中小企業診断士講座の講師ブログ

中小企業診断士2次試験対策② 事例Ⅰ~Ⅲの対策

みなさんこんにちは。
フォーサイト中小企業診断士講座、講師の小嶋です。

今回は前回に引き続き2次試験事例Ⅰ~Ⅲについて見ていきます。

前回のおさらいですが、
事例Ⅰ~Ⅲは

事例Ⅰ→組織・人事
事例Ⅱ→マーケティング・流通
事例Ⅲ→生産・技術

であり、1次試験の科目では「企業経営理論」、「運営管理」と関わりが深く、完全記述です。

事例Ⅰ~Ⅲの対応について必要な要素を、重要度が高いと思われる順に、以下に並べます。

① 80分という時間内に、各設問について制限字数の付近まで書ききれること

② 設問文の文章に対応する解答になっていること(聞かれたことに答えていること)

③ 与件文に根拠のある解答を構成すること

④ 設問文の意味が分かる程度の、最低限の知識があること

⑤ 複数年度を解いていく中で、解答のパターンを身に着けていくこと(このプロセスで必要な知識が身についていく側面もあります)

以下でそれぞれの要素について、具体的に見ていきます。

① 80分という時間内に、各設問について制限字数の付近まで書ききれること

記述内容の候補となる事項は多く、「制限字数の中でどこまで書き込めるか」の勝負になります。
それぞれの設問の中でなるべく多くのキーワードを盛り込み、採点基準に多く触れることで、設問ごとに6割は取れる答案を書ききっていくイメージです。
時間が足りないなどの理由で明らかに字数の足りない箇所を作ると、他の設問で高得点を連発する必要が出てくるために、一気に厳しくなります。
まずは80分で書ききれるようになることを目指しましょう。

② 設問文の文章に対応する解答になっていること(聞かれたことに答えていること)

設問の要求事項を読み間違えると、出題者の意図した解答の方向性とずれが生じ、大幅な失点につながる可能性があります。
自身の作成した答案を模範解答と比較しつつ、第一に与件文の要求を把握できていたかどうか、という観点での振り返りが重要になります。

③ 与件文に根拠のある解答を構成すること

採点については
・作問者が考えた解答要素を盛り込むことができたか
・多くの人が書いた要素と同じことを書いているか
の2点で行われていると考えられます。

当初作問者が想定していなかった解答を多くの受験生が記述している場合に、後付けでその内容も採点基準に加えている可能性があります。
作問者の考えた解答要素であれば、作問者は与件文中に何らかしら根拠になる内容を残しているはずです。
また、多くの人が書いた内容にしても、与件文中に、多くの人にその記述を判断させる要素があったはずです。
つまり、与件文中に根拠のない解答内容は、一見それがどんなに素晴らしいものであっても得点にならない可能性が高くなります。
自身の解答について「ここにこう書いてあったため」と根拠のなる記載がどこにあるかを常に明確にしながら学習を進めましょう。

④ 設問文の意味が分かる程度の、最低限の知識があること

知識面に関しては、絶対にないといけない知識はそんなに多くはありません。
例えば「SWOT分析をしなさい」に対してSWOT分析を知らないと大量失点につながります。
ただし、そうした知識はごく一部であるために、過去問演習を続けていく中である程度はカバーされます。

⑤ 複数年度を解いていく中で、解答のパターンを身に着けていくこと(このプロセスで必要な知識が身についていく側面もあります)

「定番のパターン」のような問題もあるため、過去問演習を通じて定番の質問、そこへの対応のために必要な知識、思考、記述に対して慣れを作っていくことも重要です。
必要な知識は必ずしも1次試験のものとは限らず、その前段階にある一般常識的な部分も含まれます。
ただし知識自体のために何かするよりも、早く事例にあたり、その中で知識自体もカバーしていくことが効率的です。

以上5項目について、上記の順に並べた理由は、優先順位の高い項目が出来ていなければ、それより優先順位の低い項目ができていても、得点につながらない可能性が高くなってしまうためです。

学習をはじめていきなり5つの項目を全て意識して学習をするのは難しい部分もありますので、「まずは①に集中する」、「①、②、③は必ず意識する」など状況に応じて徐々に意識する範囲を広げていっていただければと思います。

また、ここまでの内容を通してお伝えしたかったこととして
・1次と2次は別物
・2次の学習について、2次の実際の問題をベースに進めることが効率的
・1次の知識は、得点を出すために最も重要な要素ではない。知識の不足を理由に先送りするより、時間があるなら解いて見る
ということです。

完全記述はハードルが高いものの、インプットに特化した学習とはかなり相性が悪いといえます。

まず一回解いてみるところから、学習が始まります。