簿記のスペシャリストによるこっそり裏講義

 皆さん、こんにちは。

 最近はすごい円高ですね。そして、円高による悪影響に関する報道が多くなされています。とても心配になりますね。そこで私は思うのです。円高の何が、なぜ悪いのだろう。

 最もよく出てくる理由は、日本は輸出で成り立っている国であり、円高による企業の収益・利益が少なくなるのでまずいということです。たぶん、いろいろなことを知っている知識人の方々が批判しないので間違いないんでしょうが、どうもしっくりしないので考えてみます。間違っていたら指摘してください。

 まず、円高により円の手取額が減るというのは間違っていないでしょう。ところが一方で、新聞では「大企業はドル変動による利益の変動を回避できる体制を作り上げた」という報道がなされています。つまり、収入がドルで得られるので、支払う経費もドルにしてしまえば、結局のところ収入が減っても支払いも減るので全体としては、為替レート変動の影響を受けないということです。大企業はこの体制を整えてドルが変動しても利益に影響を与えることがないような体制を作り上げたと報道されています。

 また海外の事業を海外子会社で行うことにより、より多くの経費を現地通貨建てにすること(要するに経営者の方々が叫んでいるように、工場を海外に移すということ)によっても、この状態を作り出すことができます。ということは、円高になっても問題ないような気がしませんか。ただ、ユーロについては、現在、体制構築中だそうです。

 次に気になるのは、日本が本当に輸出で成り立っている国なのかということです。

 日本のGDPは年間500兆円ほどですが、そのうち純輸出は25兆円(輸出が85兆円、輸入が60兆円)程度です。GDPというのは、ざっくりいうと、日本国内での最終消費者による消費価格の合計ですから、企業が生み出した商品が日本国内で95%、海外で5%消費されているということです(もし輸出と輸入が同額であれば日本全体としては為替レートの変動の影響を受けないことになります)。ということは、日本は輸出で成り立っているというのはちょっと大げさかな、なんて思うんです。トヨタは輸出企業なので円高は困るけれども、東京電力は輸入企業なので円高歓迎というわけです(東京電力はもっと円高になって燃料費が安くなって欲しいと願っているでしょうね)。輸出企業であったソニーが、為替レートの変動による影響を軽減するための輸入企業であるソニプラを作ったのは有名な話ですね。

 このように考えると、円高になると大企業の方が「こんな円高では価格競争力がなくなって大変だ」とおっしゃるのはなぜなのか全くわからなくなってしまいます。

 でも、実感として日本経済の状態は少なくともよくなってはいない感じがしますから、やはり円高になると大変なんだと思います。その本当の原因を知りたいところです。本当の原因がわからないと円高に対する対策を立てようがありません。



小野正芳

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