簿記講座の講師ブログ

自動車保険にみる少子高齢化の影響

 皆さん、こんにちは。

 少子高齢化はヤバイと叫ばれて久しいですが、最近は、若年層への影響が現実に起き始めてますね。

 先日は、自動車保険の値上げのニュースが流れてきました。まず、自賠責保険が平均13.5%値上げされるそうです。自動車を保有する限り、自賠責保険へは加入しなければなりませんから、自動車保有者は自賠責保険の値上げから逃れることはできません。

 また、民間保険会社の任意保険でも、事故を起こしたドライバーが翌年に契約を更新または他社への保険乗り換えをする場合には従来よりも高額な保険料が適用されることになるそうです。値上げ幅は最大で51%にもなるそうで、もし事故を起こしてしまったら大変ですね。

 さて、なぜ自賠責保険も任意保険も値上げされてしまうのでしょう? 報道によると、若年層の車離れと高齢ドライバーの増加による事故増加だそうです。

 人は、一度はじめた習慣を変えることを難しく感じます。経済学ではこれを硬直性といいます。自家用車がある便利な生活を経験すると自家用車なしの生活をすることは難しいでしょう。特に公共交通機関が発達していない地方になればなるほど、自動車なしの生活は難しくなります。私は長崎の片田舎で高校生まで過ごしました。自家用車を所有する生活をしている今になっては、昔のように30分に1本のバスを待って移動するという生活に戻ることはできないでしょう。

 でも、公共交通機関が発達している地域にずっと暮らしていたり、もともと自家用車を所有する生活をしなかったりすると、自家用車がない生活にあまり不便を感じることはないかもしれません。現在の若者はこんな状況にあるのでしょうね。さらに20年続く不景気も自動車という高コストの財を所有する気にさせないのでしょう。

 こうなると、保険加入者は、様々な身体的な原因によって事故を起こす確率が高くなる高齢者の比率が高くなり、事故を起こす確率が低い30代・40代の比率が低くなります。保険は事故を起こした人に支払われる保険金を保険加入者全員で負担する仕組みですから、支払われる保険金が多くなれば保険加入者が負担する保険料も高くなります。つまり、少子高齢化で、高齢者への保険金支払いが相対的に大きくなる結果、若年層は以前の若年層よりも高い保険料を負担することになるわけです。

 国が運営している公的保険だけでなく、民間レベルでの保険にもこんな影響が出始めているのですね。