という考え方もあります。売り上げ規模は小さくなりますが、資金流出も少なく、上手く活用すれば高収益事業になる可能性もあります。

負け犬は追加のコストをかけずに利益を最大限にすることが目的です。しかし、市場全体が縮小してきた場合は撤退を考えた方が良いかもしれません。

④金のなる木

相対市場シェアは高いものの、市場成長が鈍化している事業。

市場拡大が小さいので、大規模な設備投資は必要ありません。その一方で高いシェアから収益をあげるので、他事業を支える基盤となります。ここで獲得したキャッシュフローを花形や問題児に関係する研究開発部門へと投資します。

金のなる木の目的は最低限の投資で最大限の利益をあげることです。

業界のトップを維持することに意識が傾き、投資しすぎると自社内で利益を生み出せるポイントがなくなることもあるので注意して進めていくことが大切です。

「PPM分析」を有効活用するために

企業は常に安定した売り上げを求められますが、それを維持するだけでは企業の未来は明るいとは言えません。新たな事業に挑戦し、事業を拡大することで別の可能性を生み出すことも求められています。

また企業経営は常に選択の連続です。成長の見込みがある事業は投資、将来性の低い事業は撤退という決断が必要な時もあります。「PPM分析」は今後、どの事業に集中していくのかを選択をする際の手助けになるのです。

このように「PPM分析」を通して、自社の現状や今後の将来性を冷静に見極めることができます。

現在の状況をしっかり把握しておかないと誤った戦略を選択してしまう可能性もあります。これでは事業の売り上げは伸びません。各事業部間の相互関係や市場シェア率などを考慮して慎重に進めていく必要があります。

まとめ

「PPM分析」は自社の事業戦略を立てる上で非常に有効な手法です。
そこから導き出されるデータは信頼できるものですがその反面、誤った選択をすると企業全体を違う方向へと導いてしまう危険性も含んでいます。

資金源となる「金のなる木」から得た資金で「問題児」の市場シェア率を上げたり「花形」の市場シェア率を維持したりします。
理想は「花形」を「金のなる木」に成長させ、最終的に「負け犬」にしないことなのです。

「金のなる木」となる事業をいくつか保有し、将来の資金源となる「花形」と将来性のある「問題児」がバランスよく配置されるよう中小企業診断士として助言できるスキルを身に付けておきたいですね。

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