ITパスポート講座の講師ブログ

IT企業の価値

 皆さん、こんにちは。

 ITパスポート試験では企業会計に関する初歩的な問題が出題されます。
 この知識を使ってIT企業をみてみましょう。

 貸借対照表には資産・負債・純資産が表示されています。資産はプラスの財産、負債はマイナスの財産、その差額が純資産=企業に残る財産の価値ですね。理屈では、この純資産が企業の価値を測る際のベースとなります。例えば、IT企業の代表的存在であるグーグルの貸借対照表、株価は次のような状態です(2015年10月7日。株価と比較するため、すべて1株当たりの金額にしています)。
キャプチャ
 株価は会社を購入するのに必要な金額であり、企業価値をダイレクトに反映している金額であると考えられます。グーグルの帳簿に記録されている純財産の価値が$163であるのに対して、それを購入するために必要な金額(株価)は$641であるということを意味します。つまり、グーグルの帳簿に記録されていないものに対して$478支払わなければならないということです。
 グーグルの帳簿に記録されていないにもかかわらず代金を支払わなければならないのはなぜでしょう? それはグーグルが帳簿に記録できない膨大な無形の財産を保有していると考えられるからです。
 例えば、グーグルが提供するサービスはかなり革新的で、そのようなサービスは膨大な利益を生み出します。その膨大な利益を生み出すのは工場ではなく人です。しかし、人は貸借対照表の資産には含まれません。
 最近は、純資産と株価がかなり乖離するこのような状況はまずいのではないかという議論が出て、会計記録に無形の資産を含めることができないかという研究が進められてます。
 5年後のITパスポート試験では、資産に人財が含まれているかも?