皆さん、こんにちは。
簿記講座担当の小野です。
過去にない新年度。なかなか落ち着けませんね。
何だか悲しい話ですが、こんな時にも世界の偉い人たちは
自分たちの勢力拡大に一生懸命のようです。
2月下旬から世界爆発的に拡大した新型コロナウィルス。
その混乱に乗じて、サウジアラビアとロシアに動きがありました。
3/6、OPECプラス(OPEC諸国+ロシアなどの産油国)の
会合でとんでもないことが起こりました。
OPECプラスでは「みんな仲良く売って儲けようぜ!」って、
原油価格が極端に下がらないように生産量を調整していました。
でも、3/6の会合では、サウジアラビアが
「もうやめた! もう、うちは自由に原油を採って、自由に売る!」、
ロシアも「じゃ、どうぞご自由に!」って、
この会合での話し合いを放棄しちゃったんです。
ここ最近、巨大な産油国サウジが最も生産量を減らす一方、
ロシアはあまり生産量を減らさず、ヨーロッパ諸国に売りまくっていたことに
サウジが我慢できなくなったからか、
ロシアに奪われたヨーロッパのお客さんを取り戻すため、
こんな暴挙に出て原油価格は暴落しました。
3/6(金)に1バレル(約160リットル)45ドルくらいだった原油価格は、
3/9(月)に一気に30ドル割れ!
その後、サウジは原油生産量を2割くらい増やすと宣言したから、
さらに価格ダウンしてしまい、一時20ドル前後をウロウロしていて、
3/6の半額になってしまいました。たった2~3週間で半額以下です!
なぜ、サウジは話し合いをやめたのでしょうか?
なぜ、ロシアはサウジを止めなかったのでしょうか?
たくさん原油を採って自由に売ったら、価格が下がって
サウジ・ロシア自身も困るのではないかと思われますが、
サウジにとってみれば、もっとたくさん採ってロシアよりも
安くヨーロッパに大量に売ればなんとかなる、ロシアにとってみれば、
原油価格が下がればアメリカを苦しめられるからいいね、と思い、
話し合いをやめたふしがあるようです。
サウジ・ロシアの目的は違ったけど、話し合いをやめれば、
自分に有利になると考えたわけですね。
特にロシアは(たぶん)アメリカを憎んでいて、
原油価格が30~40ドル以下になると、アメリカの原油(シェールオイルってやつ)
生産は採算割れになり、原油を採る企業が倒産し、
アメリカは国内産の原油を十分に調達できなくなります。
シェール革命でエネルギーを自給できるようになったから、トランプ大統領は
アメリカファーストの振る舞いが可能だったけど、原油を輸入しなきゃいけなくなったら
そうはいかなくなり、外交上、いろいろ困っちゃいます。
新型コロナウィルスでの経済停滞と重なって、
アメリカ経済にはダブルパンチとなるので、ロシアは、
これを機にアメリカを困らせちゃえ!って仕掛けたようです。
しかし、早くも風向きが変わり始めました。
1つはコロナショックが想像以上に大きくなっていることです。
欧米諸国は外出禁止令が出て経済活動が極端になくなっています。
航空便は減便の嵐。原油を使わない状態ですから、
原油がどれだけ安くなっても売れなくなってしまっているんです。
安くヨーロッパに売ってロシアからお客さんを
取り戻すというサウジの目論見が外れてしまいました。
また、ロシアにとってはここまで価格が下がると採算ぎりぎりで、
アメリカを苦しめるどころか、自分が苦しむことになってしまいます。
ロシアにとっては価格が下がりすぎちゃったんですね。
そして、サウジもロシアも国で原油を管理していて、
原油を売った収入を国家財政に充てていますから、
下がりすぎた原油価格が自分に跳ね返ってきちゃいました。
そうなり始めたときに、トランプ大統領がサウジの皇太子に、
「ちょっと落ち着いて話し合って、減産しなよ。」って言ったものだから、
4/10時点では、原油価格は息を吹き返し25ドルを超える水準になりつつあります。
それでもまだ3/6の約半額ですが…。
本当に、すべてが早く落ち着いてほしいですね!