証券外務員講座の講師ブログ

2023年の相場展望-新興国株式・債券

皆さん、こんにちは。
フォーサイト証券外務員講師の伊藤です。

第三回目は、新興国株式と債券の展望です。2022年は、米国の利上げによる影響が新興国にはマイナスとなりました。また、主要先進国の景気減速も新興国の株安、通貨安へとマイナスの影響をもたらしたと考えられます。
特に、経常赤字国では通貨安が進む傾向に。また、韓国や台湾では地政学リスクも重石となりました。

それでは、2023年はどのように考えれば良いでしょうか?2023年は、米国やEUの利上げがどこでおさまっていくのかが鍵となりそうです。利上げストップという動きになっていけば、新興国も持ち直す可能性はあるといえます。また、外需中心の新興国ほど景気にマイナスとなっている可能性が高いため、内需中心の経済構成となっている国を選択する方が無難といえるかもしれません。

例えば、インドネシアでは、個人消費や投資が底堅く推移しています。また、アジア向けのエネルギー資源輸出が経済にプラスとなっています。インドでは、消費や投資が牽引役となり、特に個人消費が景気を支える役割となっています。2023年にはインドが人口世界一となりそうな勢いであり、今後も内需中心に力強く回復を遂げると想定されます。
こうした点から、内需の成長著しいインドを中心に、インドネシアなどを投資対象とするとよいと考えます。株式投資信託やADR(米国預託証券)を中心に投資を検討してみましょう。

債券はどうでしょうか?なかなか新興国の債券に投資する方は多くないともいえるものの、高金利に魅せられて投資する方もいることでしょう。ただし、高金利だけに注目してはいけません。各国の経済が順調であるかどうかを土台に考えるべきです。

特に日本から投資する場合には、為替の影響を考慮しなければなりません。トルコのように一見高金利に見える国でも、中長期的に中央銀行が利下げを行いトルコリラ安(円高)が発生しています。これでは、いくら高金利でも円高に伴い為替差損が生じ、むしろ全体でもマイナスとなりかねません。そのため、各国の金融政策、経済成長などを確認し、投資しがいがあるかどうかを確認しなければなりません。トルコは例外ではあるものの、他国は米国の利上げに伴い追随して利上げを行っています。これにより、新興国通貨高円安となっている国も多くあります。しかしながら、米国の利上げ休止に伴い、新興国通貨でも円高となる恐れがある点は注意しなければなりません。利上げ休止や利下げは債券価格にはプラスとなる可能性が高いため、債券自体は2023年は堅調となる可能性が高いのではないでしょうか。

<演習>
一種・二種受験者、いずれも解いてみてください。

次の問題に答えなさい。○✕問題

【問題1】
国庫短期証券は、償還期間が2ヵ月、3ヵ月、6ヵ月、1年で、法人保有に限定されている。

<解答> ○
国庫短期証券は、1年以内の償還期間であり、法人保有に限定されているのが特徴です。