近年「持株会社」が増えている!その概要やメリットを解説!

更新日:2021年12月7日

紙飛行機

最近の日本社会では「持株会社」が増えています。一般的には「ホールディングス」と表現されるので、多くの方が聞いているでしょう。しかし「持株会社」や「ホールディングス」の正確な意味は、あまり知られていません。

持株会社とは、他の株式会社を自社のグループに引き入れるため、対象会社の株式を持つ組織です。こちらの仕組みを知れば、日本社会の重要な部分を学べます。社労士や行政書士など会社を相手にサービスをする資格もあるため、持株会社の定義を学ぶことは重要です。

今回は持株会社の意味を知りたい方のために、その全体像を紹介します。

目次

「持株会社」とは?

持株会社とは、他の会社からもらった株式を保有する組織です。その目的の多くは、保有中の株式の発行主である会社を、自身の傘下に入れることになります。設立方法や代表例も知れば、持株会社の全体像がわかるでしょう。

持株会社は一般的に「ホールディングカンパニー」とも呼ばれます。他社が発行した株式を「ホールド」(保有)していることからこの名前がつきました。持株会社は運営に携わるものもあれば、それにはかかわらず傘下に入れた会社のマネジメントだけをしているケースもあります。

持株会社に引き入れられた会社は、傘下の組織として扱われます。つまり複数の会社からなるグループに属し、持株会社の下で活動するのです。しかし実際は経営をコントロールされるケースはありません。持株会社は傘下の組織に対し、運営を一任することが多いからです。

しかし傘下に入った会社は、意思決定を効率的にできます。新商品や経営方針などの意思決定は、あくまでも傘下の会社内で決まるからです。大きな会社でさまざまな人の意見を聞くよりも、意思決定を一任された小さな傘下会社の方が、スムーズに結論をまとめられます。

このように持株会社とその子会社にはメリットがあるのです。傘下に入った企業で意思決定がスムーズになり、グループ全体の利益につながるでしょう。

持株会社の作り方は主に3つです。抜け殻方式、株式移転方式、株式交換方式になります。

最初の抜け殻方式は大規模な会社内の事業を子会社に譲渡したり、事業を分割したりする方式です。譲渡や分割をした側の会社は、持ち株会社に移行します。既存事業を他の組織に渡して独立することから「抜け殻」と呼ばれるのです。

二つ目の株式移転方式は、持株会社となった親会社の株式を動かし、新しい持株会社を作る方法です。株式は事業を続けるうえで資金を集める手段になります。株式移転はその権利としての株式を新しい持株会社へ動かし、会社として機能させるのです。

三つ目の株式交換方式は、自身と相手の各社の株式を完全に交換することです。これにより交換を決めた会社が、完全な親会社に変わります。お互いが相手の株式を持っていることで、会社同士のグループとしての関係が成り立つのです。このように持株会社を設立する方法は3つあるのですが、現代の日本では抜け殻方式が多いといえます。

日本でも多くの有名企業が持株会社となり、傘下に大手企業が入る例も多数です。たとえば金融界では野村ホールディングスや三菱UFJフィナンシャルグループが持株会社として活躍しています。

さらに小売系ではセブン&アイホールディングスも持株会社として活動中です。メディア系では読売新聞、通信業界ではソフトバンクなど、知名度の高い企業が持株会社としてグループを作っています。

このように現在の日本のビジネス界では、企業が他の組織の傘下に入り、グループとして協力し合いながら成長を目指すのが常識です。金融や食品、通信など我々の生活にかかわる企業の多くが、持株会社として日本の経済を支えています。

なぜ「持株会社」は必要なのか?

世の中に持株会社が増えた理由が気になる方もいるでしょう。それは大きく3つに分かれます。事業分散、他社との関係構築の効率化、新規事業の立ち上げです。企業が新しいことを始めたり、成長したりするうえで、持株会社に変わるのは合理的になっています。

持株会社ができる理由の1つ目は、事業分散です。通常企業はひとつの組織内にさまざまな事業を抱えています。しかし会社を二手に分け、それぞれに事業を配分すれば、各社がやるべきことに集中しやすくなります。

持株会社と傘下会社で、メインの事業に集中できれば、生産性は上がるでしょう。数多くの業務に気をつかう状態でも、事業分散後はひとつの仕事に多くの時間をかけられるのです。

以上から事業競争力の強化という効果も望めます。各事業の将来的なビジョンをはっきりさせ、自律的な運営ができるからです。グループ内で一定の情報交換はありながらも、基本はそれぞれが独立で動き、意思決定も各社に委ねられます。

グループ全体での仕事が効率的に動き、生産性がアップするでしょう。これにより納得の商品ができたり、利益を上げたりできて、海外の会社と勝負できる可能性があります。

持株会社の2つ目の目的は、他の会社との関係構築です。買収や合併、業務提携など、日本の有名企業の多くは他の会社と協力を結びながら成長を続けています。持株会社になれば、合意が済んだ企業との関係も作りやすいのです。

たとえば買収なら、企業間でアイデアやノウハウをシェアできるメリットがあります。お互いの企業における商品拡充や、新規事業の開拓もできるでしょう。買収契約を結ぶ企業は、お互いの環境がよい意味で変化し、業績に前向きな影響を与えることを望んでいるのです。

他にも合併では、資金の準備なしでM&Aを進められるのがメリットです。お互いのブランド力を生かしての売り上げ増加も望めるでしょう。業務提携でも強い関係性を社会にアピールできます。また経営危機になっている会社と提携すれば、親会社の主導による経営改善も見込めるのです。

このように買収や合併などで会社同時の関係をスムーズに作るには、持株会社の存在が重要になります。

持株会社の三つ目の目的は、新規事業の立ち上げです。複数企業を傘下に置くことで、各事業におけるさまざまなリスクのコントロールを目指します。ひとつの事業に売り上げが偏っていると、有事では対処しづらくなるからです。

以上を考えると業種の異なる子会社があれば、持株会社にとって事業リスクを抑えやすいといえます。ひとつの事業がうまくいかなくても、他のところで売り上げがよければ損失をカバーできるからです。このように企業同士の関係を結ぶことで、業績を安定させられるケースがあります。

持株会社が他の企業を傘下に入れる動機はさまざまですが、会社としてもグループとしてもうまくいきたいという理念は同じでしょう。

「持株会社」には種類がある!

持株会社には複数の種類があります。純粋持株会社、事業持株会社、金融持株会社の3つになります。それぞれ特徴や運営方法が違うので、学んでおくと便利でしょう。持株会社の各種における定義を解説します。

純粋持株会社

純粋持株会社は、他の会社をグループに引き入れての管理を目的としています。他社の株式を保有し、傘下に置くことで、その組織の事業活動をコントロールできます。グループの統制に集中するシンプルなタイプです。

純粋持株会社自体は、商品を作ったり売ったりしません。他社の株を持つ前は商品にかかわっていたケースもあるでしょう。しかしその場合でも、持株会社になったら開発や販売事業を他社に譲り、グループのコントロールに専念することが多いといえます。

純粋持株会社の主な利益は子会社からの配当です。他社の株式を所有していると、発行会社の業績に応じて配当をもらえます。そのため純粋持株会社は、傘下企業が利益を上げられるように管理するのが使命です。グループの形成と管理に特化したタイプと考えましょう。

事業持株会社

事業持株会社は株式保有だけでなく直接的に事業も手がけるタイプです。純粋持株会社が商品開発や販売などの利益を作る仕事にかかわらないのに対し、事業持株会社はそうしたビジネスにも積極的に動きます。

事業持株会社の成り立ちは、多くの場合株式交換によるものです。株式交換は買う側と売る側のすべての株式を交換することで、親会社と子会社として強固な関係を築けます。

以上により既存の会社が親会社となり、仕事を続けるために事業持株会社になります。グループを作って成長を目指しながらも、引き続きビジネスにかかわっていきたいという判断で事業持株会社が生まれます。

事業持株会社は、ビジネスの最前線に立つ要素は残しますが、将来的な成長のためにグループを作りたいという判断で生まれます。

金融持株会社

金融持株会社は、金融業界の企業が作った純粋持株会社です。そのためグループの親会社になっている組織は、基本的に事業には直接かかわりません。しかしメガバンクや大手保険会社、大手証券会社などで、金融持株会社になるケースが近年増えています。

この背景は1997年の独占禁止法改正です。従来は改正前の独占禁止法により持株会社の設立は認められていませんでした。しかし改正の結果、経済界の重要部分を担う金融業界で、他社の株を保有してグループを作る動きが活発になったのです。

現在金融業界で活躍する持株会社には、三菱UFJフィナンシャルグループ、東京海上ホールディングス、野村ホールディングスなどが挙がります。こうした企業は、多くの人がサービスを受けたり、就職活動で注目したりします。それだけ金融持株会社の社会的影響力が大きいのです。

金融持株会社は独占禁止法改正をきっかけに次々誕生しており、現在では経済的に重要な存在になっています。

持株会社が増えている理由とその背景とは?

持株会社が増えている理由は、1997年の独占禁止法の改正です。背景としてその時代から世界のビジネス界において、グローバル化が進んでいるという事実が挙がります。

独占禁止法の改正で持株会社が許されたことは、日本社会に大きな影響を与えました。従来の日本では独占禁止法により、持株会社は禁止されていたからです。これは制定前の不平等な市場環境が原因とされます。

独占禁止法の制定前は、該当する財閥が市場を支配しすぎる状況でした。その影響で中小をはじめとした他の会社が、利益を受けられない状況だったのです。どの企業でも公正な条件で活動できるようにするのが、この時代の独占禁止法の意義でした。

制定のきっかけは、第二次世界大戦後の財閥解体です。ここから独占禁止法が決まり、多くの企業が平等な条件で戦えるようになったのです。このように戦後の日本の経済成長も、法律の動きがかかわっています。

しかし1997年6月に独占禁止法が改正され、再び持株会社が次々誕生します。この背景として挙がるのがグローバル化です。

90年代では、世界的にグローバル化が進んでいました。海外の有名企業が世界中にサービスや商品を提供し、市場を開拓していったからです。この時点で海外では、持株会社による事業の買収や合併が活発に進み、グループとして世界的影響力を示す例もありました。

とくに90年代はインターネットや携帯電話、光回線など通信技術の発展が目立っています。この年代の海外ではMicrosoftやYahoo!、Google、Amazonなど現在では有名なIT企業が次々設立されているのが特徴です。以上の企業は世界中にサービスを提供し、社会の常識を覆していきました。

他の業界でもマクドナルドやナイキ、P&Gなどさまざまな分野における海外企業が、日本にサービスを提供する例が増えています。海外企業が多くの国から支持を得ているので、日本のビジネス業界もこれにどう立ち向かうかが課題になっていたのです。

以上の背景から日本でも持株会社の必要性が生まれ、独占禁止法の改正につながったのでしょう。法改正がきっかけとなり、さまざまな大企業が持株会社化します。銀行や保険会社など金融機関を中心に、さまざま業界でそうした動きが見られました。

現在ではMicrosoftやGoogle、AmazonなどIT系を中心に、さまざまな海外企業が世界中にサービスを提供しています。この状況において日本企業は持株会社がグループを作り、効率的な意思決定をしないと競争力をアピールできないでしょう。

この背景から日本企業も海外進出や新規事業のきっかけとして、他社と協力関係を結ぶ例が増えています。グループによる相互関係を生かし、海外への競争力をつける狙いでしょう。以上から日本における持株会社の増加は、グローバル化の流れを受けた独占禁止法の改正が理由とされます。

「持株会社」のメリット・デメリット

持株会社にはさまざまなメリットとデメリットがあります。メリットには迅速な意思決定、グループとしての経営効率化、企業同士のコミュニティの構築などがあります。会社同士で助け合うことにより、お互いの業績を伸ばす狙いです。

以上のようなWin-Winの関係は、企業同士が信頼しあえるだけではありません。各社が顧客に満足してもらうためにも大切です。

しかしデメリットとしてグループ統制の乱れや、子会社同士の関係悪化、子会社によるトラブルなどのリスクが挙がります。持株会社がリーダーシップをうまく発揮できなかったり、子会社へのチェックが不十分だったりすると、トラブルや業績悪化などにつながるのです。

グループの形成が逆効果にならないよう、持株会社が傘下会社をケアしなければなりません。

以上のようなメリットやデメリットを、それぞれ5つずつ挙げます。

「持株会社」のメリット

持株会社のメリットとして、次の4つが挙がります。迅速な意思決定、グループ経営の効率化、各事業会社に合わせた労働環境の整備、そして企業同士の関係の強化です。それぞれグループ会社の運営における重要点なので、見ていきましょう。

最初のメリットは迅速な意思決定です。持株会社を頂点として、傘下企業によるグループ形成をすれば、各社で意見がまとまりやすくなります。

ひとつの大きな企業で意思決定をしようと思えば、たくさん部署での合意を得なければなりません。しかし事業分散により持株会社と傘下企業に分かれれば、各社は担当する事業だけに意思決定を下せばよいのです。以上から持株会社は、意思決定の効率化のきっかけになります。

持株会社は傘下企業に権限を委ねます。一定の管理はしますが、傘下企業は持株会社の介入を受けずに、自社で進める仕事について、自社のメンバーだけで意思決定ができるのです。事業ごとにグループの方向性は異なるので、その場の雰囲気を尊重した最善策を取れます。

意思決定が速いことによる二次的なメリットも見逃せません。商品開発や新サービス提供のスケジュールが進みやすくなることです。持株会社としてグループを作れば、各事業において生産性が高まる可能性があります。

2つ目のメリットは、グループ経営の効率化です。複数の傘下企業を持株会社がチェックし、利益につながるようにマネジメントするからです。これによりグループ内の各社の運営を最適化できます。親会社と子会社のスムーズな連携ができれば、それぞれの業績が上がるでしょう。

持株会社が子会社をまとめることで、ライバル企業や世界と戦うのがグループの使命です。そのためには効率的なグループ経営が欠かせません。親会社と子会社の連携がうまくいけば、グループ全体で世間に信頼されやすいといえます。

グループ経営を効率的に進めることで、全体の業績は安定させられるでしょう。たとえばひとつの事業の売り上げが落ち込んでいても、他で大きな黒字があれば、総合的な業績はプラスにできます。このようにグループ同士の助け合いを意識させられるのも持株会社のメリットです。

3つ目は、各事業会社に合わせた労働環境の整備です。ひとつの企業の中に複数の事業があれば、メインの仕事に集中できない時間が多くなるでしょう。他の部署のマネジメントや、人事、経理といったどこの企業でも見られるような業務が多くなり、やりたいことに手が回らない企業もあるようです。

しかし事業分散の結果、持株会社が生まれれば、メインの事業に集中しやすいでしょう。これは親会社と子会社両方に当てはまります。それぞれが割り当てられた事業に専念すればよいからです。メインが事業に専念できた結果、各社の業績が上がり、グループとしての地位も高くなるでしょう。

他にも人事制度の細分化があります。持株会社が生まれれば、グループ内の会社はそれぞれが独立した法人として扱われるのです。事業によっても社風や就業規則などは異なりますが、各社はそうした個別の事情に配慮できます。人事評価や給与制度も各社の都合で決められるので、多くの人にとって働きやすい労働環境を実現できます。

このように持株会社がきっかけで、各社の労働環境が改善され、多くの人がやりがいを感じやすいでしょう。

4つ目のメリットは企業同士の関係性が強くなることです。持株会社なら買収・合併といったM&Aを展開しやすいといえます。近年の日本社会でもM&Aの事例が増えているので、こうした出来事に対応しやすいのはメリットです。

買収相手との企業文化の違いはありますが、持株会社なら買収した企業における大量離職のリスクも避けられます。持株会社は買収相手に対して、意思決定を一任できるからです。経営方針への口出しが多すぎると関係性が壊れるかもしれませんが、持株会社として傘下企業に方針をまかせられれば、健全にグループを運営できるでしょう。

持株会社のリーダーシップで、経営改善を受けた買収相手と新しい関係を築けます。買収相手によっては、経営状態がピンチになっているかもしれません。しかしそうした企業の危機を救うためにアイデアを出し、それが成功すれば、買収相手との信頼性は確固たるものになるでしょう。

このように持株会社なら、買収や合併といったM&Aをスムーズに進められるだけでなく、傘下企業をよい方向に進ませられるのもメリットです。

このように持株会社のメリットは、スムーズな意思決定や経営が進められるだけではありません。グループ内の企業と信頼を高めあえるのもポイントです。

「持株会社」のデメリット

持株会社には4つのデメリットもあります。グループ統制の乱れ、子会社同士の連携の難しさ、子会社によるトラブル、そして人件費の増加です。持株会社にとっての注意点として見ていきましょう。

最初に持株会社が気をつけるべきなのは、グループ統制の乱れです。グループ内では各企業の自主性が強いので、親会社の指示や方針に従わないことで混乱が起きるおそれがあります。そうした事態を防ぐためには、持株会社のリーダーシップが重要です。

持株会社にも一定の指揮を取る権限はありますが、子会社がそれに従うかはわかりません。方針を押しつけるのではなく、丁寧な説明をするなどの工夫を要します。冷静な話し合いの場を設けることで、子会社の独善的な行動を抑えられる可能性があるのです。

持株会社がリーダーシップを発揮できないと、子会社でどのようなトラブルが起きるかわかりません。そうした事態を避けるために、持株会社が定期的に傘下企業の状況をチェックする必要があります。

一度グループ統制が乱れると、働く人だけでなく顧客にも迷惑をかけるでしょう。持株会社は子会社の自主性を尊重だけでなく、不正の取り締まりや、業績アップを見据えたコミュニケーションが大切です。

2つ目のデメリットは、子会社同士の連携の取りづらさです。親会社と子会社の関係が「縦」なら、子会社同士は「横」の関係ですが、横の連携が課題になります。ここがうまくいかなければ、グループにとっての重要なプロジェクトに影響が出るでしょう。

子会社は親会社とのコミュニケーションには積極的になりやすいといえます。親会社から事業譲渡を受けたり、買収の取引をしたりしているからです。つまりグループに入る前から素性を知っているので、子会社は親会社を信頼しやすいでしょう。

しかし子会社同士のコミュニケーションがないことがリスクになります。事業によってはグループ内における複数の子会社の協力が必要になるでしょう。しかし子会社同士の方針の食い違いで、トラブルが起きる可能性があります。

たとえば通信事業グループの子会社に携帯電話の販売会社とパーツメーカーがいたとします。パーツを早く完成させないと販売ができないのですが、メーカーがスケジュールを遅らせることで、販売会社に迷惑をかけるリスクが見逃せません。

このように子会社同士の連携が必要なときは、持株会社からの働きかけが重要です。

3つ目のデメリットは子会社がトラブルを起こすリスクです。一度トラブルが起きると、グループ内に影響する可能性があります。大きく報道されるようなスキャンダルになると、グループ全体の信頼度が悪くなるでしょう。

売り上げの急落やスキャンダルなどが起きれば、その会社だけでなくグループ内の他の企業も影響を受けます。該当する会社の株価が軒並み下がり、グループ全体の地位が落ちることも避けられません。

以上を防ぐには、持株会社内でのコンプライアンスの徹底はもちろん、子会社にもそれを働きかける必要があります。持株会社のチェック体制がトラブルを防ぐポイントです。

4つ目は人件費の高騰です。ひとつの会社なら総務、人事、経理を同じ場所に設けられますが、持株会社化して子会社を作った場合は別です。子会社自体も独立しているため、それぞれに総務、人事、経理などの部署を作るケースが多いでしょう。

その場合、会社ごとに人件費や設備費用がかかります。別の会社を作ったことでグループ全体の経費が倍加する可能性さえあるのです。経費のコントロールがうまくいかないと、商品が売れても利益を上げられないでしょう。

グループ会社が利益を得られる条件は、経費を抑えながら利益を最大化することです。利益がよくても経費がかさみすぎると、割に合いません。持株会社設立を考える組織にとっては、経費増加のリスクを見てからの判断が賢明です。

このように持株会社のデメリットは、子会社によるトラブルや、グループ統制の乱れ、コストの増加などさまざまです。状況に合わせた対処が、持株会社の課題になります。

まとめ

近年、日本でも持株会社が増えています。自身が親会社になり、子会社が集まるグループを作ることで、海外との競争力をアピールするのが狙いです。

実際に他社との強力な関係を築いて、国内や海外に信頼性を示せるメリットがあります。しかし子会社をうまくマネジメントできず、グループ統制が見られると経営がうまくいかないというデメリットも見逃せません。

それでも持株会社によって、従来よりも社会貢献を進められる可能性があります。行政書士や社労士など士業にとっては、持株会社やその子会社のサポートをすることもあるでしょう。持株会社の仕組みから日本社会を学んではいかがでしょうか。

この記事の監修者は
小嶋聖司(こじま せいじ)

中小企業診断士の学習は楽しい
【出身】千葉県
【経歴】千葉大学法政経学部卒 中小企業診断士
【趣味】読書・サッカー
【座右の銘】和して同ぜず
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