簿記のスペシャリストによるこっそり裏講義

 皆さん、こんにちは。

 つい先日、日本の格付けがAAマイナスへと格下げになりました。上から4番目の格付けとなり、まだまだ下には多くのランクがありますが、経済大国である日本が上から4番目の格付けになってしまったことは、日本国民にとってショックな出来事であったに違いありません。日本国全体の格付けがトヨタやキャノンといった一私企業の格付けより低いという、ちょっと複雑な状況が生じています。

 この格下げの主な原因は日本の財政が非常に悪化しており、再建の見通しが立たないことだそうです。財政悪化の水準は皆さんもご存じの通り、借金が1,000兆円近くになったということであり、新聞などでは「対GDP比200%で戦後最悪の水準」などと報道されます。皆さんはこのような数字を見せられてどのように思われますか? 簿記を勉強していると、ちょっと不思議なんですよね。例えば、負債だけに注目して意味のある分析ができるでしょうか? だってそうでしょう。1,000兆円の借金があっても1,200兆円の資産を所有してれば何の問題もないわけですから。そのために、会計では貸借対照表を作成し、資産と負債を対照表示しているわけです。

 ところが1,000兆円の借金が報道で強調されることはあっても、資産について報道されることはありません。いったいどれくらいあるのでしょうね? 日本国中の資産を全部あわせると1,000兆円を軽く超えるかもしれませんよ。国道だけでも相当な時価になると思うのですが・・・。

 また、「対GDP比200%の債務」を強調しすぎのも“何だかなぁ”という感じです。GDPは企業でいうと利益に相当しますね(厳密に言えばちょっと違いますが・・・)。つまり、利益に対する債務が200%を超えているというわけです。言い換えると2年分の利益で借金をすべて返済できるということですね。もちろん、借金は少ない方がいいですが、利益の2年分以上の借金を抱えている会社はたくさんあります。なぜ、民間企業ができること(借金を返済すること)が問題になるのでしょう? 例えば、全日空の付加価値はここ6年くらい約3,000億円で、借金は9,000億円です。全日空の借金は対GDP比300%ということになってしまいます。

 もちろん、借金が1,000兆円というのは絶対的な金額として非常に悪い数字なのでしょう。しかし、絶対的な金額に注目するだけでは有効な解決策を導き出せそうにもありません。



小野正芳

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