ITパスポート講座の講師ブログ

ヒトとカネ

皆さん、こんにちは。
 
労働所得には低税率で課税し、
金融所得には高税率課税すべき、と言われたら、皆さんは納得しますか? 

そりゃ、汗水流して行う労働は尊いものだし、
庶民は一生懸命働いているんだから、
労働で得た給料に高い税金をかけるのはけしからん、
庶民はそもそも労働でしか収入を得ることができないし、と思うでしょう。

その一方で、金持ちが、株の売買などカネを動かして得た金融所得
(不労所得ともいいますよね)にはがっぽり税金をかけるべきだ、
と思ってらっしゃる方も多いことでしょう。

では立場を変えて労働と資金を調達する企業から見るとどうなるでしょうか?
企業側からみると、これらにかかる税金は中立のほうが望ましいということになります。

労働(ヒト)と資金(カネ)は企業の経営資源です。
ですから、企業にとってはどちらも同じ価値を持ちます。
企業が経営をしていく上でヒトもカネも重要なのです。

ですから、労働を提供している従業員と資金を提供している株主には
同じくらい報いなければなりませんし、同じくらい容易に調達できることが望ましいわけです。

でも課税によって、どちらかに有利な状況が生み出されるとちょっとやっかいになります。
労働者の「尊い労働には低税率を」という気持ちはわかるのですが、
そうなると資金を提供する行為が相対的に価値の低いものになりますので、
多くの人々は資金を提供せず、労働を提供するようになるでしょう。

そうなると、企業にはヒトは集まるけど、
カネは集まらない=事業に投入する資源をバランスよく調達できない状態となってしまい、
それは企業に悪影響を与えてしまいます。

すると、最終的にヒトの雇用にも悪影響を与えてしまうのは目に見えてますね。

今後、さらなる増税が予想されますが、
増税というとどうしても自分の立場が不利になるかどうかがだけで考えがちです。

でも、局所的に見れば自分が不利になるような増税であっても、
経済全体で見れば自分に有利になるような増税であることもあります(その逆もあります)。

自分が直接直面する状況だけではなく、
全体的なことを考えることができるようになりたいものです。