中小企業診断士の年収はどのくらい?意外な平均年収と年収アップの具体策を解説

難関の国家資格である中小企業診断士。この中小企業診断士の年収や将来性を知りたいという方も多いかと思います。

中小企業診断士全体の平均年収は400~700万円ほど。一般的なサラリーマンよりもやや高いといったレベルです。試験の難易度と比較すると、やや物足りないと感じる方もいらっしゃるかと思いますが、それにはいくつかの理由が考えられます。

この記事では中小企業診断士の平均的な年収や、年収がその額になる理由、さらに年収をアップさせる考え方などもまとめていきたいと思います。

中小企業診断士という資格を取得し、どのように活用すると年収はアップするのか、そしてその将来性は?多くの疑問に、「一般社団法人 中小企業診断協会」がおこなったアンケート結果などのデータから回答を見つけ出していきたいと思います。

目次

中小企業診断士の平均年収

中小企業診断士の平均年収は400~700万円と言われています。この金額を見てどのような印象を持つかには個人差があるかと思いますが、2020年に国税庁が行った『民間給与実態統計調査』によると、会社員の平均給与は433万円ですから、平均的なサラリーマンの給与よりも高額であることは間違いありません。

また、平均年収に大きな幅があるのも特徴の一つ。これは中小企業診断士という資格の特徴を表しているかもしれません。

中小企業診断士の資格には独占業務がなく、また企業に勤務しながらでもその資格を活かした業務ができるという特徴があります。多くの士業では、独立開業が資格活用の条件になっています。例えば行政書士は、独立開業し、行政書士会に登録して初めて行政書士として業務を行うことができます。

どの資格でも同じですが、独立開業には年収が下がるリスクがあります。独立しても思うように仕事の依頼がなければ、当然企業に勤務していた時代よりも年収は下がります。

企業に勤務しながらでも、その資格を活用して活躍できる中小企業診断士は、年収が下がるリスクを負ってまで独立をする必要がないということになります。独立をしなければ企業に勤務を続けることになり、つまりサラリーマンということになります。

中小企業診断士の方の平均年収が、一般的なサラリーマンよりやや高いのは資格を持っているから。平均収入に幅があるのは、企業に勤務している方と、独立開業をしている方で年収に開きがあるからと考えられます。

中小企業診断士の平均年収が高い理由

中小企業診断士の資格を持っている方の平均年収が、一般的なサラリーマンの平均給与よりも高額になるにはいくつかの理由が考えられます。この理由を見ると、中小企業診断士という資格は、取得難易度と比較するとあまり年収アップが期待できない資格であるという印象を持つかもしれません。

まずは、平均年収が高くなる理由を解説していきましょう。

資格取得者の年齢が比較的高い

まずは中小企業診断士の資格を取得している方の年齢分布を確認しておきましょう。

年代 構成比
20代以下 0.4%
30代 7.1%
40代 22.4%
50代 31.3%
60代 26.1%
70代以上 12.5%

参照: J-SMECA【データで見る中小企業診断士】~令和2年11月実施アンケート結果~



ご覧いただいても分かる通り、アンケート結果からもっとも多い年代は50代、続いて40代、60代となっています。

つまりサラリーマンの中でも年収が高くなる傾向にある40代以上の比率が高いということになります。国税庁の調べた会社員の平均給与は、10代から60代以上まで、会社員として雇用され、給与を受け取っている方全ての平均値です。一方中小企業診断士の平均給与は、会社員の中でも年収が高くなる世代が中心となっており、必然的にサラリーマンの平均年収よりも高いということになります。

また、大きな差にはなりませんが、企業の中には中小企業診断士資格に対して資格手当を支給している企業も少なくありません。資格手当の相場は1~3万円。この分も平均年収を押し上げる要因となっているのかもしれません。

独立開業することで年収が高くなる方が少なくない

中小企業診断士という資格を取得し、独立開業をしている方もいます。独立開業をしている中小企業診断士の中には、年収1,000万円を超えるという方もおり、こういった一部の高年収の方が、中小企業診断士全体の平均年収を押し上げているという側面も否定できません。

とはいえ、独立開業をしている方全員が高い年収というわけでもないのが難しいところ。年収を上げるにはそれなりの準備や条件があり、それらをクリアした方は年収が高く、クリアできていない方の中には、サラリーマンの平均年収を下回るという方もいるようです。

独立開業して年収アップを目指す手間に必要なことに関しては、後々解説していきましょう。

企業内診断士の平均年収

上でも少し触れましたが、中小企業診断士の中には、資格を取得した以降も勤務している企業にとどまり、給与を受け取っている方と、会社を辞めて独立開業をしている方がいます。

この記事では、企業内にとどまっている方を「企業内診断士」、独立開業している方を「独立型診断士」と分けて考えたいと思います。まずは企業内診断士の平均年収を想定してみたいと思います。

一般的なサラリーマンと大きな差はない

中小企業診断士という資格は、この資格を持っていないと行えない独占業務というものがありません。そのため企業に勤務しながら中小企業診断士として働くこともできますし、中小企業診断士の資格を得るために身に着けた知識を、企業内の業務で活用しやすい資格でもあります。

中小企業診断士の資格を持ちながら、企業に雇用されて働いている方に対して聞いたアンケートの結果がありますので確認してみましょう。

資格取得後の会社での評価 構成比
昇給・昇格した 6.1%
資格手当が支給された 13.1%
資格を活かせる部署に配属された 11.5%
上司・同僚から良い評価を得た 25.6%
関係先から良い評価を得た 24.4%
特に処遇に変化はなかった 40.4%

参照: J-SMECA【データで見る中小企業診断士】~令和2年11月実施アンケート結果~



中小企業診断士の資格を取得したときの、会社内外での評価が上の表です。4割を超える方が「特に処遇に変化なし」と答え、「昇格・昇給をした」と答えた方は6%ほどにとどまっています。

つまり中小企業診断士の資格を取得したからといって、年収に即影響を与えることはほとんどないということ。即影響があるという点では、「資格手当が支給された」と答えた13%ほどの方が、10~40万円ほど年収が上がったというのが現実のようです。

この数字だけを見ていると、中小企業診断士という資格は取る意味があまりないように見えるかもしれません。しかし、この資格を取得したことで、より資格が活かせる部署に転属されたり、中小企業診断士の資格を活かすことで業世紀を上げ、後々の出世に繋がるというケースも考えられます。

資格取得が一概に無駄となっているとは考えにくく、正しい捉え方としては「資格取得後すぐに年収に影響が出るほどではない」というところでしょう。

コンサルティング会社勤務の方がやや高い傾向

中小企業診断士がその資格の強みを最大限生かせるのが、中小企業を相手にしたコンサルティング会社でしょう。コンサルティング会社の業務に中小企業診断士の資格は欠かせません。

中小企業診断士の資格には独占業務がありません。つまりコンサルティング会社に勤務し、中小企業の経営診断などを行っているコンサルタントの中にも、中小企業診断士の資格を持っていない方がいます。

同じ経営相談をするのであれば、資格を持っていない方よりも持っている方に相談したいのが顧客の一般的な考え方。そう考えると、中小企業診断士資格を持っているというだけで、コンサルティング業界では有利になるのは間違いありません。

コンサルティング会社の特に営業職の場合、歩合給を導入している会社もあり、コンサルティング会社勤務の会社員の方の中には、年収1,000万円を超える方も珍しくありません。

仕事の成果次第で年収アップに直結する可能性がありますので、中小企業診断士資格取得と同時に、こうしたコンサルティング会社への転職を考えるのも、年収アップの一つの方法と言えるでしょう。

独立型診断士の平均年収

続いて独立開業をしている独立型診断士の平均年収をチェックしてみましょう。中小企業診断士を対象に行われたアンケート結果には、中小企業診断士として年間100日以上稼働した方の年収の分布も紹介されています。

年収 構成比
300万円以下 14.3%
301~400万円 8.8%
401~500万円 10.0%
501~800万円 21.4%
801~1,000万円 11.4%
1,001~1,500万円 15.4%
1,501~2,000万円 6.7%
2,001~2,500万円 4.3%
2,501~3,000万円 2.8%
3,000万円以上 4.8%

参照: J-SMECA【データで見る中小企業診断士】~令和2年11月実施アンケート結果~



独立型診断士の年収のボリュームゾーンは501~800万円。最高では3,000万円を超えると答えた方も5%近くいます。年収1,000万円を超える方の合計も全体の3割以上であり、独立開業をした方が平均年収は高くなるという傾向が見て取れます。

一方年収300万円以下と答え方過多も14%以上いるように、年収の高い方と低い方が両極端の傾向にあるともいえるでしょう。

民間案件が多い方ほど高収入

独立開業をしている中小企業診断士の年収に大きな開きが出る原因の一つとして考えられるのが、「仕事の受注の仕方」が挙げられます。

独立開業している中小企業診断士が仕事を受注する方法は大きく分けて2つ。自分で営業をする、知人から紹介を受けるなどの形で仕事を受注する「民間案件」と、自治体や公的機関から仕事の斡旋を受ける「公的案件」の2つです。

一般的に民間案件の方が案件単価が高い傾向にあり、独立型診断士として高い年収を得ている方の多くは、この民間案件をしっかりと獲得していると考えられます。

ここで一般社団法人 中小企業診断協会が行ったアンケートの結果を見てみましょう。

案件内容 公的案件中心の診断士 民間案件中心の診断士
診断業務 37,700円/日 98,300円/日
経営支援業務 37,500円/日 112,500円/日
調査研究業務 53,600円/日 89,700円/日
講演・教育訓練業務 48,100円/日 119,000円/日
執筆業務 7,800円/400字 6,400円/400字

(: J-SMECA【データで見る中小企業診断士】~令和2年11月実施アンケート結果~



これが全てというわけではないと思いますが、平均しても民間案件中心の診断士の方が、仕事の単価が高額になっていることが分かります。公的機関から紹介される案件は、おおよそ相場がハッキリしており、独自に費用を算出することが難しいケースが多くなります。

つまり利ザヤの少ない仕事が多いということ。その代わりこうした公的案件を多くこなす方は、中小企業診断士としての信頼度が高まるのか、執筆業務に関してはギャランティが高くなります。

民間案件の多くは、依頼する側が中小企業診断士に業務を依頼した場合の費用相場をあまりつかめていないということもあり、総じて公的案件よりも単価が高くなるという傾向にあります。

このことからも、民間案件をいかに受注するかが年収に大きな影響を及ぼすと考えられます。

中小企業診断士の年収に男女差は?

中小企業診断士の年収に男女差があるかという点に関しては「ほぼない」、「考えるほどの差はない」というのが正解のようです。

中小企業診断士における男女比には大きな特徴があります。一般社団法人 中小企業診断協会が行ったアンケートに返答した方の男女比と、2021年度中小企業診断士試験の二次試験に挑んだ受験者の男女比を確認しておきましょう。

★アンケート回答者男女比

性別 人数 構成比
男性 1,786人 94.4%
女性 99人 5.2%

参照: J-SMECA【データで見る中小企業診断士】~令和2年11月実施アンケート結果~



★2021年度試験 二次試験合格者の男女比

性別 合格者数 構成比
男性 1,076人 91.7%
女性 98人 8.3%

参照: J-SMECA【令和2年度試験】~二次試験統計資料~



ご覧の通り、9割以上が男性であり、女性の比率は1割未満。つまり年収に男女比があるかどうかを比較するのも難しいくらい女性の比率が低いということになります。

上でも書いた通り、中小企業診断士の資格には独占業務がありません。同じような難易度の資格試験であれば、独占業務を持つ資格の方がどちらかといえば女性人気が高いようです。

とはいえこれも現状の男女比。今後この男女比に変化が見られた場合、年収の面でも差が明確に出てくるかもしれませんので、今後も注視が必要な項目といえます。

他の資格との平均年収を比較

では、ほかの人気資格と年収を比較するとどうなるかをチェックしてみましょう。他の資格の平均年収に関しては、一般的に言われている金額で統一しています。

資格 年収相場
宅地建物取引士 500万円前後
ファイナンシャルプランナー2級 450万円前後
社会保険労務士 770万円前後
行政書士 500万円前後
公認会計士 1,000万円前後

中小企業診断士と同程度の難易度とされる社会保険労務士の平均年収は770万円。中小企業診断士よりも高い数字になっています。

また、中小企業診断士の資格よりも資格取得難易度は低いとされている宅建士でも平均年収は500万円ほど。中小企業診断士と同等という結果になっています。

さらに宅建士の資格を持つ方で、不動産業界の営業職に就いている方の中には、歩合給を含めて年収1,000万円を超える方もいます。

こう考えると、中小企業診断士という資格は難易度ほど年収に影響が出ない資格であるというのは間違っていないということになります。

中小企業診断士として年収をアップさせるには?

中小企業診断士の資格は、難関資格と言われています。その合格率は約10%(1年で一次試験と二次試験の両方同時に合格する確率)。ほかの国家資格と比較しても合格率は低く、難関資格のひとつとして考えていいでしょう。

一生懸命勉強をして、ようやく取得した中小企業診断士の資格。せっかくであればこの資格を活かして年収アップを目指したいのが本音でしょう。

では、現実的に中小企業診断士の資格を活用しつつ、年収を上げていくためにはどうすればいいかを考えていきたいと思います。

ここまでのデータを見る限り、年収アップを目指すのであれば、独立開業して民間案件を多く取り扱うか、中小企業診断士の資格を存分に発揮できる職種に転職するというのが基本となります。では、それぞれの方法に関してもう少し詳しく解説していきましょう。

人脈を築き独立開業する

年収アップをして独立開業を目指すというのは間違った選択肢ではありません。ただし何でもかんでも独立すればいいというものではありません。

ここで一般社団法人 中小企業診断協会が行ったアンケートの結果から、「業務受注のきっかけ」という項目に注目。その中で回答が多かったものを抜粋して掲載しておきます。

★業務受注のきっかけ

  • 中小企業支援機関・商工団体等からの紹介
  • 他の中小企業診断士(または中小企業診断士を中心とした団体)からの紹介
  • 県協会からの紹介
  • 現在や過去の顧問先企業からの紹介
  • 金融機関からの紹介

参照: J-SMECA【データで見る中小企業診断士】~令和2年11月実施アンケート結果~



こう見ると公的機関からの斡旋を除くと、他者からの紹介という形が非常に多いことに気づくかと思います。同業他者や金融機関、さらに顧問契約をしている顧客企業からの紹介など、とにかく「ほかの誰かから紹介される」というケースが目立ちます。

中小企業診断士として独立開業した場合、年収をアップさせるのであれば民間案件を多く受注する必要があります。その民間案件を受注するには、人脈が非常に重要であることが分かります。

独立開業をする前に、まずは人脈づくりが重要。同じ中小企業診断士の資格を持っている方や、現在の仕事関係の企業、また異業種交流などのイベントに参加するなどして、積極的に人脈を広げてから独立開業するようにしましょう。

資格を業務に直接活かせる職種に転職する

独立開業ではなく、コンサルティング業務など、中小企業診断士としての知識をより活かせる業種に転職するというのも年収アップの期待ができる方法です。

この場合、転職の求人を探すことになりますが、求人の時点で現状の年収以上を保証してくれる企業が見つかれば年収アップは叶います。

また、営業力に自信があるという方は、歩合制を導入している企業を狙うのも年収アップにつながるポイントになります。どの程度の基本給で、歩合の割合はどうなるのかなど、募集条件をしっかりと確認して、確実に年収が上がる転職先を探しましょう。

専門分野の知識に磨きをかける

意外と盲点となるのが専門分野を持つことです。特に独立開業をする場合は非常に大事なポイントとなります。

中小企業診断士の主な業務は、中小企業の経営に関して的確なアドバイスを行うこと。当然それができるだけの法知識や税制などは、どの中小企業診断士も身に着けています。

では顧客の立場に立って、同じ中小企業診断士であれば、どんな中小企業診断士に業務を依頼したくなるかを考えてみましょう。この時に重視されるのが、自分が経営する会社の業務内容に関しての専門知識があるかどうかです。

例えば不動産業、例えばリース業、例えば人材派遣業。どの業種にもその業種独特の特徴があり、またその業種でしか使われない専門用語などもあるものです。こうした専門的な知識を持つ中小企業診断士であれば、安心して業務を依頼できると考える経営者は多いでしょう。

そこで、独立開業をする場合は、自分の得意な分野をきっちりと持ち、さらにその分野における専門知識もしっかりと持っておくことが重要になります。もっとも分かりやすいパターンで考えれば、独立前に働いていた業種を専門分野とする方法です。実際その分野の中で働いていた経験を活かして営業活動を行えば、結果につながりやすくなるはずです。

また得意分野は何もひとつに限ることはありません。出版関係で働いており、出版関係の専門知識を身に着けたのであれば、同時に印刷業や製本業など得意分野に近しい分野に関しても勉強しておきましょう。

上でも紹介したように、顧問契約している企業からの紹介という業務受注方法も少なくありません。顧問契約している企業も、同じ業界、もしくは近しい業界に知人が固まっていることが多いはず。近い業界の専門知識も身に着けることで、より民間案件を受けやすくなるはずです。

他の資格も併せ持ち両資格の業務で顧客を集める

もうひとつ年収アップにつながる方法があります。これはそれなりに時間がかかったり、大変な思いをする可能性はありますが、かなり高確率で年収をアップさせることができる方法です。

それが、他の資格を併せ持つということ。ここで一般社団法人 中小企業診断協会が行ったアンケート結果から、中小企業診断士とともに所有している資格についての結果を見てみましょう。

資格 構成比
ファイナンシャル・プランニング技能士 21.7%
情報処理技術者 17.6%
販売士検定 10.0%

参照: J-SMECA【データで見る中小企業診断士】~令和2年11月実施アンケート結果~



これはあくまでもアンケート結果で答えが多かったもののみの表です。もっとも多いのはFPの資格。こちらも企業や個人の資産運用に関するアドバイスができる資格であり、業務上似た部分を持つ資格でもありますので分かりやすいところでしょう。

他にはIT化が進む現代らしく情報処理技術者の資格、さらに経営に関する知識やマーケティングの知識が必要とされる販売士検定の資格も持っている方が多いようです。

ここでおすすめするのは、上でも触れたような得意分野とリンクした資格を取得することです。例えば不動産関係に強いのであれば宅建士や土地家屋調査士、化学薬品などを得意分野とするのであれば甲種危険物取扱者資格などです。

これらの資格が直接業務で役立つというケースは少ないように思えますが、大切なのはその資格を持っているという事実。業務を依頼する顧客に対して、自社の業界に詳しいという印象を与えることになり、より安心して業務の依頼ができるようになります。

さらに言えば同業他社の知り合いを紹介してくれる可能性も高まり、年収にも大きく影響するでしょう。

中小企業診断士資格を取得した理由

中小企業診断士の資格試験は、簡単な試験ではありません。ある程度の勉強期間を設け、しっかりと対策しないと合格するのは難しい試験です。

しかしそんな難関資格であると考えると、中小企業診断士の年収はそこまで高い印象がありません。もちろん一部年収数千万円という方もいるようですが、多くの方はサラリーマンよりやや高い程度の年収です。

中小企業診断士の資格を持つ方の年収がそこまで高くない理由には、なぜ中小企業診断士の資格を目指したのかという理由が原因かもしれません。そもそも多くの方が年収アップを目的としていない場合、資格取得が年収アップに直結しない可能性はあります。

そこで、なぜ中小企業診断士の資格を取得したのか、その理由に関してアンケート結果から見ていきましょう。

独立開業の希望者は意外と少ない

一般社団法人 中小企業診断協会が行ったアンケートには、今後中小企業診断士として独立開業する予定があるかという質問がありますのでその答えを見てみましょう。

独立しているか予定はあるか 構成比
独立開業している 47.8%
将来的には独立する予定 23.4%
独立する予定はない 27.2%

参照: J-SMECA【データで見る中小企業診断士】~令和2年11月実施アンケート結果~



すでに独立開業をしている、将来的に独立を考えていると答えた方は合わせて70%ほど。そこまで高い数字ではありません。独立する予定はないと明言している方が30%ほどいるように、中小企業診断士の資格を取得したのは、独立が目的ではないという方が意外と多いようです。

中小企業診断士という資格は独占業務を持ちません。独占業務がないということは、独立開業しても、必ず仕事にありつけるというわけではないということになります。独占業務のある資格であれば、その業務を必要とする顧客が必ずいます。こういった確実な顧客が中小企業診断士にはいないということになります。

独立開業しても顧客を獲得できないとなると年収アップを目指すのは難しく、このあたりが年収の低さの原因となっているかもしれません。

自己啓発のために取得する方が多い

さらに同じアンケートから、なぜ中小企業診断士資格を目指したのかという質問の答えを抜粋してみましょう。

資格取得を目指した理由 構成比(複数回答可)
独立開業が目標 33.3%
資格を持っていると優遇されるため 6.8%
業務遂行上資格が活用できる 26.3%
自己啓発やスキルアップ 61.7%
定年後などの将来のため 31.5%

参照: J-SMECA【データで見る中小企業診断士】~令和2年11月実施アンケート結果~)



独立開業が目標と答えた方は1/3程度。6割以上の回答を集めたのが、自己啓発のため、スキルアップのためという理由です。

中小企業診断士の資格は独占業務がありません。つまり資格を取得しないとできない業務はないということになります。それでも中小企業診断士の資格を目指すのは、より経営に関する知識をつけたいから、自分の知識や能力を高めたいからという方が多く、資格取得の目的が転職や独立ではないという方が多いということになります。

また、定年後など将来のためと答えた方が3割以上いることにも注目。「中小企業診断士の資格を取得したのは自己啓発のためで、すぐに年収を上げたというわけではない。ただし、定年後時間に余裕ができれば、この資格を持って独立してもいいかもしれない」こんな理由で取得している方が多いのかもしれません。

企業内診断士が多くそのため平均年収に差が出る

中小企業診断士にたいするアンケートから、なぜ中小企業診断士を目指したか、そしてこの先どうしたいと考えているのかという点に注目してみました。

その結果、多くの方が中小企業診断士を目指したのは自己啓発のためやスキルアップのためで、すぐに独立開業をしたくて取得したわけではないという方が多いという現実が見えてきました。

また、独立開業に関しては7割ほどの方が考えているものの、企業内に留まっている方が多いのも特徴。中小企業診断士の資格に独占業務がないため、資格取得後すぐに独立しても、顧客が就くかどうか不安に感じている方が多いようです。うまく進めば大きく年収を上げられる独立開業ですが、失敗すれば年収は下がる、最悪収入0になる可能性もあります。こうしたギャンブルをするよりは、現状を維持し安定した収入を手にしたいと考えている方が多いように思えます。

将来的には独立を考えている、将来のために資格を取得したという方が多いように、定年退職後など、に独立開業し、老後に備えたいという方も多いのでしょう。

こうした傾向を見ると、中小企業診断士の資格を取得しても、企業内にとどまる方が多く、すぐに年収アップとなることは少ないのが、平均年収の低さの主な理由となっているのかもしれません。

とはいえ、これはすでに中小企業診断士の資格を取得している方の中で多い意見というだけの話。中小企業診断士の資格が、年収アップを望めない資格であるということではありません。

実際にこの資格を活かし高い年収を手にしている方はおり、最初から年収アップを目標にしていれば、十分に年収アップは望めるというのは間違いありません。

資格取得、人脈づくり、専門知識の習得などを計画的に行えば、十分に年収アップを狙えるのが中小企業診断士という資格。しかしそうなると気になるのが、「今後も中小企業診断士の仕事に需要はあるか?」という点です。

今勤めている企業を辞め、独立開業をしたものの、資格としての将来性が薄いようでは将来的には不安が残ります。そこで中小企業診断士の今後の需要に関して考えていきたいと思います。

中小企業診断士の今後の需要は?

中小企業診断士の仕事は、中小企業の経営状態などを診断し、その企業がより発展するためのアドバイスを行うことです。

では、2022年現在の日本において、この資格の需要はどの程度あるのか?この先、将来的に需要は増えるのか減るのかなどについて推測していきたいと思います。

新規分野開拓やベンチャー企業の増加で需要は増える

平成以降、日本国内では企業に関するハードルが低くなっています。そのため多くの若い方が、自分で企業をするというケースも増えており、いわゆるベンチャー企業と呼ばれる企業は年々増えつつあります。

これまでではあまり考えられていなかった分野で仕事を見つけ出す若い方も増えており、今後もさまざまな業種で新たな企業が誕生していくでしょう。

こうした動きと並行し、日本国内の大企業の一部は、経営が難しくなっているという状況もあります。特に家電製品や電気製品を作るメーカーは、かつての勢いがなく、何とか現状維持をしているといった印象です。

大企業は現状維持、新興企業が続々誕生となれば、中小企業診断士の需要が減ることは考えにくいところです。

企業の生き残りが激化することで業務が増える

新しい企業がどんどん誕生するという傾向から、さらにその先を想像してみましょう。ご存じの通り日本には少子高齢化という大きな社会問題があります。この傾向はまだ続くでしょう。

そう考えると、新たな企業は増えるものの、労働人口は減少していくことになります。特に2022年現在50歳前後のいわゆる「第二次ベビーブーム世代」があと10年ほどで現役を引退します。

その後は労働人口がガクッと減ることになります。企業は増え、労働者が減るということは、企業の生き残り競争が激化するということ。生き残り競争に勝ち抜くには、正しい経営、確実な経営ができる企業が生き残るということが想定されます。

つまり多くの企業は自社が生き残るため、第三者に経営を診断してもらい、より確実な道を選ぶ必要があります。そんな状況で活躍できるのが中小企業診断士です。

こう考えると、中小企業診断士の需要は高まることが予想され、今の内に中小企業診断士の資格を取得し、将来の独立開業に向けて人脈づくりや専門知識の勉強をしていくことが、将来的に活躍できる条件となるかもしれません。

まとめ

中小企業診断士を持つ方の平均年収は400~700万円ほど。一般的なサラリーマンよりもやや高い程度であり、資格試験の難易度から考えるとやや低い印象があります。

これは中小企業診断士という資格のもつ特徴がひとつの原因と考えられます。中小企業診断士の資格には独占業務がありません。独占業務がないということは、中小企業診断士がその知識を活かしてできる業務は、資格を持っていなくてもできるということになります。

そのため独立開業しても、すぐに仕事が増える、年収が上がるということは少なく、資格を取得してもすぐに独立と考える方が少ないと考えられます。

中小企業診断士として独立開業をする場合は、民間案件をどれだけこなせるかで年収は大きく変わってきます。そしてその民間案件の多くは、同業他者や顧客からの紹介という形で受注する傾向にあります。

中小企業診断士として年収アップを目指すためには、独立開業がおすすめですが、独立開業の前にやっておきたいのが人脈づくりと専門分野の知識習得です。独立後の仕事受注が、誰かからの紹介という形が多いだけに、できるだけ幅広い人脈は持っておきたいところ。独立前に人脈を作っておけば、独立後も滞りなく仕事を受けることができる可能性が高まります。

専門分野の知識はどの分野でもかまいません。自分が好きな分野、企業に勤務していた時に関わった分野あたりを中心に考えましょう。また、その専門分野に関する資格があれば、資格を取得しておくこともおすすめです。

自分が得意とする分野を持ち、さらに幅広い人脈を持っていれば、独立開業後、年収アップも目指せるでしょう。

中小企業診断士の資格は、将来的にも十分活躍が見込まれる分野です。そんな将来のためにも、できるだけはやいうちに資格を取得し、将来に備えるのがおすすめといえるでしょう。