ITパスポート講座の講師ブログ

ゼロサムゲーム

皆さん、こんにちは。

ゼロサムゲームってご存じですか? 
誰かが勝つ(得をする)と、誰かが負ける(損をする)ということを表す言葉です。

誰かが得をした金額と誰かが損をした金額をあわせると
合計(サム)ゼロ円なので、ゼロサムゲームです。

為替取引の特徴を示す言葉として使われることが多いようですね。
でも、ゼロサムゲームやそれに似たことっていろんなところで起こっています。
例えば、現在の年金を取り巻く状況もゼロサムゲームに近い状況でしょう。

先日、年金減額を不服として、526人の年金受給者が
年金減額の取消を求めて提訴しました。

原告の弁護士によると、国はすべての生活部面について
社会福祉の向上に努めなければならないと
憲法第25条に規定してされており、年金減額はそれに違反するそうです。

原告のお年寄りも「年金引き下げで年寄りは死ねというのか」
などと主張されているようですね。
要は、「私たちの取り分を減らすな!」という主張です。
 
私はこのニュースを見て、
「今の日本の年金制度は少なくともゼロサムだから、
誰かが損を取り戻そうとすると、他の誰かが損するから、円満解決はないだろうなぁ」
と思いました。

すでに年金財政破綻を避けるために、年金受給者(お年寄り)は
実質的な年金額の引き下げ(年金額は物価変動に応じて変わりますが、
物価上昇率から一定率を引いた分しか増やしてもらえません。

つまり、物価上昇分>年金増加分です)を受け入れ、
年金保険料負担者(現役)は保険料の増額を受け入れる
ということで話がついていました。

つまり、両者とも痛みを受け入れた状態で話がついていたわけです。

しかし、上記のように、年金受給者側から
やはり取り分を減らすなという主張がなされました。

受給者の取り分を増やすならば、
(現在と将来の)保険料負担者の支払いをさらに増やさなければなりません。
日本の年金の方式が賦課方式である以上、当然の帰結です。
受給者と負担者の間でのゼロサムゲームですよね。

さぁ、裁判の結果に注目です。
もし、受給者の主張が認められるならば、保険料負担者側から
「保険料の増額は憲法第25条に違反する」という主張が出てきそうだからです。

1票の格差問題に続き、年金問題も裁判所が裁くことになるのでしょうかね。