中小企業診断士講座の講師ブログ

中小企業診断士 試験講評 令和5年度 2次試験 事例Ⅳ

みなさんこんにちは。
フォーサイト中小企業診断士講座、講師の小嶋です。

先日令和5年10月29日月曜日に、令和5年度中小企業診断士2次筆記試験が行われました。

80分をフルに使ってよりよい解答を作ることを強いられる事例問題を1日で4事例もこなさなければならず、その環境下で集中力と平常心を保ち続けることを求められる、非常にハードな試験です。

本試験を受験された皆様、本当にお疲れ様でした。

今回は令和5年度 事例Ⅳについてレビューしていきます。

第1問 経営分析
→比較的3つの指標は挙げやすい印象です。設問2の記述は一つの財務指標について掘り下げる問題としては80字と字数が多く、悪化した売上と利益のうち、記述要素が多い(財務諸表だけでなく、本文にも関連する記述のある)と思われる利益を選ぶことがポイントと考えられます。

第2問 CVP分析(損益分岐点分析)
→設問1が、高低点法(2点の費用差/2点の売上差=変動費率)で変動費率を出せるかどうかで、計算の負担が大きく異なります。近年の第2問のように連立方程式で解き進むと計算の負担が大きく、ここに時間を費やしてしまうとその後が厳しくなります。(高低点法での対応に気付かず)この計算が厳しいと感じた場合、設問2が設問1と関係ないことに気付ければ、1を捨ててそちらに進むことも状況によっては正しい判断でした。設問3は設問2とつながりがあり、設問2の計算内容を記述に反映させることが求められていると考えられます。

第3問 意思決定会計
→NPV計算において、運転資金増減額を加味した上での計算が近年にないパターンであり、そこを含めて正確な計算を行うには判断力と計算力が要求されるため、「正解を出す」点でハードルが高かったといえます。運転資金増減額を無視した計算過程、結果が多ければ、得点調整の意味も含めて、そちら側の計算過程にも大幅な加点がされる可能性もあります。
設問2に関しては、設問1ができているのであれば、割引計算に対応できさえすれば、後は時間と計算力の問題でした。
※事例Ⅳは計算過程に加点するシステムを取ることで、問題自体の難易度調整の難しさを補っていると考えられます。

第4問 「財務的利点」についての解答文を要求されているため、第一問の経営分析とからめた解答が求められていると考えられます。平常心、冷静さをもって設問要求を判断、対応することが求められました。

総じて、令和5年度2次試験事例Ⅳは、難しいことが聞かれているわけではありませんが、基本的事項のしっかりした理解と運用、計算能力が問われた出題であり、うわべに留まらないしっかりとした理解の有無が求められました。