中小企業診断士講座の講師ブログ

中小企業診断士2次試験対策⑤ 事例Ⅳの対策

みなさんこんにちは。
フォーサイト中小企業診断士講座、講師の小嶋です。

今回は2次試験事例Ⅳについて見ていきます。

2次試験は事例Ⅰ、事例Ⅱ、事例Ⅲ、事例Ⅳと計4つの事例問題に対して、それぞれ80分で解答を作成する試験です。

事例Ⅳは配点としては1/4にあたるわけですが、学習時間の配分も1/4にしてしまうことは、賢明ではありません。

理由は試験の性質にあります。

事例Ⅰ~Ⅲは「国語」的性質が強く、事例Ⅳは「数学」的性質が強いといえます。
事例Ⅰ~Ⅲは学習量が得点に比例するとは必ずしもいえず、逆に事例Ⅳは学習時間をかけるほど得点が向上するといえます。

事例Ⅰ~Ⅲは学習の「質」によって成果が大きく異なり、質の部分をしっかりと押さえることで、量がそれほどでなくても一定の得点を得られる可能性があります。
一方で事例Ⅳは少なからず「量」が求められ、量をこなさずに得点を得ていくことは、ほとんどの人にとってかなり難しい内容となっています。

事例Ⅳについて、「財務・会計」の事例であるため、1次試験財務・会計の内容が前提になっている面があります。

ただし、2次事例Ⅳの頻出論点は
① 経営分析(第1問)
② 損益分岐点分析(第2問)
③ 意思決定会計(第3問)
であり、ここに対する対応内容が得点の8割以上を左右するといっても過言ではありません。
よって2次対策として1次財務・会計テキストをまんべんなく復習する必要があるわけではありません。

また、上記頻出論点の中でも、合格に向けて一定の得点が求められるのは、
① 経営分析
② 損益分岐点分析
です。
一方、
③ 意思決定会計
については、条件整理、計算が複雑になることが一般的であり、多くの方が苦手とされる分野です。

第3問意思決定会計については、他を優先して解き、あまった時間で設問1だけに対応する、という形が多く見られるパターンであり、基本パターンを押さえて部分点を狙っていく、ということが基本的な対応になります。

つまり2次試験事例Ⅳ対策における最優先事項は、「第1問経営分析、第2問損益分岐点分析の基本を押さえること」であり、その次に「意思決定会計の基本パターンを押さえること」、「経営分析、損益分岐点分析の対応できるパターン数を多くすること(=つまり、過去問で多くの年数にあたっていくこと)」と続きます。

事例Ⅰ~Ⅲは国語的側面が強いということは、「初めて聞かれるようなことであっても、何かしら書くことで部分点を狙いやすい」ということでもあります。

一方で事例Ⅳは数学的側面が強いということは、「初めて聞かれることに対して自身で解法をひねり出して解答することは、部分点狙いであっても簡単ではない」ことを意味しています。

事例Ⅳの演習量を増やすべき理由は
「事例Ⅰ~Ⅲとくらべて解法のある程度の部分がパターン化しやすい。ここについて回数をこなすことで慣れや対応の幅を広げることが可能であり、その練度が試験の難易度を大きく変える」
という事例Ⅳならではの性質のためです。

※以前事例Ⅰ~Ⅲの合計時間と事例Ⅳの1事例にかける時間が同じ位になるようにするべき、というアドバイスをしたところ、もっと事例Ⅳを増やすべきだった、というフィードバックをいただいたことがあります。(ただしその方は事例Ⅰ~Ⅲに対する対応力がかなり高かった、という側面もありました。)