証券外務員講座の講師ブログ

金融所得の実態に関する分析から②

皆さん、こんにちは。
フォーサイト証券外務員専任講師の伊藤です。

前回に続き、金融所得の実態に関する分析結果を解説していきたいと思います。

■資産を多く持つ層ほど資本所得は多くなる

現状では資産を多く持つ階層ほど資本所得が多くなる傾向にあります。収入が多い層や資産が多くある層ほど資産運用に振り向けることができる資金も多くなるため、結果得られる配当収入なども多くなるのです。

とはいえ、実際には配当などの金融所得よりも、不動産の家賃収入などが資本所得の中心となっています。株式などの金融商品と比べるとミドルリスク・ミドルリターンである不動産は日本人にとっては投資しやすいのかもしれません。不動産による安定収入を得ることで資本所得を稼ぎつつ、株式や債券などに振り向けることで金融所得も得ているというのが実態のようです。

少し目線を変えて、家計の資産分布の詳細分析についても確認してみましょう。まだまだ日本では貯蓄から投資へという大きな流れにはなっておらず、すべての資産階級において、有価証券よりも預貯金の保有額の方がうわまわっています。しかしながら、昨今のインフレの状況や他国と比較して給料が増えない状況を加味すると、今後いかに資本所得を得ていくかも大きな課題といえます。

まずは労働所得で確実に賃金が上がる体制にしなければなりません。明るい兆しが見え、安定的な収入を別に確保できるような体制へとすることで、他国との差を縮小できることへつなげられることでしょう。そのためにもまずは賃上げです。製造業などの企業は過去最高の利益を出しているケースも多いです。賃上げにつながり、消費増加、景気上向きへと好循環を作り出しつつ、貯蓄から投資へという流れも作ることでようやく日本でも資産形成が根付いていくと思われます。

このままでは資本家と労働者の間で格差は拡大するばかりではないでしょうか。少しでも資産形成への知識を高めつつ、給料も増え投資もできる環境をつくり、国民全員で資本所得を増やす流れへとつなげていっていただきたいものです。そして、そのためのNISA制度があるのだということを皆様からも是非お客さまへ再度周知徹底していただければと思います。内閣府のミニ経済白書でも「2014年から始まったNISAによる有価証券への少額投資非課税制度等の支援措置の一層の活用を含め、今後貯蓄から投資への転換を進めていくことは、資産所得の格差拡大への歯止めにつながると考えられる」と指摘しています。これからでも遅くはありません。是非NISA制度を活用し、資本所得格差是正、収入増加の道へと利用していただきたいものです。

<演習>
一種・二種受験者、いずれも解いてみてください。

次の問題に答えなさい。○✕問題

【問題1】
協会員は、有価証券の売買その他の取引等について、協会が別に示すモデル倫理コードの内容を含む倫理規範又はそれと同趣旨の規定を保有しなければならない。

<解答> ○
倫理コードは、各協会員ごとに定められています。