保育士講座の講師ブログ

今回は保育の心理学で出題頻度が上がっているコンボイ・モデル(ソーシャルコンボイ)について解説します。

コンボイ・モデルとは、個人のネットワーク構造を同心円状に表したものであり、カーン(Kahn)とアントヌッチ(Antonucci)が提唱しました。

もともと「コンボイ(convoy)」とは「護衛艦隊」を意味し、
コンボイ・モデルには個人がどのような人々との社会的関係をもち、社会的な助けを受けながら生きているのかが示されています。

コンボイ・モデルを図に示すと以下のとおりになります。
ブロンフェンブレンナーが提唱した生態学的発達理論にもよく似ていますが、
コンボイ・モデルは子どもだけでなく、大人にも当てはまる理論です。

 

 

コンボイ・モデルの中心には、個人が存在し、
➀の層にはその役割に関わらず長期的に持続する関係の人々が存在します。
この人々はどのような役割であっても、個人との関係に変化が起こりにくい親密な関係の人々です。

そして、②の層には、時間の流れとともにPへの影響が変化する人々が存在します。
この人々は卒業や引っ越しなど、個人の生活スタイルの変化がきっかけで疎遠になってしまうことによって個人に対する影響が変化します。

➂の層には、役割変化の影響を最も受けやすい人々が存在します。
➁よりも希薄な関係の人々です。

 

試験ではどのように出題されている?

 

最近の試験ではこのコンボイ・モデルが以下のとおり出題されています。

【2024(令和6)年前期 保育の心理学 問11】
5 コンボイ・モデルでは、同心円の外側ほど身近で頼りにできる重要な他者を、内側ほど社会的な役割による人物を示す。加齢に伴って、配偶者や友人の死などにより、高齢者のコンボイの構成は大きく変化する。

⇒〇

 

【2023(令和5)年後期 保育の心理学 問11】
A コンボイモデルによると、高齢者の社会生活における人間関係は、補充や修正を行うことができず減少していくとされている。

⇒×
必ずしも減少していくのではなく、補充や修正をし、新たに構築していくことができます。

 

【2021(令和3)年後期 保育の心理学 問11】
D 個人が有する社会的ネットワークで、身近で日頃から頼りにしている人との関係をどのように維持しうるのかという観点でモデル化したものが、ソーシャル・コンボイと言われる。生涯発達の各時点におけるコンボイの成員数や、種類には変化が生じると言われる。

⇒〇

 

コンボイ・モデルが頻繁に出題されるようになったのはここ最近のことで、
今後も注意が必要な項目といえます。
この記事で赤字になっている部分を中心におさえておきましょう。