簿記講座の講師ブログ

車は髙い?

 皆さん、こんにちは!

 簿記講座担当の小野です。

 はやく暖かくならないかなぁ。

 主要メーカーの日本国内での車の販売台数が徐々に減っています。そして、「車が高い!」という声もよく聞きます。

 日本国内での車の販売台数は、2018年は334.7万台、2019年は328.4万台、2020年は288万台です。2020年はコロナの影響があるとはいえ、かなりの減少です。電車通勤が怖くて車通勤が増えたため、2020年前期は車の販売が増えたというニュースもありましたが、通年では減ってしまいました。

 一方、主要メーカーの世界での車の販売台数は徐々に増えています。2019年、2020年は一時的に減ってしまったようですが、9,000万台超えの水準が続いています。

 世界では増加傾向、日本では減少傾向。さて、この違いは何を意味するのでしょうか? 

原因の一つとして、世界の中での日本の経済的な立ち位置が変わったことが深く関わっていると思います。

 車の販売価格はこの10年で10~30%アップしています。値上がりすると販売数量が減るというのは経済の基本ですね。日本での値上がりが販売数量の減少につながっているのでしょう。

では、なぜ、車の価格が上がったのでしょうか? 自動ブレーキなどの安全装備がついたのが主な原因といわれていますが、フィットクラスでも30万円くらいアップしているのを考えると、すべてが安全装置による値上がりとは言えなさそうです。

 ここでのポイントは車が超グローバル商品であること。世の中には様々なモノがありますが、車の生産・販売ほどグローバル化しているモノはありません。細かい仕様の違いはあるとはいえ、基本的には同じ車が全世界で売られています。そうなると、世界でほぼ同じ価格がつけられる必要があります。

 では車の販売価格はどのように決まるのでしょう? もちろん製造原価がベースになるのですが、それらにすべての国の経済状況(所得水準・インフレ水準)が関わってきます。所得水準・インフレ水準が高くなると車の販売価格も高くなります。世の中でやりとりされているモノの価格が全体的にじわじわ上がり、その一方で給料も上がっていくという状況ですね。

 多くの国では所得水準が徐々に上がっています。先進国の中で所得水準が下がっているのは日本だけです。バブル崩壊後、平均年収が2~3割下がっているというのは有名な話ですね。また、日本はインフレどころかデフレですよね。やっと最近、インフレ傾向になり始めたと思ったら(といっても0.1%くらいのインフレに過ぎませんが・・・)、コロナ禍でその勢いもそがれています。

 一方、車はグローバル商品ですから、全世界の平均的な所得水準・インフレ水準のアップに沿って価格が上がっていきます。そのため、車の価格が装備の増加分以上に上がっていると考えられるわけです。

 つまり、車が高いのではなく、日本人の所得が低いという哀しい状況なのです。

 この状況を脱するべく、何とか、政治・政策にはうまい舵取りをお願いしたいところです。