証券外務員講座の講師ブログ

日銀短観から見る日本経済の現状と先行き②

皆さん、こんにちは。
フォーサイト証券外務員講師の伊藤です。

今回は、前回に続いて、日銀短観から見る日本経済の現状と先行きについて解説します。

■悪影響の懸念も
 それではこのまま景気回復は続くのでしょうか?現状は大変良い結果となったものの、先行きは異なります。先行きについては、大企業製造業では4ポイント悪化の+8が見込まれています。大企業非製造業も6ポイント悪化の+24が見込まれています。いくら国内の経済が良くても、製造業の場合には海外景気にも左右されます。米国やEUの利上げ等に伴う景気減速による需要減速や人件費の高止まり、人出不足の深刻化などによる悪影響が懸念されているようです。

■想定為替レートは、1ドル=139.35円
 全規模・全産業における2023年度の想定為替レートは、1ドル=139.35円。前回調査(1ドル=135.75円)と比べると3.6円の円安へ修正されています。それでも直近の為替相場に比べれば保守的な予想です。逆に言えば、1ドル=140円台で持続すれば、輸出企業を中心に業績が上方修正される可能性があります。
 このように、日銀短観を確認することで、現状はもとより先行きや企業の見通し、想定為替レートが確認できます。想定よりも状況が良ければ株価にはプラスとなります。3ヵ月に1回公表されますので、是非毎回確認し資産運用アドバイスなどに活かしていきましょう。

■証券外務員として活用したいこと
 業況判断DIや想定為替レートを確認し、実勢と乖離がみられる場合には、その後株価が変動する可能性があります。そうした乖離をチャンスと見立て、想定よりも実勢が良さそうであればお客様に追加で運用しませんか?などアドバイスを行いましょう。想定為替レートをもとに、為替のアドバイスを行うのも良いかもしれません。

<演習>
一種・二種受験者、いずれも解いてみてください。

次の問題に答えなさい。○✕問題

【問題1】
一般に、市場金利が上昇すると債券価格は下落し、市場金利が低下すると債券価格は上昇する。

<解答> 〇
市場金利と債券価格は逆の関係になります。ぜひ覚えておきましょう。