簿記講座の講師ブログ
給与デジタル払いはうまくいく?

 皆さん、こんにちは。
 簿記講座担当の小野です。
 コロナでなかなか落ち着けませんが、楽しい将来を想像して頑張っていきましょう!

 今年度中に、給与のデジタル払いが可能になりそうです。
 現在、給与は、法律上、原則として現金払いしなければなりませんが、特例として銀行振込が認められています(これも驚きですが(>_<))。今年度中に、銀行振込に加えて、電子マネーなど(スイカ、paypayなどなど)での給与支給が認められることになりそうです。

 ただし、いくつかの条件が付きます。
1つはチャージされているお金の補償です。現在、電子マネー運営会社が倒産した場合には、チャージしているお金が消滅しかねません。そこで、電子マネー運営会社がチャージされている額と同額のお金を預託金として外部の金融機関に預けておくことが1つ目の条件になります。
もう1つは電子マネーを現金に戻すことができるという条件です。現在、ほとんどの電子マネーで、いったんチャージしたお金を現金に戻すことはできません。給料が全額電子マネーにチャージされてしまうと、現金払いに使うことができるお金が無くなります。そこで、チャージされた給料の一部を現金として引き出すことができるようにすることが2つ目の条件です。

 さて、皆さんは給与のデジタルについてどう思いますか? 
 私はあといくつか条件を付けてもらった上で、給与受取者が選択できるのであれば、ウェルカムだと思います。つけてほしい条件は、電子マネーから各種引き落としができるようにすることと、公金を電子マネーで支払えるようにすることです。

 現在、クレジットカードの使用代金、家賃などを銀行口座からの引き落としで支払っている方が多いでしょう。給与デジタル払いが実現した場合、家賃などが電子マネー口座から引き落とされるようにならないと、電子マネーから現金を下ろして、それを銀行口座に入金する(それをATMまで出かけて行ってやるんですかね?)という、現在は必要な手間を生じさせることになってしまいます。むしろデジタル化に逆行してしまいます!

クレジットカードを使って電子マネーへチャージする環境を作っている(つまり、クレジットカード使用代金も、家賃も、その他の支払いもすべて口座引き落としになっている)方にとってみれば、すでに、電子マネー払いをすることによって、ほとんど現金を扱わない環境を作り上げているわけで、給与のデジタル払いはもう余計なお世話でしかありません! 

 もう1つ追加したい要件は公金の電子マネー払いです。現在、公金については、一部の税金がクレジットカードで支払えるのと(ただし、支払いサイトが限定されます)、セブンイレブンでナナコを使った税金の支払いができるくらいです。
 これをどの税金についても、すべてをクレジットカードで、あるいはすべての電子マネーで支払えるようにしてもらわなければフェアではありません。「俺らは現金で税金を徴収するけど、民間は電子マネーを使え」というのはなかなか難しいですね。

 ネットで見たか、新聞等の報道で見たか、ちょっと忘れてしまったのですが、「最近は、政府がすごいスピードで何かを実現するときには、裏で何かの利権が動いている」という指摘がありました。そういわれると、アベノマスクの配布、GoToトラベルの実施など、発表から実施までが速かった政策については、まったくその通りですね。
 (コロナ第4波対応がとんでもなく大変な時期であるにもかかわらず)給与デジタル払いはすごいスピードで実現に向かっています。今回は誰にいくら入るのかなぁ?