簿記のスペシャリストによるこっそり裏講義

電気・ガス

 皆さん、こんにちは。
 簿記講座担当の小野です。
 春本番! 眠くならないように!

 電気・ガスの自由化が始まり、好きな会社から電気・ガスを購入できるようになって数年経ちましたが、切り替えはそれほど進んでいないようです。東日本大震災で電力業界の独占が問題視されたことをきっかけに始まった自由化ですが、切り替えは有利なんでしょうか?

 電気は2016年4月から全面自由化が始まって3年経過しました。個人に絞ってみてみると、現在、12%くらいの人達が、電力購入先を切り換えています。ただし、地域差が大きく、関東・関西では20%くらいの家庭が切り替えていますが、地方ではあまり切り替えられていないようです。
 ガスは2017年4月から全面自由化が始まって2年経過しました。こちらも個人に絞ってみてみると、現在、ガス購入先を切り換えているのは7%くらいで、こちらも地域差が大きく、関西・中部:10%くらいで切り替えが進んでいますが、他の地域では5%くらいです。  意外にも、関東で切り換えが進んでいません。

 自由化でどこからでも電気・ガスを買えるという状況に変わったのですから、多くの消費者がより安い電気・ガスを買おうとしそうなものですが、なぜ、切り替えが進んでいないのでしょう? いくつか理由がありそうです。

 まずは料金面。10%前後の値下がりがせいぜいで、劇的に安くなることはないんですね。 新電力とよばれる自由化後に参入した会社は、他社から電気を仕入れて消費者に売るケースと、自分で発電して売るケースがあります。例えば、auは東京電力などから電気を仕入れて消費者に売っているのに対して、ソフトバンクは自社所有のメガソーラーなどで発電した電気を売っています。いずれにしてもそれなりのコストがかかるため、それほど値引きできません。東京電力などは規模がとても大きかったため、発電コストはかなり低いと考えられますから、新会社がそれを大幅に超えるコストダウンをするのはかなり難しく、値下げにも限界があるわけです。

 また、切り換え手続きが面倒だと思っている方も結構いるようです。ただ、それは誤解で、新電力・新ガス会社への切り替えは、ネット上で3クリックくらいで終了する手軽さです。電力会社の人が訪ねてきて切り換え工事などを行うことも、原則ありません。

 さらに、新電力・新ガス会社の倒産などで、電気・ガスが供給されなくなることを心配する方もいるようですが、そこにもセーフティネットが張ってあって、突然の供給不足の際には、東京電力や東京ガスといった元々の独占会社が供給する仕組みになっていますので、突然電気・ガスを使えなくなることはありません。加えて、新電力・新ガス会社が、足りない会社に融通する任意グループを作っていて、安心できると思います。

 こうやってみてくると、おそらくほとんどの個人にとって、切り替え後も安定した供給を受けることができ、少し安くなる状況で、切り替えのデメリットはほとんどないようです。

 社会全体の視点でも、切り替えは大きなメリットをもたらします。自由化は多くの電気・ガスを消費する企業にとっても劇的なコストダウンになり、それが経済全体に大きな影響を与えるんです。
 チェーン店を経営している企業の場合、年間で億円単位の電気料金・ガス料金を払っています。それが10%引きになるとどうなるでしょう? 数千万円単位のコストダウンになるんですね。それが全国で生じたら、経済全体のエネルギーコストが引き下げられることになります。
 個人レベルで見るとたったの10%引きだが、企業レベルで見ると10%も引いてくれるのか!という違いが出るんです。多くの個人が新会社から電気・ガスを購入するようになると、新会社の経営状況もよくなり、さらに電気代・ガス代が引き下げられて、好循環になり、それが電気・ガスを使う企業によい影響を与え…と、よいスパイラルが始まります。

 おそらくメリットしかない電気・ガスの切り換え。自分のお財布のためだけでなく、日本経済全体のためにも切り替えを検討してみる時期かもしれません。



小野正芳

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