簿記講座の講師ブログ

第152回簿記検定試験 振り返り

皆さん、こんにちは。 
簿記講座担当の小野です。
暑い日の中、突然涼しい日があったり。絶対に体調は崩さないように!

第152回検定試験が終わりました。簡単に振り返っておきましょう。

全体:いくつか新試験範囲からの出題がありましたが、初めての形式の問題もなく、多くの配点を占める第3問・第5問についてはオーソドックスな取引がほとんどであり、過去問中心に勉強してきた方にとっては比較的取り組みやすい問題であったと思います。

第1問:
 1.(固定資産税の支払い)、2.(手形借入金の返済)、3.(仮払金の精算)はテキストレベルの初歩的な取引だったと思います。一方、4.と5.が少し難しかったでしょうか。
 4.は新試験範囲からの出題です。今年度より株式会社を前提とすることになり、株式の発行時の処理が問われるようになりました。株式会社は株式を発行することによって商売の元手(資本金)を調達していますから、株式を発行したら「資本金」として記録します。
 5.「備品」と「消耗品」の区別にひっかりそうです。コピー用紙のほうに目がいってしまい、オフィス機器とコピー用紙をまとめて「消耗品費」としてしまいそうになります。しかし、オフィス機器は長期間(1年以上使う)ものでしょうから、「備品」として処理しなければなりません。
 上記のような特徴がありますが、16点程度をとりたいところですね。

第2問:
 記入すべき帳簿を解答する問題です。各日の仕訳ができれば記録すべき勘定が分かりますから、記入すべき帳簿も分かるはずです。取引自体はテキストレベルのテキストレベルの初歩的な取引でしたので、
 ① 仕訳をして ② 勘定を確認して ③ 記入する帳簿を行う
という手順で解答を進めれば、正答できたと思います。
 問1の16日の処理で整地費用を「土地」の取得原価にできていれば、問2の計算はとても易しいですね。16日の取引で「土地」の単価は\31,100となります。それを問2では単価\36,000で売却しましたので、180m2分で\882,000の売却益となります。
 満点(10点)を取りたいところです。

第3問:
とてもベーシックな取引だけで構成された試算表作成の問題です。3日・19日のクレジット販売、8日の差入保証金が新試験範囲からの出題ですが、処理はとても簡単です。重複する取引もない最も典型的な試算表作成の問題ですが、新試験範囲の項目が入っているという点を考慮して、21~24点程度は欲しいところですね。

第4問:
 取引を“分割する方法”で記入されているか、“擬制する方法”で記入されているかの見極めがポイントです。
 (1)では振替伝票の金額が取引全体の金額ですから“擬制する方法”での記入ですね。
 (2)では出金伝票の科目が「仕入」ですから、“分割する方法”での記入ですね。
 ここでも満点を取りたいところです。

第5問:
とてもオーソドックスな決算整理で構成された財務諸表作成の問題でした。財務諸表作成の問題を難しく感じる方が多いようですが、精算表の作成と同じことです。精算表作成の手順と同様に
 ① 一つ一つ決算整理事項を仕訳する
 ② ①を問題文に示された残高試算表の勘定に加減する
 ③ ②の計算結果を、資産・負債・純資産項目ならば貸借対照表へ、収益・費用項目なら
  ば損益計算書へ記入する
という手順で進めればOKですね。
貸倒引当金、売上原価、減価償却、見越・繰延×2つについては、毎回出題される典型的な問題でしたので確実に得点したいところです。
また、現金過不足、訂正仕訳、未記帳の処理についても、テキストレベルの問題でしたので、正答したいところです。
一方、消費税の処理は新試験範囲からの出題で、過去問でもこのような形での演習は余りできなかったかもしれません。得点できればもうけものくらいの扱いとなるでしょうか。
以上より、24~27点程度欲しいところです。

日頃、過去問中心に練習している方にとってみれば、上記であげた得点(81~87点)は十分可能なラインでしょう。合格率は前回より少し高いくらいになるのはないかと予想されます。合格発表が楽しみですね。