中小企業診断士は独立開業できる?中小企業診断士の実態を調査

中小企業診断士は独立開業できる?中小企業診断士の実態を調査

中小企業診断士は独立開業できる?中小企業診断士の実態を調査
目次

中小企業診断士の仕事は独立後どう変わるの?

独立して仕事をすることは、企業内診断士として働くことと比較すると、さまざまな場面で活躍することが可能です。「公的業務」や「民間業務」あるいは、「企業研修」を請け負うなど決められた枠にとらわれない働き方を選ぶことができます。

下に、「公的業務」「民間業務」「企業研修」の業務内容についてご紹介します。

公的業務

「公的業務」とは、行政機関や商工会議所・商工会などから委託されて行う業務のことです。

具体的には、中小企業経営者の相談に乗る「窓口相談」や企業を訪問してコンサルティングを行う「専門家派遣」、あるいは起業や経営について講演を行う「セミナー講師」といったものがあります。「窓口相談」は、公的機関を訪れた企業が抱える悩みや問題について、専門家としてアドバイスを行う業務です。集客や営業の課題や人事面での問題、法律に関わる悩みなど相談の種類は多岐にわたるため、中小企業診断士のように幅広い知識を持つ人間が求められるのでしょう。

こうした仕事は、週に何日かの仕事が確実に得られるので、安定した収入源になるという面もあります。

専門家派遣では、経営の専門家として企業を訪問して支援を行います。専門家派遣の仕事は、公的機関に専門家として登録を行い、案件があれば派遣を求める企業を訪ねる形式となっています。

民間業務

中小企業診断士では、一般企業のコンサルティングを「民間業務」と呼ぶことがあります。

コンサルティング業務の内容はさまざまで、融資支援やマーケティングのコンサルタント、事業計画策定の支援などがあります。中小企業診断士として求められる知識が幅広いのも、企業が抱えるあらゆる問題や悩みに対応するためでしょう。

また、企業が抱える課題に対して、別の専門家を紹介する調整役になる場合もあります。問題解決に別の専門家の力も必要であると判断すれば、両者を上手につなぐことも大事な業務です。経営全般の知識を持つ中小企業診断士は、「誰に相談すればいいかわからない」と感じている経営者や起業家にとって、最初に相談を持ちかける「総合窓口」のような役割を担っているのでしょう。

企業研修

独立した中小企業診断士のなかには、「企業研修」を行っている人も少なくありません。

専門分野に関する研修はもちろん、ロジカルシンキングやマネジメントといったビジネススキルに関する研修も行っています。経営に関わる多くの知識と、それに基づく論理的な判断を求められる中小企業診断士の働き方から、企業に勤める人々が学び取れるものは多くあります。

また、企業内の研修だけでなく、大学や専門学校などで教鞭をとる仕事に就く人もいます。独立した診断士として経験を積んでいけば、後進に伝えるべき知恵などを得られることもあります。

「話す・教える」という仕事は、経営者や起業家などの相談を受ける中小企業診断士にとって、業務との親和性が高いといえます。

中小企業診断士として独立開業した場合の年収は?

2016年に行われた中小企業診断協会による会員へのアンケートによれば、100日以上の業務を行った人のなかで最も多かった回答は、年間売上が501~800万円でした。次が1,001~1,500万円となっており、ある程度の傾向が見える結果となっています。年間売上501~800万円というのは、コンサルタント会社に勤める診断士や企業内診断士などです。年間売上1,001~1,500万円は、顧客を数多く抱えている独立した中小企業診断士や会社役員などの高収入な仕事をしながら、積極的に副業を行っている企業内診断士だといえるでしょう。独立している中小企業診断士は、抱えている顧客の数によって収入が大きく変動する点は踏まえておく必要があります。

独立している中小企業診断士はどのくらいいるの?

2016年実施の中小企業診断協会のアンケートでは、1,992名の会員のなかで中小企業診断士の資格のみで独立し、プロの経営コンサルタントとして活躍されている人は549名でした。

また、他の資格を所有し兼業をしている人は318名でした。つまり、全体の43.6%ほどが独立して業務を行っていることになります。民間企業で企業内診断士として働いている診断士は644名で32.2%ほどですから、独立している人のほうが多いことがわかります。ただし、これはあくまでも中小企業診断協会に所属している診断士の話で、資格所有者全体の話というわけではありません。

ただ、資格所得の動機に関するアンケートでは、4,212名の回答者のうち657名が独立を目的として資格を得たと答えています。これは全体の15.6%ですから、中小企業診断士のうち、15~43%程度は独立していると推測できます。

独立する場合に必要な準備はある?

この項では、独立するにあたって必要な準備、「顧客の獲得」「中小企業診断協会への入会」「資金の準備」について説明します。

顧客の獲得

顧客の獲得は、直接的に営業したり別の診断士から紹介してもらったりする場合はあるものの、多くは中小企業診断協会に登録することで斡旋してもらいます。他には、中小企業を支援する機関や商工団体などから紹介を受けるという場合もあります。個人で仕事を得るというより、窓口になってくれる組織や団体から顧客を紹介してもらうという流れが一般的です。

中小企業診断協会への入会

中小企業診断協会に登録する場合、47都道府県にある都道府県協会への所属が必要になります。したがって、活動拠点となる場所から最も近い協会への所属を申し込みましょう。たとえば、東京の中小企業診断協会の場合は地域ごとに支部があるため、所属を希望する支部を選び届け出ることが求められます。

申し込みをする際に入会金や年会費を支払うことになりますが、金額は各都道府県の協会ごとに違いがありますので、希望する協会に問い合わせるなどして事前によく確認しておきましょう。

資金の準備

中小企業診断士として開業をするだけであれば、資金などの準備がなくても活動することは可能です。

しかし、軌道にのるまで時間を要したり、その他不測の事態が発生するなど、月の収支がマイナスの状況が続くことも考えられます。そのような状況にも対応できるように資金は備えておいた方がよいでしょう。

中小企業診断士として独立!メリットとデメリット

独立によるメリットは?

中小企業診断士としての開業について、絶対に必要になる初期費用というものはありません。事務所が用意できなければ、自宅を事務所代わりにすることもできます。パソコンや電話など、一般的な機器がそろっていれば改めて用意するべきものもありません。自分1人で起業できるため従業員を雇う必要もなく、実際に仕事を受けるようになれば、顧客から支払われる報酬=収入になりますから、その点も大きなメリットです。

独立によるデメリットは?

福利厚生や社会保険料などをすべて自分で負担したり、収入がゼロになるリスクも背負います。

また、独立すれば、事業者として営業から経理まですべてを自分で行わなければなりません。

中小企業診断士として独立を成功させるための方法とは

中小企業診断士として、しっかりと独立するためには、何よりも仕事や顧客を確保して収入を確立することが重要です。

公的業務などで安定した収入を得るという手もありますし、中小企業診断協会に参加して人脈をつくることも顧客確保につながるでしょう。あるいは、診断士の資格だけにこだわりすぎず、行政書士や社会保険労務士などの他の資格も得ることで、自分の価値を高めるという手もあります。診断士の資格だけでは行えない業務を他の資格で補うことができれば、仕事の幅をさらに広げることができます。

また、ブログやホームページなどを活用することが、顧客獲得につながる可能性もあるので、自分が得意とする分野などをしっかりアピールすることができれば、診断士としての実力を認めてもらえる機会が増えていくはずです。

大切なのは、待っているだけで仕事が増えるわけではないことを自覚し、率先して行動を起こしていくことです。このように自由な活動が許されることも、独立するメリットだといえます。