証券外務員講座の講師ブログ

クオンツ運⽤によって運用されるクオンツファンド

皆さん、こんにちは。
フォーサイト証券外務員専任講師の伊藤です。

今回は、クオンツ運用について解説していきます。皆さんが証券会社に就職される場合には、中で体験することがあるかもしれませんよ。

■高度な金融工学が利用される
クオンツとは、高度な金融工学を用い、数値化できるデータをもとにマーケット動向などを分析、予測する業務です。過去の市場データや企業業績などあらゆるデータを集め、AIが分析し、今後の株価などを予測します。そして決められたプログラムに従い、投資を行う運用手法がクオンツ運用であり、その運用手法を利用したファンドのことをクオンツファンドと呼んでいます。
株価チャートなどの動向から分析を行うテクニカル分析を用いる短期売買の場合、人間のように感情が入ると売買の機会を逸する可能性がありますが、クオンツ運用ではAIにより機械的に売買を行うため利益獲得機会を見逃しません。人間では太刀打ちできないスピードで瞬時にトレードを行い、利益を上げるのです。そのため、短期売買ではクオンツ運用に軍配が上がります。

なお、メリットばかりではありません。クオンツ運用はあくまでデータをもとに分析を行うことで運用が行われます。過去の分析は得意なのです。平常時には利益を上げやすいと言えますが、前例のない突発的な出来事が生じたり、市場環境が変化すると対応できない可能性があります。過去を振り返ると、サブプライム問題のような誰もが予測しなかった問題が発生すると、クオンツファンドでは多額の損失を計上することが見受けられました。これは、多くのクオンツファンドで分析が似たような結果となったため、同じような運用を行っていた結果なのです。そのため、AIは万能であるとは言い切れません。

また、ボラティリティが高い相場ではクオンツファンドは苦戦している模様です。もしかしたらコロナ禍の影響による株式相場の変動には対応できていなかった可能性もあります。平常時には強いが何か大きな変動があった場合には人間の方が運用のパフォーマンスをあげられる可能性がまだ残っています。

今後さらに改良され、よりよいファンドとなっていくことでしょう。ただし、最終的にはAIに任せて運用することで多くのファンドでは同じような収益しか得られなくなっていく可能性もあります。

<演習>
一種・二種受験者、いずれも解いてみてください。

次の問題に答えなさい。○✕問題

【問題1】
自主規制機関の一つに、証券取引等監視委員会がある。

<解答> ✕
自主規制機関には、証券取引所(金融商品取引所)、日本証券業協会、投資信託協会があります。証券取引等監視委員会や証券保管振替機構、投資者保護基金は自主規制機関ではありません。