ITパスポート講座の講師ブログ

BCPって、私たちの日々の生活を守るためにあるんです!

BCPって、私たちの日々の生活を守るためにあるんです!

皆さん、こんにちは!
ITパスポート講座担当の小野です。
エアコンで体調が崩れやすくなる時期ですが、
うまいこと調整しましょうね。 

6/18に、大阪北部を震源とする大きな地震がありました。
被災された方には心よりお見舞い申し上げます。

大規模な地震が起こると、交通網が寸断されたり、
ライフラインが止まったり、工場が操業を一時的に止めたりと各所に影響が出ますが、
私たちの生活(経済活動そのもの)を止めることはできません。

私たちの生活を支えてくれているのは、紛れもなく企業の経済活動です。
企業が商品を作り、輸送し、売るという経済活動を行っているから、
私たちは毎日、食料を食べ、快適に暮らし、娯楽を享受することができるんですよね。

「企業は社会の公器」っていわれますが、
陳列棚から商品がなくなって食料品を購入できない光景を見ると、そのことを痛感します。

ですから企業は、様々な困難に直面してもその活動を止めないように準備しておく必要があります。
阪神淡路大震災以降、企業の非常時対応が重要視されるようになりました。
ITパスポート試験でも出題されるBCP (Business Continuity Plan:事業継続計画)のことです。
今回の大阪地震では、以前の災害発生時に比べて、
様々な組織で策定されたBCPがうまく機能したために、
かなり早い段階で様々な経済活動が復旧できたのだと思います。

BCPは、何らかの事象によって事業の継続性が絶たれたときの対応マニュアルです。
できるだけはやく被害を復旧させ、出来るだけはやくいつもの事業を再開することを目的に策定されます。

ここで「事業を再開する」というのは
・商品・サービスを必要としている人々に届ける
・事業がストップしている間に他社にお客さんを取られないようにする

ということを意味し、特に後者の存在を考えると、
経営管理の道具としても利用されるレベル(BCM:Business Continuity Management)
にまで至っています。

つまり、BCPは、もう、なければ困る存在にまでなっています。
従業員が避難できずにケガした、商品供給契約を履行できない、
賠償問題への対応のため、超分業社会の維持のため、
などなど様々な事柄に対応するために必要なんです。

現代は超分業社会です。コンビニのレジで“ピッ”と
読み取られたデータはその店舗の在庫管理だけでなく、
メーカーのコンピュータに送られて一定在庫以下になると
自動的に生産が始まるシステムになっているケースも多々あります。

メーカーのコンピュータは部品・材料メーカーのコンピュータとつながっていて…、
という感じで超分業をしている企業がすべてコンピュータでつながっているわけです。
これをサプライチェーンといいますね。サプライチェーンのどこか1つの企業が操業できなくなっただけで、
製品が作れなくなってしまいますから、産業全体としてBCPの重要性が高まっているわけです。

ただ、法的にはBCP策定が義務付けられていません。
中小企業だと、個々の企業が策定するのがとても大変なので、
業界団体などが主導して策定しているようです。法律で決めるよりも、
必要としている企業が個々に決めた方が効率的なものになるのでしょう。

また、経営管理の道具として利用する段階に来ていますから(BCM)、
災害対策だけに限られません。
テロやサイバー攻撃など、災害以外も想定されています。

現代は、コンピュータシステムが破壊されるとほとんどすべてのインフラが止まってしまいます。
例えば、「日本をつぶすためには軍事作戦はいらない。
証券取引所にサイバー攻撃を仕掛けて、証券取引所という経済の根幹をぶっ壊せばあとは
自動的に崩壊する」
なんてことも言われるくらいです。

そのため、証券取引所は、何重にも取引システムのバックアップを作成し、
しかも、その複数に設置された取引システム・バックアップシステムの所在地を極秘事項にしています。

それくらいBCPは重要で、経済活動全体を支える存在なんです。
だって、コンピュータシステムというインフラが破壊されると多くの経済活動が止まってしまい、
それは私たちの生活が立ちゆかなくなることを意味しますから。

そう考えると、BCPは個々の企業単位での関心事なのではなくて、
国民全体の生活を守るためのものと言えるでしょう。
企業を様々な混乱から穏やかな日常に戻すのがBCPであり、
こんな備えで日本経済が守られているといるのかもしれませんね。