証券外務員講座の講師ブログ

日銀短観から見る日本経済の現状と先行き①

皆さん、こんにちは。
フォーサイト証券外務員講師の伊藤です。

今回は、日銀短観から見る日本経済の現状と先行きについて解説します。

■日銀短観を見ることで現状と先行きの確認が可能
 日本銀行は2023年12月13日に、日銀短観(2023年12月調査)の結果を公表しました。日銀短観は、全国企業短期経済観測調査のことをいい、日本銀行が全国の企業動向を正確に把握し、金融政策の適切な運営を行うことを目的としています。企業規模に応じて、製造業、非製造業の状況を確認することができます。
 特に有名な指標が業況判断DIです。この業況判断DIは、良いと回答した企業から悪いと回答した企業を差し引くことで求められており、この数値を追うことで景況感が改善しているのか悪化しているのかを確認することができます。今回は、大企業の景況感を確認していきましょう。
 2023年12月の結果は、大企業の業況判断DIは製造業が3四半期連続改善、非製造業で7四半期連続改善と継続して景気が回復していることが判明しました。大企業製造業は、前回の9月調査から3ポイント改善し+12となり、大企業非製造業も3ポイント改善し+30となりました。特に非製造業の調子が良いことがわかります。
 それではなぜ景気が回復しているのでしょうか。製造業では、エネルギー価格が下落したことによる交易条件の改善や、自動車などの生産が堅調であること、半導体不足の解消による生産持ち直しなどを理由に挙げることができます。一方、大企業非製造業は、インバウンド需要の回復やペントアップ需要に伴う行楽需要の回復などが大きな要因と考えられます。特に、宿泊・飲食サービスや対個人サービスといった対面型のサービス業の回復が鮮明です。

続きは次回に。

<演習>
一種・二種受験者、いずれも解いてみてください。

次の問題に答えなさい。○✕問題

【問題1】
日本銀行が国債の買入れを行うことで市場に出回る資金量が増加することは、一般に、市場金利の上昇要因となる。

<解答> ×
日本銀行が国債の買入れを行うことで市場に出回る資金量が増加することは、一般に、市場金利の下落要因となります。