証券外務員講座の講師ブログ

過去最高の経常利益率。これが意味するところは?①

皆さん、こんにちは。
フォーサイト証券外務員専任講師の伊藤です。

今回は、日本企業の経常利益率が過去最高である点について2回に分けて解説していきます。

■価格引き上げが浸透している
 財務省「法人企業統計」によれば、2023年4~6月期の売上高経常利益率は7.2%(季節調整値)と過去最高を記録したとのこと。この大きな理由の一つには、利益率の改善が挙げられます。業種別でみると、電気業、サービス業、情報通信業、不動産業における利益率の改善が目立ちます。また、企業規模別にみると、資本金10億円以上の大企業における改善が顕著です。価格転嫁がしっかりできており、着実に日本全体がインフレ脳へと変化していることがわかります。
 ここにきて、サービス業の利益率改善が著しいです。サービス業の場合、主要なコストは人件費。人出不足もあり、賃上げは必須。その人件費コストを価格転嫁できるかが勝負といえるわけですが、以前の日本とは異なり、価格転嫁に成功しているケースが多くなっています。目下の賃上げは、大企業主導です。いつも問題になるのが、中堅・中小企業まで波及するかどうかということ。2023年は本物です。実は2023年4~6月期の利益率は、中堅・中小企業でも改善されており、賃上げ⇒価格転嫁が日本全体で生じるようになってきているのです。
 こうした価格引き上げが全体に浸透することで、売上増加や利益増加にもつながり、もちろん給料アップにもつながります。こうした良い循環が生まれてきており、過去最高の経常利益率へとつながったと考えられます。

<次回に続く>

<演習>
一種・二種受験者、いずれも解いてみてください。

次の問題に答えなさい。○✕問題

【問題1】
契約型投資信託は、ファンド自体に法人格がある

<解答> ×
契約型投資信託は、ファンド自体に法人格はありません。