社会保険労務士講座の講師ブログ

年金額の改定のルール

年金額

みなさん、こんにちは。
フォーサイト専任講師の加藤です。

インフルエンザが流行っているようですが、大丈夫でしょうか。
手洗いやうがいなどの予防、しっかりとしておきましょう。

さて、毎年1月、前年の物価の動向が明らかになります。
国民年金や厚生年金の年金額は、この物価の動きが改定の指標の1つとされています。
ですので、前年平均の全国消費者物価指数が明らかになると次年度の年金額が確定し、
公表されます。

年金額の改定のルール、複雑なところがありますが、
物価変動率と名目手取り賃金変動率がともにプラスで、
物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る場合には、
新規裁定年金、既裁定年金ともに名目手取り賃金変動率を用いることになっています。
平成31年度の年金額の改定は、この状態に該当します。
具体的にみると、
物価変動率は1.0%(1.010)であって、名目手取り賃金変動率が0.6%(1.006)
となっていて、物価変動率が名目手取り賃金変動率より高くなっています。
そのため、新規裁定年金・既裁定年金ともに名目手取り賃金変動率(0.6%)を用いて
改定します。
ただし、現在は調整期間中であって、マクロ経済スライドが適用されるので、
スライド調整率の分の伸びが抑制されます。
さらに、平成30年度から繰り越されたマクロ経済スライドの未調整分があるので、
その分も抑制されます。
このスライド調整率は▲0.2%(0.998)で、前年度から繰り越されたマクロ経済スライド
の未調整分(特別調整率)は▲0.3%(0.997)となっています。
そのため、名目手取り賃金変動率の0.6%からスライド調整率(▲0.2%)と特別調整率
(▲0.3%)の分を差し引いた0.1%(1.001)により改定します。
法的いえば、
平成30年度の改定率(0.998)×1.001
により平成31年度の改定率を求めることになり、
平成31年度の改定率は「0.999」です。

ということで、平成31年度の老齢基礎年金の満額は、
780,900円 ×0.999 ≒ 780,100円
です。

これらの数値は、選択式での出題があり得るので、
試験までには正確に覚えておきましょう。