簿記講座の講師ブログ

国債の値段が動くワケ

 皆さん、こんにちは!
簿記講座担当の小野です。
年末年始に遊ぶために、何とか、今がんばっておきましょう!

 1,000兆円を超える日本の借金。政府が国債という証券と引換にお金を借りています。
国債は、絶対に潰れない政府の借用証書というわけです。
その国債、毎日値動きしています。

 2級の試験にも出題されますね?国債って絶対に潰れない政府の借用証書だし、そもそも、返してもらえる金額も決まっているし、毎年もらえる利率も決まっているのになぜ値動きするのでしょうか?

実は、返してもらえる金額と金利が決まっているからこそ、毎日の政治・経済環境の変化に応じて、国債の値段が変わるんです! 
国債の利率は政府借金するとき(国債発行時)に決められ、国債証書に印刷されています(厳密にいうと、今はすべて電子発行なので、紙の国債は発行されず、証券会社の自分の口座に金利が記録されるだけです)。
でも、日々、政治・経済の環境は、毎日、変わっています。

それが国債の値段と関係するんです。

 例えば、平和で安全で続くならば、日本政府から1%くらいの金利をもらえれば大満足かもしれません。

でも、
北朝鮮が日本に向けてミサイルを発射すれば、日本政府はその対策のための経済的な負担が必要だし、
アメリカの景気が悪くなれば、日本政府は景気対策をするための経済的な負担が必要になりますから、
もし、政府がそんな状態になったら、政府にお金を貸す(=国債を買う)人は、見返りにもらう金利を少し高めにしたくなりますね。
これまでは1%の金利で貸していたけど、今は3%くらいの金利をくれないと貸せないよ、となるわけです。

でも、すでに発行済みの国債証書には金利1%と印刷されているから、そんな国債を誰も買いません。
国債の売買が止まったら、政府の資金繰りが苦しくなって、一気に破綻に向かうから困ってしまいます。何とか、国債がスムーズに売買される必要があるんです。

 では、金利1%と印刷されている国債証書に3%の金利をつけるためにはどうすればいいでしょう? 
返してもらえる金額と金利を変更できないなら、最初に貸し借りするお金で調整すればいいんです。

つまり、最終的な返済額が100万円の国債があるとき、最初に98万円だけ貸し借り(売買)すれば、最終的に返してもらえる金額100万円との差額2万円が実質的な利息となります。
毎年もらえる1%の利息1万円とこの差額2万円を合わせれば、合計3万円の利息となり、金利3%くらいになりますよね!

だから、政府にお金を貸すときに欲しい金利が上がる=政府の状態が悪くなる=日本の状態が悪くなると、国債が値下がりするというわけです。

金利が上がると国債が値下がり、金利が下がると国債が値上がりするという、反対の関係です。

 ちなみに、最近の国債は、国債証書に印刷されている金利は0.1%だけど、実質金利はマイナス0.2%ですから、金利が下がっている状態です。
ということは、国債の価格は?

そう。国債価格は値上がりしています。
100万円返してもらえる国債の価格が103~104万円くらいになっています。私たちにとっては嬉しい金利アップも、政府の状況悪化を示すということは覚えておきたいですね。
そして、政治・経済が金利を変化させ、価格を変化させるのですから、政治・経済の出来事といろんな価格の関係を知っていて損はないともいえそうです。

この関係は株価にも見られます。
8月上旬、FRB(アメリカの中央銀行)は、アメリカが不景気にならないように予防的に金利を0.25%引き下げました。
すると、アメリカの株価が4~5%上がったんです。

 政治・経済はつながっている。そして、私たちの資産に影響を与える。
この点をしっかり知っておきたいですね。