金利と金融市場とは?|わかりやすくFP解説

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目次

金利とは

金利とは、お金の賃借料をいいます。

金利が低いとは、お金を借りやすいことをいい、これは国民がたくさんお金を借りて使うことに繋がりますので経済の活発化に貢献します。

金利が高いとは、お金が借りにくいことをいい、これは国民がお金を使わないことに繋がりますので、経済が抑制される要因となります。

金利は物の値段と同じように基本的には「お金」に対する需要と供給のバランスによって決定します。

国内の様々な金利の大元は、金融市場で決定されます。金融市場で金利が調整されることで、経済の動きがある程度調整されます。

金利の変動要因とは

景気と金利には密接な関係があります。景気の各局面により金利の上がり下がりが異なってきます。

景気拡張局面のとき

景気の回復から好景気までの場合、以下の経過をたどり、金利が上昇します。

景気が良くなる→企業の生産・販売活動が活発になる→資金需要が増える→金利が上昇する

景気後退局面のとき

景気の後退から不況までの場合、以下の経過をたどり、金利が低下します。

景気が悪くなる→企業の生産・販売活動が縮小する→資金需要が減る→金利が低下する

物価と金利の関係とは

モノの価値とお金の価値のバランスを取るのが金利です。100円のものが110円に値上がりするとお金の価値が10円分目減りすることになり、100円のものが90円に値下がりすると、お金の価値が10円分増加することになります。その目減り分・増加分を埋めたり、調整したりするのが金利です。

一般的に、金融市場は「金利があがることでお金の価値を上げ」、「金利が下がることでお金の価値を下げ」、ものとお金の価値のバランスを取るように動きます。したがって、物価上昇は金利上昇となり、物価下落は金利低下となります。

景気と物価・金利の関係とは

景気の拡張局面(回復から好景気まで)の場合、以下の経過をたどり金利が上昇します。

景気が良くなる→企業業績の改善→賃金の上昇・雇用の安定→消費需要の増進→物価上昇(インフレ)→値上がりする前に物を早く買おうとする人が増える→資金需要の増加→金利上昇

一方で景気の後退局面(後退から不況まで)の場合、以下の経過をたどり金利が低下します。

景気が悪くなる→企業業績の悪化→賃金の低下・雇用の不安定化→消費需要の減退→物価下落(デフレ)→値下がりまで待とうと買い控えする人が増える→資金需要の減少→金利低下

為替と金利の関係とは

為替と金利の関係とは

例えば、1米ドル=100円が、1米ドル=110円になると1米ドルにつき10円の円安となります。ここで、ある業者が1個1米ドルの商品を海外から仕入れる場合、これまで1個100円で購入できたものが、10円の円安になったために110円が必要になります。

つまり、円安になると海外から「あるモノ」を仕入れる(購入する)場合、円安になった分、支払代金が多くなる(輸入物価上昇)ことになります。

また「輸入物価上昇」は、国内の販売価格の上昇につながりますので「国内物価上昇」となります。身近な例では、円安になると原油や天然ガスの輸入価格の上昇となり、電気、ガス、ガソリン価格の上昇につながります。

一方、1米ドル=100円が、1米ドル=90円になると1米ドルにつき10円の円高となります。ある業者が1個1米ドルの商品を海外から仕入れる場合、これまで1個100円で購入してきたものが、10円円高になったために90円で済むことになります。

つまり、円高になると海外から「あるモノ」を仕入れる(購入する)場合、円高になった分、支払代金が少なくなる(輸入物価下落)ことになります。

「輸入物価下落」は、国内の販売価格の下落につながりますので「国内物価下落」となります。身近な例では、円高になると原油や天然ガスの輸入価格の下落となり、電気、ガス、ガソリン価格の下落につながります。

外国為替とは

円とドルなど、異なる通貨を交換することを外国為替取引といい、その交換比率を為替レートといいます。外国為替取引が行われ、為替レート(外国為替相場)が生成される場が外国為替市場です。

外国為替市場にはインターバンク市場と対顧客市場がありますが、通常、外国為替市場と言えばインターバンク市場を指します。外国為替相場は、各国の経済状況や政策、国際情勢など様々な要因によって変動します。

為替相場のおもな変動要因とは

為替相場のおもな変動要因を以下の表でまとめました。

要因 通貨高 通貨安
金利 上昇 低下
経済成長率 上昇 下降
国際収支 黒字 赤字
物価(購買力平価説) 下落 上昇
資金移動 海外からの流入 海外への流出

金利が変動要因の場合

金利が変動要因の場合、2国間の金利差の拡大・縮小が為替相場に影響します。

例えば、A国の金利が2%のまま変わらない状況で、B国の金利が2%から3%へ上昇し、2国間の金利差が1%に拡大したとします。投資資金はより高い金利を求めてA国からB国に移動しますので、A国通貨売り、B国通貨買いとなります。

金利が変動要因の場合1

一方、A国の金利が2%のまま変わらない状況で、B国の金利が2%から1%へ下落し、2国間の金利差が1%に拡大したとします。投資資金はより高い金利を求めてB国からA国に移動しますので、A国通貨買い、B国通貨売りとなります。

金利が変動要因の場合2

経済が変動要因の場合

経済が変動要因の場合、2国間の経済状況が為替に影響します。投資資金などはより成長率の高い国へ移動する傾向がありますから、成長率の高い国の通貨が買われやすく(通貨高)、成長率の低い国の通貨が売られやすく(通貨安)になります。

経済が変動要因の場合

国際収支が変動要因の場合

国際収支が変動要因の場合、その黒字が外国から自国に入ってくる外国通貨の量の方が、自国から外国に出ていく自国通貨の量より多いことを意味します。その後多くの外国通貨は、自国通貨に交換されます。この外国通貨売り/自国通貨買いが自国通貨高の要因となります。

一方、国際収支の赤字は、自国から外国に出ていく自国通貨の量の方が、外国から自国に入ってくる外国通貨の量より多いことを意味します。この場合、外国に出ていく分の自国通貨は外国通貨に交換されることになります。この外国通貨買い/自国通貨売りは自国通貨安の要因となります。

購買力平価説とは

購買力平価説とは、2つの通貨の為替レートはそれぞれの通貨の購買力が等しくなるように決定されるとする考え方です。

購買力は、その金額でどれだけのものが買えるかによって示されます。購買力平価説によれば、2つの国において、同じ商品の値段は同一となります。したがって、例えば、米国で1ドルの商品が日本では100円で売られていたとすると、「1ドル=100円」がドルと円の為替レートとなります。

金利と金融市場に関するよくある質問

購買力平価説について良く分からないので教えてください。

購買力平価説では、ある国の物価上昇率が相対的に高い場合、その国の通貨価値は他の国からみて減価すると考えます。

したがって、購買力平価説によれば、通貨を異にする2国間において物価上昇が継続的に高い方の国の通貨は、長期的には、低い方の国の通貨に対する価値が下がることになります。どこの国からみた基準かということに気をつけてみてください。

景気の拡張は国内物価の上昇要因となることの理由を教えてください。

景気の拡張とは、景気が良くなることを指します。

景気がよくなった場合、一般にお金の循環が良くなりますので、今までより物がたくさん売れるようになります。

したがって多少高くてもニーズがありますので、物価は高くなります。

一般に、景気の後退は為替相場の円安要因となることの理由を教えて下さい。

為替相場とは、1ドル100円というようなものです。

景気が悪くなった場合、外国から日本にお金を預けようという動きは見られなくなるので、相対的に円の需要が減り、円が弱くなります。

したがって、今まで1ドル100円で買えていたものが、110円出さねば買えなくなるという事態がおこります。これが円安です。

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