簿記のスペシャリストによるこっそり裏講義

 皆さん、こんにちは。

 10月からNISA口座の申込受付が始まりました。
 私は簿記・ITパスポート講座の担当ですが、金融関係も大好きです(AFP登録しているくらいです)。金融大好き人間としては、NISAのことが非常に気になって仕方ありません。
 さて、NISAですが、この制度は平成26年から始まり、100万円までの投資元本(株式などのリスク資産に限られます)に対する配当金、売却益に対して5年間は所得税・住民税の課税がないという制度です。
 例えば、平成26年中に100万円の株式(あるいは株式投資信託)を購入すると、平成26年~30年に受け取る配当金には課税されず、その配当金はまるまる自分のものになります。また、平成30年に運良くこの株式が値上がりし、150万円で売却できたとしましょう。NISAのもとでは売却益50万円に対する課税もありません。平成26年からは、通常、配当金・売却益に対して、所得税・住民税合計で20.315%の課税がなされます。投資元本100万円までの投資の場合にはNISAが利用でき、かなりお得な状態となるわけですが、投資元本100万円を超える投資を行うと、その超えた部分からは通常の課税(20.315%)がなされます。
 もちろんデメリットもあります。最も大きなNISAのデメリットは損益通算できないことでしょう。通常、株式の売買を行った場合、1年間に生じた配当金・売却益・売却損を相殺し、トータルでの利益に対して課税されます。例えば、A株式の売買で30万円儲かり、B株式の売買で10万円損してしまった場合には、差額の20万円の純利益に対して課税されるわけです。
 しかし、NISA口座を使って売買した時に生じた(投資元本100万円までの投資に関する)売却損益と、一般口座を使って売買した時に生じた(投資元本100万円を超える部分の投資に関する)売却損益は相殺できません。例えば、NISA口座でのC株式への投資で20万円損してしまい、一般口座でのD株式への投資で5万円儲かった場合、一般口座で生じた5万円の利益に対して課税されます。NISA口座の株式に対しては、売却益に対して課税されないのですから、売却損を他の口座の売却益と相殺させないというわけです。つまり、NISAの恩恵を最大限に享受するためには株式投資で“全勝”しなければならないわけですね。でもそれはほとんど不可能ですよね。
 そもそも、NISA自体が国民の長期投資を促すための制度と言われていますから、毎年の頻繁な売買が想定されていない=毎年売却損益が複数発生することが想定されていないのかもしれません。やはり、制度は設計の際の前提となっている使い方をしなければ、おいしくないのですね。



小野正芳

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