ITパスポート講座の講師ブログ

世界はゴミを押し付けあっている!

 皆さん、こんにちは!
ITパスポート講座担当の小野です。
今日もがんばっていきましょう!

 スーパーではレジ袋が有料になったり、カフェではプラスチックストローが紙ストローに変わったり、減らす動きが続いているプラスチックゴミ。そんな中、フィリピンのドゥテルテ大統領がカナダから送られてきたプラスチックゴミを送り返したことが話題になりました。

 そもそも、ゴミが輸入・輸出されていることもあまり知られていないと思いますが、先進国はプラスチックゴミ輸出大国です(知らないのは先進国の国民だけかも?)。日本の場合、1990年の輸出量は4万トンでしたが、2017年は143万トンにまで増えています。143万トンだと立方体のコンテナ約30万個分。貨物列車にフルで積んでも、運ぶのに約23,000回かかる量なんです。プラスチックゴミだけでこんな量だというのがすごいところです。

 昔は焼却・埋立処分などがされていましたが、環境悪化問題もあり、1990年頃から徐々にリサイクルが行われるようになりました。最近は、SDGs(持続可能な開発目標)が国連で採択され、リサイクルがより重要になっています。ただし、先進国では人件費が高いので輸出することが多く、その結果、先進国がゴミ輸出大国になったというわけです。

 2016年までは中国が大量に受け入れてきましたが、中国国内でのゴミ発生量が増えて、輸入受け入れが難しくなったこと、送られてくるプラスチックゴミにいろんなものが混ざっていて処理が難しくなったことから、2017年から輸入を停止しました。そのため、ゴミの行き先が東南アジア諸国になったわけです。

 中国・東南アジアの国々がゴミを輸入するのは再資源化して販売するためです。安い人件費で再資源化の作業を行えば、リサイクルされた資源も安く売れますね。また、先進国の企業がリサイクル工場を建てたり、再資源化の技術を移転したりする予定でのゴミ輸出だったので、リサイクルという産業を興せるという思惑もあったようです。
ただ、その辺りの先進国の取り組みがちょっとおろそかになっていたり、プラスチックゴミに他のゴミを混ぜてしまう事例も発生して、フィリピンの怒り爆発となりました。

 国内でリサイクルしていると思っていた方も多いとおもいますが、もちろん国内でもリサイクルしています。統計上はリサイクルが75%、輸出が15%、埋立などが10%です。ただ、ここでは、ちょっと注意が必要です。
リサイクルといっても、再資源化されるのは全体の25%くらいで、残りは、ケミカルリサイクルといって燃料にされたり、サーマルリサイクルといって電気エネルギーや   熱エネルギーに変えるリサイクルなんです。サーマルリサイクルとは「プラスチックを電気や熱として利用していますよ」ということで、要は「燃やす」ということ。まとめると、ゴミ全体のうち再資源化されるのが25%、燃やされるのが50%、輸出が15%、埋立10%ということなんです。

 対応策は何かないのでしょうか? 
ゴミ問題対応の原則は4Rです。REFU SE(やめる)、REDUCE(減らす)、REUSE(再使用)、RECYCLE(再利用)の4つです。私たちの毎日の経済活動(生活)の生活の中でゴミが出ます。ですから、ゴミが出にくい、または処理しやすい商品・サービスを私たちが使うことが対策です。私たちがそのような商品・サービスを企業に求めれば(そのような商品・サービスを優先して購入すれば)、企業はそれに応じた商品・サービスを開発・販売するようになるでしょう。
そんな商品・サービスは少し高くなるでしょうが、今、私たちがそれを少しずつ負担しますか? 将来、とんでもない問題になったときに、ドカンとまとめて子ども達に負担させますか? という選択に迫られているのだと思います。
そうやって、リサイクルだけでなく、ゴミを出すような生活をやめる・減らすというところに踏み込んでいかないといけない時期に来ているのではないかと思うのです。
 
 ゴミが多いのは便利な生活の裏返しといえるかもしれませんが、早く何とかしなければならない問題ですね。