中小企業診断士講座の講師ブログ

中小企業診断士 財務・会計(1次)の対策

みなさんこんにちは。
フォーサイト中小企業診断士講座、講師の小嶋です。

今回は1次財務・会計についてお話していきます。

財務・会計は財務(ファイナンス)と会計(アカウンティング)を扱う科目です。

会計はほぼ簿記の内容であり、主に企業の過去の経営成績(損益計算書)を明確にしつつ、現在の状況(貸借対照表、キャッシュフロー計算書)を把握するものです。

一方で財務は資金の調達、運用という未来視点の分析を行うものとなります。

財務・会計の試験問題は計算問題と選択式の知識問題に分かれます。

試験の難易度としては、しばらく易しめの出題が続きましたが、令和4年度、令和5年度と難化傾向にあり、平均点が下がっています。

難化傾向になった一番の要因は「会計分野の知識問題の出題範囲が広く、多くの受験生が対策していない内容が出題された」ことにあります。

簿記1級やビジネス会計の内容で、かつ診断士試験で過去あまり出題されていない、つまり通常の診断士の財務・会計のテキストでは対応できないような出題が、少なからずありました。

従来は計算問題の得点率があまり高くなくても、その分知識問題で補って60点に到達することは難しくありませんでしたが、ここ2年に関しては上記新論点の知識があるか、または計算問題をある程度取るかのどちらかがないと、60点に到達することが少し難しい状況でした。

(このような状況を受けて、財務・会計で苦杯をなめた方が、診断士の財務・会計のテキストに加えて上記ビジネス会計や、簿記1級の論点の学習をされているという話を、聞くことがあります。)

ただし、過去2年間で出題範囲が広くなったからと言って、その範囲の学習を対策に盛り込むことは、必ずしも効率的ではないと考えています。

理由としては
①診断士試験は毎年簡単にする科目と難しくする科目をあらかじめ決めて全体的な難易度を調整していると考えられ、2年連続で難しかった科目は、比較的その翌年は簡単になる傾向がある
②財務・会計の新論点は試験委員が単に得点率を下げるために(診断士試験における)マイナー論点を選んだ可能性があり、この出題傾向が今後続くかどうかは不明
③財務・会計は2次試験でも出題があるために、1次の最重要科目と言えるが、上記新論点のほとんどは2次試験での出題可能性はほぼない
などです。

とはいえ、令和5年度の財務・会計は従来の易しめの出題だった年度に合わせた対応の場合、基準点(40点)割れをしてもおかしくないような出題内容であったため、何かしらの対応は必要です。

そのために最も望ましいのは「計算問題の対応力強化」です。

理由は
①1次の計算問題は、その計算過程の部分が2次試験でも役立つ部分が少なくない
(キャッシュ・フローを現在価値に割引いて企業価値を算出する、など)
②計算問題は必ず毎年一定数出題されるため、出題傾向に関わらず得点力向上につながる
などです。

どのみち簿記1級を取ろうと考えていたなどでない限りは、退職給付会計や外貨換算会計よりも、キャッシュフローに関する計算問題などを、できるようになるまで何度も解いていただきたいと思います。