ITパスポート講座の講師ブログ

グリーンITだけでなく、自宅もグリーン化?

 皆さん、こんにちは!
ITパスポート講座担当の小野です。
おいしいものをたくさん食べられる時期で楽しいんだけど、ちょっとおなかが・・・ボタンが・・・マズイ・・・。

 グリーンIT。
ITパスポート試験でも問われる用語ですね。
IT機器は多くの電力を消費しますから、できる限り少ない電力でIT機器を動かすことも重要な点となってきています。

家庭でも多くのIT機器が動いている一方、太陽光発電の普及、電力会社を自由に選べる仕組みの開始など、ここ数年、電気をめぐる環境はめまぐるしく変わっています。
そんな中で蓄電池に大きな動きが出てきました。これで家庭にもグリーンITが普及するのでしょうか?

 先日、電気自動車メーカーのアメリカのテスラが家庭用蓄電池を発表しました。来年4月から日本でも販売予定(予約受付中)です。
注目点は何といっても価格で、従来の売れ筋の蓄電池の半額以下なんです。

この蓄電池は、冷蔵庫、液晶テレビ、照明3つくらい、小さめのエアコン1基(冷房)を同時に12~13時間動かせるくらいの電気(13.5kw/h:冷蔵庫・テレビ・照明・エアコンを1時間くらい動かせる電力量が1kw/hなので、13.5kw/hの電力があればそれを12~13時間動かせます)を貯めることができます。
この容量であれば、従来品は平均で200万円くらいしました。
一方、テスラが発表した蓄電池は99万円なんです!

 テスラは電気自動車メーカーで、自社で作っている電気自動車用の蓄電池を家庭用に整えて、販売します。
電気自動車の蓄電池って圧倒的な性能が求められます。
2トン近い車を動かすんですから、すごい量の電気を一気に放出したり、急速充電が必要だったり、蓄電池の中でも高性能品なんです。
一方、家庭用で使う電気は電気自動車ほどの性能はいりません。消防車の放水銃が電気自動車用の蓄電池、家庭菜園用のホースが家庭用蓄電池というイメージです。
ですから、自動車用の蓄電池を作っているテスラにとって家庭用の蓄電池を作るというのは比較的易しいのかもしれません。
しかも、テスラの蓄電池工場を、パナソニックが一部運営しているから、品質面でも安心感がありますね。

 このタイミングでテスラが日本に進出したのはなぜでしょう? 
よく言われているのは、FIT(固定価格買取制度:Feed-in-Tariff)の更新期だからというものです。
FITは2009年から始まった制度で、太陽光発電で作った電気を電力会社が10年間定額で買い取る制度です。
2009年にこの制度を使い始めた人は、発電した電気を1kw/hあたり48円で売っています。
私たちが電力会社から買う価格は1kw/hあたり25円くらいなので、買取価格48円は超高額であり、差額は利益となります。利益10~15年分くらいで太陽光発電パネルの元が取れたので、太陽光発電パネルが爆発的に普及しました(売る値段は毎年下がっていきましたが、太陽光発電パネルも毎年値下がりしたので、2009年以降、いつ始めても、だいたい10~15年で元が取れました)。
今年、2019年は制度が始まって10年です。2009年からこの制度を使ってきた人は、一旦、電力会社との契約が切れるわけです。

一旦契約が終わっても、太陽光発電パネルで電気が発電され続けます。
ですから、一旦契約が切れた場合、今後、その電気をどうするかを決めなければなりません。

 選択肢その1は、引き続き電力会社に売る契約を結んで、電力会社に売る方法です。
ただ、2019年は1kw/hあたり、8~9円でしか売れません。もうすでに太陽光発電パネルの元は取っているはずですから損はしませんが、今まで48円で売れてたのに!って少し悲しい気分になりますね。

 選択肢その2は、蓄電池を買って、貯めて使う方法です。ここで蓄電池が登場するわけです。
テスラはこの需要を狙っているのでしょう。蓄電池の寿命は10年くらいといわれています。
一方、条件がそろえば、10年間で120万円くらいの電気代を節約出来そうですから、テスラの蓄電池を99万円で買って、10年間で120万円の電気代を節約出来れば元が取れそうです。
つまり、太陽光発電パネルで発電した電気だけで暮らしていくという新しいライフスタイルをとれると同時に、経済的に元もとれちゃうという、新しい選択肢が提示されたわけです。

蓄電池って危ないですから売るためには経産省の認可がいるんですが、99万円のテスラの蓄電池を政府が認めた点がポイントだと思います。
経産省が国内メーカーに「価格競争して、蓄電池を普及させなさい!」というメッセージを出してると解釈できますよね。

環境問題がクリティカルになってきている現在、私たち消費者もどう反応するか、問われているのかもしれませんね。