証券外務員講座の講師ブログ

プライム市場とスタンダード市場の違い

皆さん、こんにちは。
フォーサイト証券外務員専任講師の伊藤です。

今回は、2022年4月4日に実施された東証再編について解説します。特にプライム市場とスタンダード市場の違いについて解説します。

■プライム・スタンダード・グロースとは?
これまで、東京証券取引所の市場は東証一部、二部、ジャスダック、マザーズと市場がわかれていましたが、2022年4月以降はプライム、スタンダード、グロースの3市場となりました。市場再編は1961年以来60年ぶりとのことです。
この背景には、新陳代謝による経済活性化を目指す動きがあります。東証一部に上場している企業数が増加傾向にあったことも再編の流れへと動いた理由と考えられます。プライム市場への上場のハードルを高め、海外の市場と遜色ないレベルへと改革を進めていくことで、海外マネーや新規マネーを呼び込む狙いもあります。
プライム市場は世界経済をリードする企業向け、国内経済の中核を担う企業がスタンダード市場に、高い成長性が期待される企業(主に新興企業)はグロース市場に上場しています。特に、プライム市場では、グローバルな投資家との建設的な対話を中心に据えた企業向けの市場とされており、グローバルな資金が流入することが期待されています。

なお、東証一部では、時価総額が40億円以上あれば上場できましたが、プライム市場では流通時価総額で100億円以上、流通株式比率35%以上などの条件を満たさないと上場できません。そのため、東証一部上場企業の中でも時価総額が小さい企業などはプライム市場ではなくスタンダード市場等へ上場する企業も多く見受けられました。こうして選別されることで、その企業の実態に合った市場へ上場することになったのです。世界に出るか、国内の市場で生き残るか、そうした視点も今後は市場を見る際に必要となりそうです。

■結局何が変わる?企業側目線と生活者目線
市場再編により、結局どのような影響が起きるのでしょうか。既に上場している企業にとっては、プライム市場の条件にあうようにさらなる努力をされることでしょう。スタンダード市場からプライム市場へとさらなる成長を目指す企業も出てくることでしょう。更なる成長のために海外へと視野を向ける企業も出てくることでしょう。
また、これから上場したい企業も、更なるチャレンジを進めていくことで、日本全体の活性化へとつながる可能性もあります。一方で基準強化により、上場を目指すことをやめる企業も出てくる可能性もあるかもしれません。

<演習>
一種・二種受験者、いずれも解いてみてください。

次の問題に答えなさい。○✕問題

【問題1】
金融商品取引業者は、自己資本規制比率が200%を下回ることのないようにしなければならない。

<解答> ✕
金融商品取引業者は、自己資本規制比率が120%を下回ることのないようにしなければなりません。