証券外務員講座の講師ブログ

外貨による運用を考える④

皆さん、こんにちは。
フォーサイト証券外務員講師の伊藤です。

前回に続き、外貨による運用について解説していきます。外務員としての提案を行うにはどうすれば良いか?という視点も含め、数回で解説します。

①為替変動が生じる理由-金利差が為替変動の主な要因となっている

2023年2月現在、米ドルは再び独歩高と言ってもよい状況です。利上げはその国の通貨が買われる要因となります。結果、米国債の利回りは上昇、米ドル高が再び進むことにつながりました。ドル高円安の流れは少なくとも米国の利上げ、日本の金融緩和が行われる限り、日米の金利差が拡大するため、止まらない可能性が高いといえます。
とはいえ、永遠にドル高円安が続くとも思いません。米国の利上げがいつ止まるのか?この時期が判断の大きなポイントとなります。株式同様、為替も半年先を見据えて動いているといっても過言ではありません。そのため、筆者の個人的見解としては、米国のインフレ率鈍化が明確となったころには今のドル高円安は止まり、むしろ逆転現象が進む可能性がある点には注意が必要と考えます。

ただし、為替変動は金利差のみで動いているわけではありません。経常収支など構造面での変動もあります。日本は以前と異なり、円安だからといって稼げる体質にあるわけでもなく、むしろ原油等の輸入時に貿易赤字を生み出しやすくなっている側面があります。また、そもそも人口減が国内経済にマイナスとなっており、こうした国力という視点から円安をもたらしている側面も忘れてはなりません。
こうした構造的な要因は、短期ではなく中長期的な為替変動の要因として考える必要はあるものの、円安要因となっている可能性がある点は忘れてはなりません。

以上からいえることは、短期的には2023年にはドル高円安からドル安円高へと風向きが変わる可能性があるものの、長期的には大きく円高になることは考えにくく、じわりじわりと円安の風潮が強まる可能性があるのではないか?ということです。
十年単位といった視点で外貨預金など外貨の運用を検討している場合には、利息を得つつ、時間分散を駆使しどっちに転んでも最終的に円安による為替差益を得られるような運用姿勢がよいのではないかと思います。数か月や数年といった短期~中期の場合には、いったんドル安円高となる可能性もありますので注意が必要です。

<演習>
一種・二種受験者、いずれも解いてみてください。

次の問題に答えなさい。○✕問題

【問題1】
会計監査人の選任は、株主総会の通常決議による決議事項である。

<解答> ○
会計監査人の選任、取締役の選任・解任、監査役の選任、損益計算書の承認は株主総会の通常決議による決議事項と覚えておきましょう。