簿記講座の講師ブログ

会計情報利用者の変化

皆さん、こんにちは!
簿記講座担当の小野です。
“食欲の秋”が過ぎていき、次は年末の忘年会!
そこまでにお腹を何とかしとかなきゃ!

簿記は何のために行うのか?
様々な情報利用者に情報を提供するためにです。
経営者・株主・銀行などなど、企業の会計情報を利用したい人はたくさんおり、
特に企業の内部情報に直接アクセスできない株主
(将来の株主:その企業の株を買おうかどうか迷っている人を含む)に
情報を提供するために、会計処理のルールが定められているというのは、
講義内のコーヒーブレークでもお話ししましたね!

ここ最近、会計情報利用者である株主の考え方がじわりと変わりつつあるそうです。
その名もESG投資。ESGは、environment(環境)、social(社会)、governance(統治)の頭文字で、
この3つの視点をもって社会貢献している企業に投資し、社会が豊かになることをサポートして、
ちょっと長い目でリターンを求めるようにする投資です。

私たちの社会は多くの企業によって支えられています。
例えば、パンを食べるという行為だけで、パンの材料を作る企業、
パンを作る企業、配送する企業、売る企業、
それらが使っている機械などを作る企業などなど、たくさんの企業にお世話になっている。
たぶん、パンを食べるだけで1,000社くらいの企業が関わっているんです。

つまり、私たちの社会は企業なしでは成り立たないし、
だから企業は社会の需要に対応する責任を負っています。これが企業の社会性S。
 
じゃ、パンをいっぱい作るために資源をガバガバ使って、
環境破壊しまっくていいか?というとそれはNG。
私たちの社会の周りには守らなければいけない環境
(自然環境、生態系などなど)がたくさんあります。
その環境を守るのが企業の環境対応E。
 
じゃ、省エネで社会に求められるパンを安く提供するために
従業員をコキ使っていいかというと、
これもまたNG。
きちんと法令を守って従業員に働いてもらう必要あり、
企業は法令を守り、常識を守る必要があります。
このように、社会を混乱させない組織になるために必要なのがガバナンスG。

でも、やっぱり投資するときは、多少無理しても
がっぽり稼いでたくさん配当してくれる企業のほうがよいように思えてしまうかもしれません。
しかし、結局は、ESGに対応できない企業は長続きしないということがわかってきました。
無理をして短期的に儲かっている会社よりもこっちがいいぞと。
特に、株式全体の半分を保有するといわれる機関投資家という投資家達がこれに気付き始めたんです。
 
ESが高い会社は幅広い市民に支持されて商品の売りあげも徐々に増えるでしょうし、
Gに対応している会社には優秀な従業員が集まってくるでしょう(ブラックじゃないから)。
ESGに対応できる会社は、従業員も優秀、そんな従業員が生み出す商品も
消費者が必要とするものであり、安定した継続的な利益を獲得できる会社なんです。

こんな投資手法が私たちの生活に大きな影響を与えます。
ESG投資が拡がると、企業は株主からの出資を続けてもらうためにESGに対応しなければいけなくなるからです。
企業がESGに対応すると、私たちはよりよい製品・環境・働き場所を手に入れることができるようになるわけです。

巨大な資金を持つ機関投資家が企業に社会貢献を求めることで、
企業の在り方を変え、それが私たちの日々の生活を変えるのです! 

投資家の皆さん! お金の力で私たちの社会をよりよいものに変えて!